2026/07/14
相続の持ち戻し
2026/07/14
相続の持ち戻し
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談でよくいただく質問のひとつが、「生前に子どもへ渡したお金は、相続のときにどう扱われるの?」というものです。このとき関係してくるのが、民法の「持ち戻し」という制度です。
持ち戻しは、生前に特定の相続人へ渡した財産を“遺産の前渡し”とみなし、遺産分割の計算に反映させるしくみのことをいいます。
今回は、持ち戻しの意味、対象となる贈与、計算方法、免除のしくみなどについてお話しします。
※この記事は民法上の持ち戻し(特別受益)についてであり、相続税法の「持ち戻し加算(贈与加算)」とは別制度のお話しです。
持ち戻しとは?|生前贈与を「遺産の前渡し」として扱う制度
民法903条では、相続人が生前に「特別受益」を受けていた場合、その金額を遺産に持ち戻して計算するよう定めています。
特別受益とは、結婚費用、住宅取得資金、事業資金、高額な学費、生計の資本としての贈与、遺贈など、相続人の生活基盤を形成するような贈与のことです。これらは「遺産の前渡し」と考えられるため、遺産分割の際に公平を保つために持ち戻しが行われる(考慮する)ことがあります。
持ち戻しの目的は「公平な遺産分割」
持ち戻しは、相続人同士の公平を保つための制度です。
例えば、長男が生前に500万円の住宅資金援助を受けていた場合、その500万円を遺産に加算して計算します。そ
うすることで「長男だけが多くもらっていた」という不公平を調整できるというわけです。
持ち戻しの計算方法
① みなし相続財産を計算する
相続開始時の財産+特別受益=みなし相続財産
② 法定相続分をかける
みなし相続財産 × 法定相続分=本来の取り分
③ 特別受益を差し引く
本来の取り分 − 特別受益=実際に受け取る相続分
これにより、生前に多く受け取った相続人は相続分が減り、受け取っていない相続人は相続分が増えることになります。
持ち戻しの対象になる贈与・ならない贈与
● 持ち戻しの対象になるもの
・住宅購入資金
・結婚費用
・開業資金
・高額な学費
・遺贈
・生計の資本としての贈与
● 持ち戻しの対象にならないもの
・誕生日プレゼント
・お年玉
・入学祝い
・生活費の援助(通常の範囲)
・医療費の援助(通常の範囲)
「通常の扶養の範囲」と判断されるものは持ち戻しの対象外です。
持ち戻し免除の意思表示とは?
民法903条3項では、被相続人が遺言で「持ち戻しをしなくてよい」と意思表示した場合、持ち戻しは行われません。
これを持ち戻し免除の意思表示といいます。
例えば、遺言書に「長男への生前贈与300万円は持ち戻ししない」と書いてあれば、その贈与は遺産分割に反映されないということになります。
婚姻20年以上の配偶者への居住用不動産贈与は「免除が推定される」
民法903条4項では、婚姻20年以上の夫婦間で行われた居住用不動産の贈与や居住用不動産取得資金の贈与については、持ち戻し免除の意思表示があったと推定されます。
これは、長年連れ添った配偶者の生活を守るための特別な規定です。
起こりやすいトラブル
持ち戻しは、相続人同士の感情が絡みやすい制度です。
よくあるトラブルには次のようなものがあります。
・生前贈与の金額が不明
・領収書や振込記録が残っていない
・「あれは援助ではなく貸しただけ」と主張が食い違う
・特別受益かどうかの判断で揉める
・持ち戻し免除の意思表示が曖昧
特に「親が長男にいくら援助したか」という点は、家族間で記憶が違うことが多く、争いの火種になりやすいです。
持ち戻しは「公平な遺産分割」のためのもの
持ち戻しは、 生前に特定の相続人が多く援助を受けていた場合に、 その分を遺産に加算して公平を保つための制度です。
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特別受益があると持ち戻しが行われる
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持ち戻し免除の意思表示があれば加算しない
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婚姻20年以上の配偶者への居住用不動産贈与は免除が推定される
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記録がないとトラブルになりやすい
円満な相続には「事実の整理」と「意思を明確にしておくいこと」がとても肝心です。














