2026/04/22
相続人がいないとき、どうなる?
2026/04/22
相続人がいないとき、どうなる?
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談を受けていると、
「自分は子どもはいないのですが、相続はどうなるの」
「兄弟も高齢で、もし相続したい人が誰もいなかったら財産はどうなるのですか」
といったご質問をいただくことがあります。
近年はおひとりさま世帯の増加もあり、相続人がいない可能性は決して珍しいものではありません。しかし、相続人がいない場合の財産の行き先は、通常の相続とは大きく異なる特別な流れになります。
今回は、相続人がいないときに遺産がどのように扱われるのか、法律の仕組みから順を追ってお話しします。
相続人がいない場合とは
まず、「相続人がいない」とはどのような状態なのかを、法律のルールから整理してみましょう。
相続では、民法によって「誰が遺産を受け継ぐ権利を持つのか」が明確に定められています。これらの人を法定相続人と呼び、遺言書がない場合には、この法律のルールに従って相続が行われます。
法定相続人には次のような原則があります。
■配偶者は常に相続人になる
■配偶者以外に相続人になる人
第1順位:子ども(亡くなっている場合は孫・ひ孫など)
第2順位:父母・祖父母などの直系尊属
第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥・姪)
この順位に従い、上位の人がいる場合には下位の人には相続権がありません。
したがって、これらの法定相続人が誰も存在しない場合、あるいは存在していても全員が相続放棄をした場合などは、法律上「相続人がいない状態」と扱われます。
現代では、配偶者や子どもがいない方も多く、疎遠な兄弟姉妹や甥姪が相続放棄を選択するケースもあるため、相続人がいないケースは決して特別なものではありません。
相続財産管理人が選任される
相続人がいない場合、遺産を管理する人がいないため、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。管理人は、遺産を適切に整理し、必要な支払いを行い、最終的な帰属先を決める役割を担います。
相続財産管理人は、次のような業務を行います。
・不動産や預貯金の管理
・税金や未払い費用の支払い
・財産目録の作成
・遺品の整理
・必要に応じて不動産の売却
管理人の選任は、債権者、不動産管理会社、役所など、利害関係者が申し立てることが多いです。
債権者への支払いが優先される
相続財産管理人が選ばれると、まずは債権者への支払いが行われます。
・医療費
・税金
・家賃の滞納
・借金
などがあれば、遺産から精算されます。この段階で遺産がなくなることもありますが、残った財産があれば次のステップへ進みます。
特別縁故者への分与
相続人がいなくても、被相続人と特別な関係にあった人が遺産を受け取れる場合があります。これを特別縁故者といいます。
たとえば、
・長年同居していた人
・介護や生活の面倒を見ていた人
・生前に特別な援助をしていた人
・内縁の配偶者
などが該当する可能性があります。
特別縁故者は家庭裁判所に申し立てを行い、認められれば遺産の一部を受け取ることができます。血縁関係がなくても、実質的なつながりを尊重する制度です。
最終的には国庫へ帰属する
特別縁故者への分与が終わってもなお財産が残る場合、遺産は最終的に国庫へ帰属します。
「相続人がいない=すぐに国のものになる」というイメージを持たれる方もいますが、実際には
1. 相続財産管理人の選任
2. 債権者への支払い
3. 特別縁故者への分与
という段階を経て、最終的に国庫へ移る仕組みになっています。
相続人がいない方こそ「遺言書」が重要
相続人がいない場合、遺産の行き先は法律に従って淡々と処理されていきます。しかし、遺言書を残しておけば、財産の行き先を自分の意思で決めることができます。
たとえば、
・お世話になった友人
・介護をしてくれた人
・応援したい団体(NPO・福祉施設・学校など)
・社会貢献のための寄付
など、あなたの想いを反映した形で財産を託すことができます。
遺言書があるかどうかで遺産の行き先は大きく変わるため、相続人がいない方こそ、早めの生前対策がとても大切です。
行政書士法人エニシアでは、遺言書の作成サポートや生前対策のご相談を承っています。「自分の財産をどうすればいいのか不安」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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