2026/07/13
相続人代表者指定届って何?
2026/07/13
相続人代表者指定届って何?
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続に関する手続きの話しをお客様としていると、「市役所から“相続人代表者指定届”という書類が届いたんですが、これは何ですか?」と聞かれることがとても多いです。
確かに、相続の手続きに慣れていないと、突然届くこの書類は不安になると思います。
今回は、相続人代表者指定届とは何か、なぜ必要なのか、出さないとどうなるのか、代表者になると不利益があるのか、などについてお話しいたします。
相続人代表者指定届とは?
相続人代表者指定届とは、固定資産税(都市計画税も一緒になっている場合もあります)の「納税通知書」を受け取る相続人を一人決めるための届出です。
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税されます。
しかし、その年の途中で所有者が亡くなると、納税義務は一旦相続人全員に引き継がれます。
ところが、市区町村は「誰が相続人なのか」「(通知書を)誰に送ればよいのか」をすぐには把握できません。そのため、亡くなった方の住所に通知書が届き続けたり、誰も気づかずに滞納が発生するおそれがあります。
そこで、相続人の中から代表者を一人決めて、納税通知書の送り先を明確にするために提出するのが「相続人代表者指定届」です。
相続人代表者指定届は“相続の権利”に基本的には影響しない
代表者に選ばれたからといって、固定資産税を一人で払う義務が生じるわけではありません。
また、不動産の名義が代表者になる、遺産分割で有利・不利になるといったことも一切ありません。
代表者はあくまで「納税通知書を受け取る窓口」であり、税金の支払い義務は相続人全員が連帯して負います。この点は相談者の方が最も誤解しやすい部分なので、安心してほしいところです。
提出しないとどうなる?
相続人代表者指定届は、提出しなくても法的な罰則はありません。
しかし、提出しない場合は市区町村が独自に代表者を選びます。
その結果、疎遠な相続人に通知が届いてしまったり、他の相続人に情報が共有されない、納付期限に気づかず延滞金が発生するなどの実務上の不利益が生じる可能性があります。
なお、自治体によっては「固定資産現所有者申告書」と一体になっている場合があり、こちらは提出しないと過料の対象になることがありますので気を付けましょう。
相続登記が完了していれば提出不要になることも
相続開始年の12月31日までに相続登記が完了していれば、翌年以降の固定資産税の納税通知書は新しい名義人に送付されます。この場合、相続人代表者指定届は不要です。
ただし、相続登記が遅れている場合は、代表者指定届を出しておかないと通知書が故人宛に届き続けてしまうため注意が必要です。
誰が代表者になれる?
代表者になれるのは法定相続人に限られます。
その際。、長男でなければならない、などの決まりはありません。
相続人同士の話し合いで、連絡が取りやすい人、役所とのやり取りが得意な人、不動産の所在地に近い人などを選ぶのが一般的です。
相続放棄をした人は代表者になれない
家庭裁判所で相続放棄の手続きをした人は、相続人ではなくなります。
そして、相続人でない以上、固定資産税の納税義務を負わないため代表者になることもできません。
ただし、市区町村は相続放棄の事実を知らないことが多いため、届出が届いた場合は放棄した旨を役所に伝える必要があります。
また、相続放棄をこれからする予定の方は代表者にはならない方が良いでしょう。
もし、代表者になって固定資産税を納税してしまうと、亡くなった方の負債の支払いを認めたことになり相続放棄ができなくなってしまう恐れがあります。
書き方と提出方法
相続人代表者指定届の書式は市区町村によって異なりますが、記載内容はほぼ共通しています。
代表的な記載内容
・被相続人の氏名、住所、死亡年月日
・代表者の氏名、住所、続柄
・他の相続人の氏名、住所
・代表者の署名(自治体によっては相続人全員の署名が必要)
提出方法
・市区町村の窓口へ持参
・郵送で提出
※一部自治体ではオンライン申請も可能なこともあります
いつまでに提出すべき?
法律上の期限はありませんが、できるだけ早く提出することが推奨されます。
特に、相続登記が年内に終わらない場合や、相続人同士の連絡が取りづらい場合、不動産が複数ある場合は、早めに提出しておくと安心です。
代表者になるデメリットはある?
代表者になることで法的な不利益はありません。
ただし、事実上次のような負担が生じることがあります。
・他の相続人へ通知内容を共有する手間
・一時的に税金を立て替えるケースがある
・税目ごとに別の自治体へ届出が必要な場合がある
とはいえ、提出しないことで生じる不利益のほうが大きいため、代表者を決めて届出することが一般的です。
相続人代表者指定届は“納税通知の送り先”を決めるための届出
相続人代表者指定届は、固定資産税などの納税通知書の送り先を決めるための届出です。
代表者は「受取窓口」であり、納税義務は相続人全員が負います。
提出しないと市区町村が勝手に代表者を選ぶことになり、通知が届かない・延滞金が発生するなどの不利益が生じる可能性があります。
相続登記が完了していれば不要になることもありますが、登記が遅れる場合は早めの提出が安心です。
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