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負担付遺贈の活用

2026/06/11

負担付遺贈の活用

こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。

 

相続のご相談を受けていると、次のようなお話をよく伺います。

 

「この家を長男に遺したいけれど、同時に妻の面倒も見てほしい」
「お世話になった人に財産を渡したいけれど、その代わりにお墓を守ってほしい」
「ペットの世話を続けてくれるなら、ある程度の財産を渡したい」

 

こうした「財産をあげる代わりに、これをしてほしい」という思いを、法的な形にできるのが負担付遺贈(ふたんつきいぞう)です。

 

今回は、負担付遺贈とは何か、どんな場面で活用できるのか、注意点はどこか、についてお話ししていきます。

 

 

 

負担付遺贈とは?

負担付遺贈とは、簡単に言うと「条件付きで財産をあげる遺贈」です。

 

たとえば、

・「自宅を長男に遺す代わりに、妻の生活費を負担してほしい」
・「お墓を守ってくれることを条件に、長女に預貯金の一部を遺す」
・「ペットの世話を続けてくれるなら、友人に〇〇万円を遺す」

 

このように、遺贈を受ける人に一定の義務(負担)を課す遺言の形が負担付遺贈です。

 

「ただあげる」のではなく、「あげる代わりに、これをしてね」というメッセージを、法的な形で残すことができます。

 

 

 

負担付遺贈が活用できる典型的な場面

① 配偶者の生活を守りながら、子どもに自宅を遺したいとき

よくあるのが、次のようなケースです。

 

・自宅の名義は夫
・妻はその家に住み続けたい
・将来的には子どもに家を引き継ぎたい

 

この場合、

「自宅不動産を長男に遺贈する。その代わり、妻が生きている間は無償で住まわせ、生活を支えること」

という形で負担付遺贈をしておくと、妻の居住と生活の安心と、子どもへの承継を両立しやすくなります。

 

 

② お墓や仏壇を守ってほしいとき

「お墓を誰が守るのか」は、実際の相続の場面でよく問題になります。

 

そこで、

「長女に〇〇万円を遺贈する。その負担として、先祖代々の墓所の管理・供養を行うこと」

というように、お墓の管理を負担として明記することができます。

 

 

③ お世話になった人・親族以外に財産を渡したいとき

親族ではない方に財産を遺したい場合、他の相続人から不満が出ることもあります。

 

そのようなとき、

「生前に介護などの支援をしてくれた〇〇さんに、感謝の気持ちとして〇〇万円を遺贈する。その負担として、葬儀や納骨の手配を行うこと」

といった形で、具体的な役割とセットで財産を渡すことで、他の相続人の不満を和らげることができます。

 

 

④ ペットの世話を条件に財産を渡したいとき

近年増えているのが、ペットのための負担付遺贈です。

 

「愛犬の世話を続けてくれることを条件に、〇〇さんに〇〇万円を遺贈する」

というように、ペットの飼育を負担として明記することで、残されたペットの生活を守る工夫ができます。

 

 

負担付遺贈のメリット

① 「お願いごと」を法的な形で残せる

口頭で「頼むね」と伝えておくだけでは、法的な拘束力はありません。

 

負担付遺贈にしておくことで、「財産を受け取るなら、この負担を引き受ける」という関係が明確になります。

 

 

② 財産の渡し方にメリハリをつけられる

単に「均等に分ける」のではなく、

・特定の人に多めに渡す代わりに、役割を担ってもらう
・負担を引き受ける人と、そうでない人のバランスをとる

といったメリハリのある遺産分けがしやすくなります。

 

 

③ 相続人以外にも柔軟に財産を託せる

親族以外の人や団体に財産を渡したい場合でも、負担付遺贈を使うことで、役割とセットで財産を託すことができます。

 

 

 

負担付遺贈の注意点

① 「負担の内容」をあいまいに書かない

負担付遺贈で一番問題になりやすいのが、負担の内容があいまいなケースです。

 

たとえば、

 

・「母の面倒をみること」
・「お墓を守ること」
・「ペットの世話をすること」

 

とだけ書いてしまうと、

 

・どこまでやれば「負担を果たした」と言えるのか
・期間はいつまでなのか
・費用は誰が負担するのか

 

といった点で、後々トラブルになる可能性があります。

 

 

できるだけ、

 

・具体的な内容(例:生活費の支払い、通院の付き添いなど)
・期間(例:配偶者が亡くなるまで、など)
・費用負担の考え方

 

を明確にしておくことが大切です。

 

 

② 負担が重すぎると、遺贈を「放棄」されることもある

負担付遺贈は、受け取る側にとって「メリット」と「負担」のバランスが重要です。

 

負担があまりに重いと、

「そこまでの義務を負うなら、遺贈はいりません」

遺贈自体を放棄されてしまう可能性もあります。

 

「この人なら無理なく引き受けられるか」「財産の額と負担の内容が釣り合っているか」を、冷静に考えることが必要です。

 

 

③ 他の相続人とのバランスにも配慮が必要

特定の人に負担付遺贈をすると、その人の取り分が増えることがあります。

 

その結果、

・「あの人だけ優遇されている」
・「自分には何の説明もなかった」

といった不満が生まれ、相続全体のトラブルにつながることもあります。

 

負担付遺贈を検討するときは、他の相続人とのバランスも意識しておくことがポイントになります。

 

 

 

負担付遺贈を活用するときのポイント

① 遺言書の中で、できるだけ具体的に書く

負担の内容は、「誰が・何を・どのように・どのくらいの期間」行うのかを、できるだけ具体的に書いておくことが重要です。

 

 

② 本人にも事前に話しておく

負担付遺贈は、受け取る側にとっても大きな決断になります。

 

遺言書だけで一方的に決めるのではなく、事前に本人と話し合っておくことをおすすめします。

 

 

③ 遺言執行者を指定しておく

負担付遺贈の内容がきちんと守られているかを確認するためにも、遺言執行者を指定しておくことが望ましいです。

 

 

遺言執行者がいることで、

・負担の履行状況の確認
・他の相続人への説明
・手続き全体のとりまとめ

がスムーズになります。

 

 

 

負担付遺贈は「思い」と「役割」をセットで託すための仕組み

負担付遺贈は、単に財産を分けるだけでなく、

 

・配偶者の生活を守る
・お墓や仏壇を守ってもらう
・お世話になった人に役割とともに財産を託す
・ペットの生活を守る

 

といった「お願いごと」を法的な形で残すことができる仕組みです。

 

一方で、負担の内容があいまいだったり、重すぎたりすると、トラブルや遺贈放棄の原因にもなりかねません。

 

「誰に、どんな役割を託したいのか」「その人にとって無理のない内容か」を丁寧に整理しながら、遺言書の中で具体的に表現していくことが大切です。

 

行政書士法人エニシアでは、負担付遺贈を含めた遺言書の作成について、ご家族の状況やお気持ちを伺いながら、最適な形をご提案しています。

 

どういう形で遺言を遺すのがよいかお悩みの方はぜひご相談ください。

 

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