2026/06/16
デジタル遺産 前編|相続手続きで家族が困る「見えない財産」
2026/06/16
デジタル遺産 前編|相続手続きで家族が困る「見えない財産」
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談で近年急増しているのが、「デジタル遺産(デジタル遺品)」に関するトラブルです。
スマホやパソコンの中には、銀行口座・証券・ポイント・サブスク・SNS・写真・メールなど、本人しか把握していない情報が大量にあります。
紙の通帳や契約書がないため、家族が存在に気づけないまま放置されることが多く、相続手続きが複雑化する原因になっています。
今回は、まず相続手続きの観点から見たデジタル遺産の問題点と、家族が困らないためのポイントをお話しします。
デジタル遺産とは?
デジタル遺産とは、スマホ・パソコン・インターネット上に存在する財産や契約のこと。
次のようなものが代表例です。
・ネット銀行・ネット証券
・仮想通貨(暗号資産)
・電子マネー(PayPay、楽天Edyなど)
・オンラインショップのポイント(楽天・Amazonなど)
・SNSアカウント(Facebook、Instagram、Xなど)
・サブスク契約
・クラウドストレージ(iCloud、Google Drive)
・スマホ内の写真・動画・連絡先
・メール・LINE・各種アプリ
これらは紙の痕跡が残らないため、相続人が存在に気づけないという大きな問題があります。
相続でデジタル遺産が問題になる理由
① スマホのロックが開かない
最も多い相談がこれです。
・パスコードが不明
・指紋認証・顔認証が使えない
・Apple ID / Google アカウントが不明
スマホが開かないと、銀行アプリ・証券アプリ・メール・写真など、すべての情報にアクセスできません。
② ネット銀行・ネット証券は紙の通帳がない
郵送物もないため、家族が存在に気づけないまま放置されるケースが非常に多いです。
③ 仮想通貨は「秘密鍵」がなければ完全に失われる
仮想通貨は銀行のように「相続人だから開示します」という仕組みが原則ありません。
また、パスワード(暗証番号)やプライベートキー(秘密鍵)という情報がわからない場合は、移管・引出しが困難になります。
秘密鍵がわからない=(事実上)財産が消滅という非常に厳しい特徴があるのです。
④ サブスクが解約できず、支払いが続く
Amazon、Netflix、iCloud、スマホアプリの月額課金など、本人が亡くなっても自動引き落としが続きます。
相続人が気づかないと、毎月の支払いが延々と続くことも珍しくありません。
⑤ SNSアカウントが放置される
放置されたアカウントは、
・乗っ取り
・なりすまし
・個人情報の流出
・家族の精神的負担
などのリスクがあります。
相続人がデジタル遺産を調べるときのポイント
① スマホ・パソコンのロック解除が最優先
ロック解除できれば、メール・アプリ・契約情報にアクセスでき、財産の全体像が見えてきます。
② メールを確認する
デジタル遺産の多くは、メールに通知が届くため、メールアカウントに入れるかどうかが重要です。
③ 銀行口座の入出金履歴を見る
ネット銀行を使っていても、給与振込や引き落としは通常の銀行口座に記録が残ります。
・「○○証券」
・「○○ウォレット」
・「○○取引所」
などの記載があれば、デジタル資産の存在が推測できます。
④ クレジットカードの明細を見る
サブスクやオンラインサービスの契約は、クレジットカードの明細に痕跡が残ります。
⑤ SNSアカウントの削除・追悼設定
SNSごとに「追悼アカウント」「削除申請」の仕組みがあります。家族が申請できる場合も多いため、早めに対応することが大切です。
次回の後編では、
・スマホのパスコード管理
・ID・パスワードの整理方法
・デジタル遺産リストの作り方
・仮想通貨の生前対策
・SNSアカウントの整理
・サブスクの棚卸し
など、家族が困らないためのデジタル生前整理を取り上げたいと思います。
行政書士法人エニシアでは、デジタル遺産の整理・相続・遺言書への反映まで、ご家族の状況に合わせて丁寧にサポートしています。
悩みの方はぜひご相談ください。
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