2026/05/19
障がいのある子と相続【前編】|親が元気なうちに必ず知っておきたい基礎知識
2026/05/19
障がいのある子と相続【前編】|親が元気なうちに必ず知っておきたい基礎知識
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
障がいのあるお子さんを育てているご家庭では、「自分がいなくなった後、この子はどうやって生活していくのだろう」という不安が、常に心のどこかにあるのではないでしょうか。
相続のご相談を受けていると、障がいのある子の将来を心配する親御さんの声は、本当に切実で、そして深い愛情に満ちています。
障がいのある子の相続は、単に「財産をどう分けるか」という話ではなく、その子がこれから先、安心して暮らしていくための“人生設計”そのものです。
まずは、障がいのある子の相続がなぜ難しいのか、そして親が元気なうちに何を知っておくべきなのかについてお話しします。
障がいのある子の相続が難しくなる理由
障がいのある子の相続は、一般の相続と比べて複雑さが増します。その理由のひとつは、本人が財産管理を自分で行えない可能性があることです。知的障がいや精神障がいがある場合、預金の管理や契約行為を自分で判断することが難しく、誰かが代わりに管理する仕組みが必要になります。
また、障がいのある子は、生活費だけでなく医療・介護・福祉サービスなど、長期的に支援が必要になることが多く、「どれくらいの財産が必要なのか」「どのように使うべきか」を慎重に考える必要があります。
さらに、きょうだいがいる場合には、「障がいのある子に多く残したい」という親の気持ちと、「公平にしてほしい」というきょうだいの気持ちがぶつかり、相続トラブルにつながることもあります。
そしてもうひとつ重要なのが、成年後見制度の存在です。本人が判断能力を欠く場合、後見人が財産管理を行うことになりますが、この制度は非常に厳格で、本人の“楽しみ”のための支出が認められにくいという特徴があります。親が望む柔軟な支援ができないケースもあるため、制度の理解が欠かせません。
障がいのある子の相続で押さえておくべき基本ルール
まず知っておきたいのは、障がいの有無によって相続分が変わることはないという点です。障がいがあるからといって、法律上の相続分が増えるわけではありません。そのため、親が望む形にするためには、遺言書などの対策が必須になります。
また、本人が判断能力を欠く場合には、成年後見制度が介入する可能性があります。法定後見の場合、家庭裁判所が後見人を選び、財産管理は厳格に行われます。一方で、本人の生活の質を高めるための支出が認められにくく、親が思い描く支援ができないこともあります。
さらに、相続財産を多く受け取ることで、生活保護や障害年金などの公的支援に影響が出る場合もあります。「たくさん残せば安心」というわけではなく、制度とのバランスを考えた設計が必要です。
障がいのある子の相続で起きやすいトラブル
親が亡くなった後、きょうだいや親族が財産管理を行う場合、「本人のために使われていない」「使い込みがあった」というトラブルが起きることがあります。
また、法定後見制度を利用すると、後見人は家庭裁判所の監督下に置かれるため、本人の楽しみや生活の質を高めるための支出が認められにくく、親が望んだ生活が実現できないこともあります。
さらに、障がいのある子に多く財産を残した場合、きょうだいが不満を抱き、関係が悪化することもあります。相続は“お金の問題”であると同時に、“家族の感情の問題”でもあるのです。
親が元気なうちに必ずやるべきこと
障がいのある子の相続を考えるうえで、まず取り組むべきは「財産の棚卸し」です。預金、不動産、保険、障害年金、公的支援などを整理し、子の生涯に必要な金額を把握します。
次に、誰がどの役割を担うのかを明確にすることが大切です。きょうだいが支援者になるのか、親族に頼るのか、あるいは専門家や福祉サービスを活用するのか。支援体制を整えることは、財産の準備と同じくらい重要です。
そして何より、遺言書の作成は必須です。遺言書があるかどうかで、障がいのある子の将来は大きく変わります。
後編では、遺言書・家族信託・後見制度など、具体的な対策についてお話しします。
行政書士法人エニシアでは、障がいのある子の将来設計を、ご家族の気持ちに寄り添いながらサポートしています。「自分がいなくなった後が心配」「どの制度を使えばいいかわからない」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。














