2026/07/21
墓じまいと相続【前編】
2026/07/21
墓じまいと相続【前編】
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談を受けていると、「お墓のことはどうすればいいのか」という不安を抱えている方がとても多いと感じます。
遺産分割や不動産の名義変更と違い、お墓は“財産”というより「心の問題」に近いため、家族の気持ちが揺れやすく、話し合いが難航することも少なくありません。
近年は、子どもが遠方に住んでいる、跡継ぎがいない、維持費が負担になるなどの理由から、墓じまいを検討するご家庭が増えています。
墓じまいは単なる「お墓の撤去」ではなく、遺骨の移動や供養の方法、寺院や霊園との契約解除など、複数の手続きが絡むため、相続と密接に関係しています。
墓じまいは“相続の問題”として考えるべき理由
お墓は法律上「祭祀財産」と呼ばれ、一般の財産とは扱いが異なります。
預貯金や不動産のように相続人全員で分けるものではなく、原則として「祭祀承継者」が単独で引き継ぐものとされています。
つまり、誰が祭祀を担うのかが決まらないと、お墓の管理も墓じまいも進められません。
しかし実際には、祭祀承継者を誰にするかで家族間の意見が割れることがあります。
長男が遠方に住んでいる、娘が熱心に供養している、兄弟間で関係が悪いなど、家庭ごとに事情はさまざまです。
祭祀承継者が決まらないまま放置すると、寺院や霊園から管理料の督促が届いたり、墓地の荒廃が進んで近隣から苦情が出ることもあります。
墓じまいを検討するタイミング
墓じまいは「思い立ったらすぐにできる」ものではありません。寺院や霊園との契約内容、遺骨の移動先、家族の気持ちなど、整理すべきことが多く、時間をかけて進める必要があります。特に、相続が発生したタイミングは、墓じまいを検討する大きなきっかけになります。
親が亡くなり、墓地の管理料の支払い先を変更する必要が出てくると、「このまま維持できるのか」「子どもに負担をかけたくない」と考える方が増えます。相続の話し合いと同時に、お墓の今後について家族で話し合うことは、決して不自然なことではありません。
墓じまいの基本的な流れ
墓じまいは、次のような流れで進めるのが一般的です。
まず、寺院や霊園に墓じまいの意向を伝え、必要な書類や費用を確認します。
その後、遺骨の移動先(永代供養墓、納骨堂、散骨など)を決め、改葬許可申請を行います。
許可が下りたら、石材店に依頼して墓石を撤去し、遺骨を新しい供養先へ移します。
この一連の流れは、相続人全員が関わる必要はありませんが、祭祀承継者だけで決めてしまうと後でトラブルになることがあります。
特に、親族が多い場合や、供養に熱心な家族がいる場合は、事前の話し合いがとても重要です。
墓じまいは、お墓の撤去だけでなく、家族の気持ちや供養のあり方を整理する大切なプロセスです。
そして、祭祀承継者の決定や管理料の負担など、相続と深く関わる問題でもあります。
次回の後編では、墓じまいの費用、お寺と話す際のポイント、相続人同士のトラブルを防ぐ方法などについてお話しします。














