2026/06/29
相続放棄
2026/06/29
相続放棄
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続の話になった際、「相続放棄」というワードを一度は耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、相続放棄という言葉は聞いたことがあっても、実際にどんな手続きなのか、どんな場面で必要になるのかなど、誤解されていることも少なくありません。
相続放棄は、財産を受け取らないという消極的な選択だけではなく、場合によっては家族を借金やトラブルから守るための積極的な手続きになることがあります。
今回は、相続放棄の基本、注意点、よくある誤解などについてお話ししていきます。
相続放棄とは?
相続放棄とは、亡くなった方の財産を一切引き継がないという法律上の手続きです。ここで重要なのは、プラスの財産もマイナスの財産も、すべて引き継がないという点です。
「借金だけ放棄して、預金はもらう」ということはできません。相続放棄をすると、相続人ではなくなるため、遺産分割にも参加できなくなります。
相続放棄は家庭裁判所で行う
相続放棄は役所ではできません。家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出し、裁判所が受理して初めて成立します。
申述書には、亡くなった方の戸籍や住民票、相続人の戸籍など一定の資料を添付する必要があります。
相続放棄の期限は「3か月」
相続放棄には期限があります。
原則として、亡くなった日から3か月以内に手続きをしなければなりません。
この期間を「熟慮期間」と呼びます。
ただし、財産の内容がわからない場合や、借金が後から判明した場合などは、家庭裁判所に申立てをすることで熟慮期間を延長できることがあります。
相続放棄をするとどうなる?
相続放棄をすると、次のような効果があります。
● 相続人ではなくなる
財産も借金も一切引き継ぎません。
● 次の順位の相続人に権利が移る
例えば、子どもが放棄すると、次は親が相続人になります。
親がいなければ兄弟姉妹が相続人になります。
● 遺産分割に参加できない
相続放棄をした人は、遺産分割協議に参加できません。
「少しだけ財産をもらいたい」ということもできなくなります。
よくある誤解①:家族全員が放棄しないとダメ?
相続放棄は「個人ごと」に行う手続きです。家族全員が放棄する必要はありません。
・長男だけ放棄
・妻だけ放棄
・子どもは放棄せず相続する
ということも可能です。
ただし、誰かが放棄すると次の順位の相続人に権利が移るため、家族全体の状況を見ながら判断することが大切です。
よくある誤解②:相続放棄すると「家の片付け」もできない?
相続放棄をすると、遺品整理や家の片付けを勝手に行うことには注意が必要です。
理由は、相続放棄をした人は「相続人ではない」からです。
ただし、最低限の管理行為(腐敗を防ぐ、雨漏りを防ぐなど)は認められています。
家財を処分したり、預金を使ったりすると「単純承認をした」とみなされ、相続放棄が無効になる可能性があります。
よくある誤解③:借金があるかもしれないから、とりあえず放棄すればいい?
相続放棄は便利な制度ですが、安易に行うと後悔することがあります。
・借金は少額だった
・不動産が売却できた
・保険金や死亡退職金があった
・放棄したことで次の順位の相続人が困った
など、放棄しないほうが良かったケースもあります。
相続放棄を検討すべきケース
● 借金が多い
最も典型的なケースです。
● 連帯保証人になっている
亡くなった方が保証人だった場合、債務が相続される可能性があります。
● 事業をしていて負債がある
事業の借入は大きくなることが多いため注意が必要です。
● 相続人同士の関係が悪く、関わりたくない
「争いに巻き込まれたくない」という理由で放棄する人もいます。
実際に起こりやすいトラブル
● 放棄した後に財産を使ってしまった
預金を引き出したり、家財を処分したりすると、相続放棄が無効になる可能性があります。
● 放棄したことで次の順位の相続人が困る
例えば、子どもが放棄すると親が相続人になります。高齢の親が借金を背負うことになり、かえって負担が増えることがあります。
● 放棄したのに督促状が届く
相続放棄が受理される前に督促状が届くことがあります。
その場合は、裁判所の受理通知を提示するなどの対応がひつようになります。
相続放棄は“家族を守るための選択肢”
相続放棄は、財産を受け取らないという消極的な手続きではなく、家族を借金やトラブルから守るための大切な制度です。
・期限は3か月
・家族全員が放棄する必要はない
・放棄すると相続人ではなくなる
・借金があるときは有効な選択肢
・ただし安易に行うと後悔することもある
状況に応じて、慎重に判断することが大切です。
放棄するかの判断や、自分で放棄の手続を行うのが難しい場合には、弁護士や司法書士のサポートを活用することも検討しましょう。
行政書士法人エニシアでは、放棄する方が良いかしない方が良いか、財産状況がわからないのでまずは調査をしたい、という方のサポートも行っています。
その後、相続放棄の手続きをした方が良いかの判断についても連携する弁護士・司法書士とともにサポートいたします。
ご家族に万が一が発生して、もしお困りの方はぜひお力になります。
どうぞご相談ください。














