2026/10/23
再転相続って何?
2026/10/23
再転相続って何?
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談では、「祖父が亡くなった後、相続の手続きを進めていた父も亡くなってしまった」「父が祖父の相続について何も決めないまま亡くなった場合、どうすればよいのでしょうか」といったご質問をいただくことがあります。
相続が続けて発生すると、誰がどの財産を相続するのか、相続放棄はできるのか、いつまでに手続きをしなければならないのかなど、判断に迷うことも少なくありません。
このようなケースは、「再転相続(さいてんそうぞく)」と呼ばれることがあります。
今回は、再転相続とは何か、数次相続や代襲相続との違いなどについて、わかりやすく解説します。
再転相続とは?
再転相続とは、最初の相続が発生した後、相続人が相続を承認するか放棄するかを決めないまま亡くなり、その相続人の地位を引き継いだ人が、最初の相続についても判断することになるケースをいいます。
相続では、原則として、自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・相続放棄のいずれを選ぶかを検討します。この期間を「熟慮期間」といいます。
再転相続は、この熟慮期間中に次の相続が発生することがポイントです。
具体例で考えてみましょう
例えば、次のようなケースです。
・祖父Aが亡くなった。
・祖父Aの相続人である父Bは、祖父の財産を相続するか、相続放棄するかをまだ決めていなかった。
・その後、父Bも亡くなった。
・父Bの相続人である子Cが、祖父Aと父Bの両方に関係する相続手続きを検討することになった。
この場合、子Cは、父Bの相続だけでなく、父Bが判断しないまま亡くなった祖父Aの相続についても、承認するか放棄するかを検討する必要があります。
つまり、祖父Aの相続と父Bの相続という、2つの相続について考えなければならないのです。
再転相続と数次相続・代襲相続の違い
再転相続と似た言葉に「数次相続」や「代襲相続」があります。いずれも相続関係が複雑になる場面で登場しますが、それぞれ仕組みが異なります。
数次相続との違い
数次相続とは、相続が発生した後、遺産分割などの手続きが完了しないうちに相続人の一人が亡くなり、さらに次の相続が発生するケースをいいます。
例えば、祖父Aが亡くなり、父Bが祖父の相続人となったものの、遺産分割協議が終わる前に父Bも亡くなったケースです。
この場合、父Bの相続人である子Cなどが、父Bの地位を引き継いで祖父Aの遺産分割協議に関わることがあります。
再転相続との大きな違いは、父Bが祖父Aの相続について承認・放棄を決めていたかどうかです。再転相続では、父Bがその判断をしないまま亡くなっているため、子Cが祖父Aの相続を放棄するかどうかも検討できます。
代襲相続との違い
代襲相続とは、本来相続人となるはずだった人が、被相続人より先に亡くなっていた場合などに、その人の子などが代わって相続する制度です。
例えば、父Bが祖父Aより先に亡くなっており、その後に祖父Aが亡くなった場合、一定の要件を満たせば、子Cが祖父Aの財産を代襲相続します。
一方、再転相続は、祖父Aが亡くなった後に父Bが亡くなるという順番です。父Bが祖父Aの相続について判断しないまま亡くなったため、子Cは父Bの相続と祖父Aの相続の両方を検討することになります。
このように、亡くなった順番や、先に発生した相続について承認・放棄の判断が済んでいたかどうかによって、適用される仕組みが異なります。
再転相続では相続放棄できる?
再転相続では、祖父Aの相続と父Bの相続について、それぞれ承認するか放棄するかを検討します。ただし、2つの相続について、どの組み合わせでも自由に選べるわけではありません。
例えば、父Bに借金があり、祖父Aにはプラスの財産がある場合、「父Bの財産は相続放棄したいが、祖父Aの財産だけは受け取りたい」と考える方もいるかもしれません。
しかし、再転相続では、父Bの相続を放棄しながら、祖父Aの相続だけを承認するという選択はできません。父Bの相続を放棄すると、父Bを通じて引き継ぐ祖父Aの相続について判断する地位も失うためです。
一方、祖父Aの相続を放棄し、父Bの相続は承認するという選択は可能です。
どの相続を承認・放棄するかによって結果が変わるため、財産だけでなく、借金や保証債務などの有無も含めて確認することが大切です。
相続放棄の期限はいつまで?
通常の相続では、原則として、自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内に、相続を承認するか放棄するかを判断します。
再転相続の場合、最初の相続についての熟慮期間は、単純に最初の被相続人が亡くなった日から数えるわけではありません。民法第916条に基づき、再転相続人が、自分が再転相続人となったことを知った時が重要になります。
例えば、祖父Aが亡くなったことを知っていても、その後、父Bが亡くなり、自分が祖父Aの相続についても判断する立場になったことを知らなかった場合など、具体的な事情によって熟慮期間の起算点が問題となることがあります。
ただし、いつから期間が始まるかは、相続関係や認識していた事実などによって判断が分かれる場合があります。「まだ3か月経っていないはず」「祖父が亡くなってから時間が経っているから、もう放棄できない」と自己判断するのは危険です。
相続放棄を検討している場合は、できるだけ早く相続関係と経緯を整理し、家庭裁判所や弁護士などに確認しましょう。事情によっては、熟慮期間の伸長を家庭裁判所に申し立てることも検討できます。
再転相続が発生したときに確認したいこと
再転相続では、通常の相続よりも関係者や確認事項が増えやすくなります。まずは、次の点を整理しましょう。
・誰が、いつ亡くなったのか
・最初の相続について、承認・放棄の判断や手続きが行われていたか
・それぞれの相続人は誰か
・預貯金、不動産などの財産だけでなく、借金や保証債務がないか
・相続放棄を検討する場合、熟慮期間がいつから始まるのか
・相続税の申告や不動産の名義変更など、必要な手続きは何か
相続税の申告が必要となる場合には、申告期限についても注意が必要です。また、不動産の名義変更や遺産分割協議についても、2つの相続関係を踏まえて進めなければならないことがあります。
再転相続は、相続人の範囲や財産の状況、これまでの手続きの有無によって対応が変わります。まずは戸籍などで相続関係を確認し、どの相続について何を判断する必要があるのかを整理することが重要です。
このように再転相続とは、最初の相続について承認・放棄を決めないまま相続人が亡くなり、その相続人の地位を引き継いだ人が、最初の相続についても判断することになるケースです。
再転相続では、次の点に注意しましょう。
・最初の相続と次の相続という、2つの相続について検討する必要がある
・数次相続や代襲相続とは仕組みが異なる
・相続放棄の選択には制約がある
・熟慮期間の起算点は、具体的な事情を踏まえて確認する必要がある
相続が続けて発生した場合、手続きを進める順番や相続放棄の判断を誤ると、思わぬ債務を引き継ぐことにもなりかねません。
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