2026/10/22
代襲相続人に遺留分はある?
2026/10/22
代襲相続人に遺留分はある?
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
「父が亡くなりましたが、すでに亡くなっている兄の子どもたちにも相続する権利はあるのでしょうか?」
「祖父が遺言書を残していて、孫の自分には財産を渡さないと書かれていました。遺留分を請求することはできますか?」
相続では、本来相続人となるはずだった方が先に亡くなっている場合、その方の子どもなどが代わりに相続人となることがあります。これを「代襲相続」といいます。
では、代襲相続によって相続人となった方にも、最低限の財産を受け取る権利である「遺留分」は認められるのでしょうか。
代襲相続人に遺留分が認められるかどうかは、誰に代わって相続人になったのかによって異なります。
今回は、代襲相続と遺留分の関係について、孫と甥・姪の違いや、遺留分の計算方法、請求する際の注意点をお話しいたします。
そもそも「代襲相続」とは?
代襲相続とは、本来相続人となる方が、相続開始前に亡くなっている場合などに、その方の子どもなどが代わって相続人となる制度です。
例えば、祖父が亡くなったときに、祖父の子である父がすでに亡くなっていたとします。この場合、一定の条件を満たせば、父の子である孫が父に代わって祖父の財産を相続します。
また、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になる場合に、その兄弟姉妹が先に亡くなっているという場面でも、兄弟姉妹の子である甥や姪が代襲相続人となることがあります。
代襲相続が発生する主なケースは、次のとおりです。
・本来相続人となる方が、相続開始前に亡くなっている場合
・本来相続人となる方が、相続欠格によって相続権を失った場合
・本来相続人となる方が、廃除によって相続権を失った場合
※ただし、相続放棄をした場合には、原則として代襲相続は発生しません。
遺留分とは?遺言があっても請求できる権利
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている、最低限の遺産の取り分です。
亡くなった方は、遺言書を作成して財産を特定の人に渡すことや、法定相続分とは異なる割合で財産を分けることを指定できます。
しかし、遺言の内容によっては、配偶者や子どもなど、本来相続人となる方がほとんど財産を受け取れなくなることがあります。そのような場合に、一定の相続人の権利を守るために設けられているのが遺留分です。
遺留分が認められるのは、原則として、亡くなった方の配偶者、子どもなどの直系卑属、そして子どもなどがいない場合の父母・祖父母などの直系尊属です。
一方、亡くなった方の兄弟姉妹には遺留分がありません。
遺留分を侵害された場合には、財産を多く受け取った人などに対し、原則として侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを請求できます。これを「遺留分侵害額請求」といいます。
孫には遺留分が認められる?
亡くなった方の子どもが先に亡くなっているために、孫が代襲相続人となる場合、原則として、その孫には遺留分が認められます。
これは、孫が本来相続人となるはずだった親に代わって相続人となり、その親が有していた相続上の地位を引き継ぐためです。
例えば、祖父が「すべての財産を長男に相続させる」という遺言書を残していたとします。祖父の次男はすでに亡くなっており、次男に子どもが2人いた場合、その孫たちは代襲相続人となる可能性があります。
この場合、孫たちは、遺言によって財産を受け取れなかったとしても、法律上の要件を満たせば遺留分侵害額を請求できる可能性があります。
ただし、孫であれば必ず遺留分が認められるわけではありません。代襲相続が成立しているか、相続人の構成はどうなっているかなど、個別の事情を確認する必要があります。
甥・姪には遺留分が認められない?
一方、亡くなった方の兄弟姉妹に代わって相続人となった甥や姪には、遺留分が認められません。
そもそも、亡くなった方の兄弟姉妹には遺留分がないため、その子どもである甥や姪が代襲相続人となっても、遺留分を引き継ぐことはできないのです。
例えば、独身で子どもがいない方が亡くなり、相続人となる兄弟姉妹の一人がすでに亡くなっていたとします。その兄弟姉妹の子どもである甥や姪は、一定の条件のもとで代襲相続人になります。
しかし、亡くなった方が遺言書で「すべての財産を特定の友人に遺贈する」と指定していた場合、甥や姪は、遺留分を理由として金銭の支払いを請求することはできません。
このように、孫と甥・姪は、どちらも代襲相続人になることがありますが、遺留分の有無は異なっているのです。
代襲相続人の遺留分は、どう計算する?
遺留分の計算では、まず遺留分を算定するための財産の価額を確認し、相続人全体の遺留分の割合を求めます。そのうえで、各相続人の法定相続分などに応じて、個別の遺留分を計算します。
相続人に配偶者や子どもなどが含まれる場合、相続人全体の遺留分は、原則として遺留分算定の基礎となる財産の2分の1です。直系尊属のみが相続人となる場合は3分の1となります。
例えば、遺留分を計算するための財産の価額が4,000万円で、相続人が配偶者と、すでに亡くなった子どもを代襲する孫2人だったとします。ここでは、ほかの相続人や特別な事情はないものとします。
この場合、相続人全体の遺留分は、4,000万円の2分の1である2,000万円です。
・配偶者の法定相続分は2分の1、個別の遺留分は4分の1で、1,000万円
・孫2人が引き継ぐ子どもの相続分は合計2分の1
・孫1人あたりの法定相続分は4分の1、個別の遺留分は8分の1で、500万円
このように、代襲相続人が複数いる場合には、本来の相続人が受け取るはずだった相続分を、代襲相続人の人数に応じて分けて考えます。
このように代襲相続人に遺留分が認められるかどうかは、誰に代わって相続人となったのかによって異なります。孫には遺留分が認められる場合がある一方、甥や姪には原則として認められません。
また、遺留分の計算は、遺言書の内容によっても対応が変わるため、ご自身の状況に当てはめて確認することが大切です。
行政書士法人エニシアでは、相続関係の整理のための戸籍の収集や相続人の調査、必要書類の作成など、状況に合わせて丁寧にサポートしています。
「自分に遺留分があるのか分からない」「代襲相続が関係していて相続人の整理が難しい」など、お困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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