2026/06/30
寄与分と特別寄与料
2026/06/30
寄与分と特別寄与料
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
「親の介護をずっとしてきたのに、相続では何も評価されないのですか」
「兄弟の中で私だけが事業を支えてきたのですが、寄与分は請求できますか」
家族のために長年尽くしてきたのに、相続では“法定相続分どおり”に分けられてしまう。
その結果、深い不公平感が生まれ、相続トラブルに発展することも少なくありません。
こうした不公平を調整するために設けられている制度に、寄与分と特別寄与料というものがあります。
今回は、寄与分と特別寄与料の違い、どういう場合に請求できるのか、などについてお話しいたします。
寄与分とは|相続人の貢献を評価する制度
寄与分とは、相続人の中で、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした人の相続分を増やす制度です。
家族のために特別な努力をした相続人が報われる仕組みと言うとイメージしやすいかもしれません。
たとえば、被相続人の事業を長年無償で手伝っていたケースでは、売上や利益の増加に直接貢献しているため、寄与分が認められやすくなります。
また、介護をほぼ一人で担っていた場合も、介護費用の節約や生活の維持に大きく寄与していると判断されることがあります。
医療費や生活費を継続的に負担していたケースも同様で、単なる一時的な援助ではなく、長期間にわたる支援があった場合は寄与分の対象となり得ます。
不動産の管理や修繕を無償で行い、財産価値を維持したケースも評価されやすい類型です。
寄与分の注意点|相続人しか請求できない
寄与分は、あくまで「相続人のための制度」です。
そのため、長男の妻が介護をしていたり、同居していた孫が生活を支えていたとしても、寄与分を請求することはできません。
そこで「相続人ではない家族の貢献」を評価するために設けられているのが、後述する特別寄与料です。
寄与分は遺産分割協議で決める
寄与分は、遺産分割協議の中で相続人同士が話し合って決めます。
しかし実際の相続の場面では、寄与分は非常に争いになりやすい部分です。
介護や事業の手伝いは、家族の中で評価が分かれやすいもの。
「大変だった」と感じる人もいれば、「家族なら当然」と考える人もいます。
そのため、寄与分を主張する側と認めたくない側の感情がぶつかり、協議がまとまらないことも珍しくありません。
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、それでも解決しなければ審判で判断が下されることになります。
寄与分が争いになる理由
寄与分が争いになる最大の理由は、証拠が不足しやすいことです。
介護の記録や支出の記録は、日常の中で残しにくいものです。
「どれだけ介護したか」「どれだけ支援したか」を客観的に示す資料がないと、寄与分は認められにくくなります。
また、寄与分は「いくら増やすか」という金額の算定が難しい点も争いの原因です。
明確な計算式がないため、相続人同士の感情がぶつかりやすく、話し合いが長期化することもあります。
特別寄与料とは|相続人以外の貢献を評価する制度
特別寄与料は、2019年の民法改正で新しく導入された制度です。
相続人ではない親族が、被相続人の介護や療養看護などに特別な貢献をした場合、相続人に対して金銭を請求できる仕組みです。
これまで、長男の妻が長年介護をしていても「相続人ではないから評価されない」という不公平がありました。特別寄与料は、こうした不公平を解消するために作られた制度です。
同居していた娘婿が生活を支えていたケースや、孫が介護を担っていたケースなど、相続人以外の親族の貢献が評価されるようになりました。
特別寄与料の請求方法と期限
特別寄与料は、まず相続人に対して請求します。
話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
なお、特別寄与料には期限があり、相続開始を知った日から6か月、または相続開始から1年のいずれか早いほうまでに請求しなければなりません。
期限を過ぎると請求できなくなるため、弁護士などへの早めの相談が重要です。
寄与分と特別寄与料の違い
寄与分と特別寄与料は似ているようで、目的も対象も大きく異なります。
寄与分は「相続人の貢献」を評価し、相続分を増やす制度です。
一方、特別寄与料は「相続人以外の親族の貢献」を評価し、金銭を受け取る制度です。
寄与分には期限がありませんが、特別寄与料には期限があります。
また、寄与分は遺産分割協議の中で主張しますが、特別寄与料は相続人に対して請求するという違いがあります。
実際の場面で重要なポイント:証拠を残すこと
寄与分も特別寄与料も、証拠があるかどうかで結果が大きく変わります。
介護の記録、通院の付き添い記録、生活費の支出記録、事業の手伝いの記録など、日常の中で残せるものは多くあります。
介護日誌やメモ、写真、領収書、送金記録など、どんな小さなものでも証拠になります。
「証拠があるかどうか」が、寄与分や特別寄与料が認められるかどうかの分岐点になることが多いのです。
寄与分・特別寄与料が認められやすいケース
実務では、長期間の介護をほぼ一人で担っていたケースや、事業を無償で支えていたケースは評価されやすい傾向があるようです。
医療費や生活費を継続的に負担していた場合も、寄与分や特別寄与料の対象となりやすいとされています。
また、相続人以外の親族が介護を担っていたケースは、特別寄与料の典型例として扱われます。
寄与分と特別寄与料は“家族の努力を正当に評価する制度”
寄与分と特別寄与料は、家族のために尽くした人が報われるための大切な制度です。
分は相続人の貢献を評価し、特別寄与料は相続人以外の親族の貢献を評価します。
どちらも証拠がとても重要で、特別寄与料には期限があります。
実際の相続の場面でもトラブルになりやすいため、相続の際に認めて欲しいと考える方は日ごろからの準備が欠かせないと言えるでしょう。
行政書士法人エニシアでは、連携する弁護士と協働し相続のことでお困りの方をサポートしています。
どうしたらいいだろうとお悩みの方は、ぜひご相談ください。














