2026/08/20
地代・家賃の相続
2026/08/20
地代・家賃の相続
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談でよくあるのが、「賃貸物件の家賃は誰のものになるのか?」という質問です。賃貸アパートや貸地を所有していた方が亡くなると、毎月の地代・家賃が発生しますが、その帰属は相続のタイミングによって大きく変わります。
地代・家賃は法律上「法定果実」と呼ばれ、相続開始前に発生したものと、相続開始後に発生したものでは扱いがまったく異なります。
この点を理解していないと、相続人間で「家賃を誰が受け取るのか」「確定申告は誰がするのか」といったトラブルが起こりやすくなります。
今回は、地代・家賃の相続の基本、遺産分割前後の扱い、遺言がある場合の帰属などについてお話しします。
地代・家賃は、相続前後で扱いが変わる
地代・家賃は、民法で「法定果実」と呼ばれる収益です。この法定果実は、相続開始前に発生したものと、相続開始後に発生したものでは法律上の扱いが異なります。
まず、相続開始前に発生した地代・家賃は、被相続人の財産として相続財産に含まれます。
被相続人名義の通帳に入金されている家賃は、すでに入金されている場合は預金として、未収の場合は「賃料債権」として相続財産に含まれます。
これらは相続税の課税対象となるため、相続税申告の際には漏れなく計上する必要があります。
一方、相続開始後に発生した地代・家賃は、遺産分割が終わるまでの間は相続人全員が法定相続分に応じて取得するのが原則です。
例えば、家賃収入が600万円で、相続人が配偶者と子3人の場合、法定相続分に応じて次のように分配されます。
・配偶者:300万円
・子3人:各100万円
遺産分割の遡及効はこの家賃収入には影響しないため、後から不動産を相続した人が「家賃を全部返してほしい」と主張することはできません。
遺産分割後の地代・家賃は不動産を相続した人のもの
遺産分割協議が成立し、不動産の所有者が確定した後は、すべての地代・家賃はその不動産を引継いだ相続人のものになります。
この時点からの家賃収入は相続財産ではなく、相続人自身の「不動産所得」として扱われます。
このため、翌年の確定申告で申告する必要があります。
遺言がある場合は指定された相続人が家賃を取得する
遺言書で不動産を取得する相続人が指定されている場合、相続開始後の地代・家賃はすべてその相続人のものになります。この場合は遺産分割協議は不要になります。
地代・家賃の確定申告|準確定申告と相続人の申告
地代・家賃がある場合、相続では2種類の確定申告が必要になります。
① 被相続人の準確定申告
相続開始前の家賃収入は被相続人の所得となるため、相続人全員で準確定申告を行います。
期限は相続開始から4か月以内である点に注意が必要です。
② 相続人自身の確定申告
相続開始後の家賃収入は相続人自身の所得となるため、翌年の確定申告が必要です。
共有名義で不動産を相続する場合の注意点
不動産を共有名義で相続することは可能ですが、実際の場面ではトラブルの原因になりやすいため注意が必要です。
・家賃の管理方法で意見が割れる
・修繕費や固定資産税の負担割合で揉める
・将来の相続で共有者が増え、収拾がつかなくなる
共有は「問題の先送り」になりやすいため、代償分割や換価分割などの方法を活用して、単独名義にする方法を検討することが望ましいです。
地代・家賃は「いつ発生したか」で帰属が決まる
地代・家賃は、相続開始前・相続開始後・遺産分割後の3つの期間で帰属が異なります。
特に、相続開始後〜遺産分割までの家賃収入は、相続人全員が法定相続分で取得するため、誤解が多くトラブルになりやすい部分なので、正確に整理したうえで話し合いを行うことが重要になります。
行政書士法人エニシアでは、遺産分割協議書の作成、司法書士・税理士と連携した賃貸物件の相続、準確定申告のサポート、など状況に合わせて丁寧にサポートしています。
どうぞお気軽にご相談ください。
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