2026/10/19
古い年代の相続②|昔の相続分は今と違う?何代も前の相続
2026/10/19
古い年代の相続②|昔の相続分は今と違う?何代も前の相続
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
「祖父名義の土地を相続したいのですが、祖父の相続人は誰になるのでしょうか?」
「父の相続だと思っていたら、さらに前の世代の相続から整理する必要があると言われました」
相続のご相談では、このように何十年も前の相続が未解決になっているケースがあります。
古い相続を整理する際に注意したいのが、現在の民法で定められた相続分が、昔の相続にもそのまま適用されるとは限らないということです。
今回は、相続分の変遷と、何代も前の相続を解決するための基本的な進め方についてお話しいたします。
昔の相続分は、現在と同じとは限らない
現在の民法では、相続人の組み合わせに応じて法定相続分が定められています。
例えば、配偶者と子どもが相続人となる場合、原則として配偶者が2分の1、子ども全体で2分の1です。
しかし、昔の相続では、相続が開始した時期によって、適用される法律や相続人の範囲、相続分が異なります。
特に、戦前に開始した相続では、前回の記事でご紹介した「家督相続」や「遺産相続」の制度が関係することがあります。
現在の法定相続分を当てはめて計算すればよい、というわけではありません。
また、戦後の相続についても、法定相続分が改正されているため、亡くなった時期の確認が重要です。
相続が開始した時期によって、法律が異なる
古い相続を調べるときは、まず、どの時期に相続が開始したのかを確認します。
大まかな目安は次のとおりです。
・明治31年(1898年)7月16日より前:当時の法令や慣習などを個別に確認
・明治31年7月16日から昭和22年(1947年)5月2日まで:原則として旧民法による家督相続・遺産相続
・昭和22年5月3日から同年12月31日まで:民法の応急措置法による相続
・昭和23年(1948年)1月1日から昭和55年(1980年)12月31日まで:戦後民法による相続。現在とは法定相続分が異なる場合がある
・昭和56年(1981年)1月1日以降:昭和55年改正後の法定相続分が適用される時期
これはあくまで大まかな区分です。実際には、相続人の構成や親族関係、経過措置などによって判断が異なることがあります。
例えば、昭和22年5月2日以前に開始した相続では、現在の民法を前提に相続人や相続分を考えると、結論を誤る可能性があります。
さらに、何代にもわたって相続が続いている場合には、最初の相続だけでなく、その後の相続についても、それぞれの開始時期に応じた確認が必要です。
何代も前の相続が残っていると、どうなる?
例えば、曾祖父名義の土地が残っているケースを考えてみましょう。
曾祖父が亡くなったときに相続手続きをしないまま、その相続人の一人である祖父も亡くなり、さらに父も亡くなったとします。
この場合、曾祖父の相続だけを考えればよいわけではありません。その後に発生した祖父や父の相続についても確認し、誰がどの権利を引き継いだのかを整理する必要があります。
このように、先に発生した相続が未解決のうちに、相続人の相続が続いていくことを「数次相続」といいます。
相続を長期間放置していると、相続人の世代が増え、関係者が遠方に住んでいたり、面識がなかったりすることもあります。
相続人の人数が増えるほど、戸籍の収集や連絡、遺産分割協議の調整が難しくなる可能性があります。
だからこそ、古い相続では、現在の名義人だけでなく、過去に発生した相続を順番にたどり、全体像を把握することが重要なのです。
相続手続きは、何から始めればよい?
古い相続を解決するためには、まず、財産の名義と相続関係を確認するところから始めます。
① 不動産などの名義を確認する
土地や建物がある場合は、登記事項証明書などで現在の登記名義人を確認します。登記上の名義人が亡くなった方の祖父母や、さらに前の世代になっていることもあります。
名義人が誰なのかによって、どの相続から整理する必要があるのかが見えてきます。
② 戸籍を収集して、相続関係を整理する
次に、亡くなった方の戸籍や除籍、改製原戸籍などを集め、家族関係や相続の経緯を確認します。古い戸籍には、現在の戸籍とは異なる書式や表記が使われていることもあるため、記載内容を丁寧に読み解く必要があります。
相続が何代にもわたる場合は、各世代の相続人を確認し、誰がどのように権利を引き継いだのかを整理していきます。
③ 適用される法律と相続人を確認する
戸籍などから相続の開始時期や親族関係が確認できたら、それぞれの相続について、適用される法律や相続人の範囲を確認します。
古い相続では、現在の相続制度とは異なるルールが適用されることがあります。相続人を誤って判断すると、その後の手続きをやり直さなければならない可能性もあるため、慎重な確認が必要です。
④ 相続人間の話し合いと必要な手続きを進める
相続人や権利関係が整理できたら、必要に応じて遺産分割協議を行い、相続関係に応じた手続きを進めます。不動産の相続登記や、預貯金の解約・名義変更など、財産の種類によって必要な手続きも異なります。
相続人の間で意見がまとまらない場合や、相続する権利について争いがある場合には、弁護士などの専門家への相談も考える必要があります。
相続登記の義務化にも注意しましょう
不動産の相続登記は、令和6年(2024年)4月1日から申請が義務化されました。
相続によって不動産を取得したことを知った日から、原則として3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、制度開始前に発生した相続であっても、未登記の不動産については義務化の対象となる場合があります。
過去の相続についても、原則として一定の猶予期間が設けられていますが、対象となる相続や期限は個別の事情によって確認が必要です。
「昔のことだから、今さら手続きをしなくてもよい」とは限りません。古い名義の不動産がある場合は、まず現状を確認し、必要な手続きを早めに検討しましょう。
古い相続こそ、専門家と一緒に整理することが大切
古い相続では、戸籍の収集だけでなく、当時の法律の確認や、複数世代にわたる相続関係の整理が必要になることがあります。
ご自身で調べてみたものの、「誰が相続人になるのか分からない」「戸籍の読み方が難しい」「どの世代から手続きを進めればよいのか分からない」と悩まれる方も少なくありません。
行政書士法人エニシアでは、戸籍の収集や相続関係の整理、必要書類の作成など、状況に合わせて丁寧にサポートしています。
不動産の相続登記は司法書士、争いがある場合は弁護士と連携するなど適切な解決へ向けてご案内します。
先祖名義の不動産が残っている方や、何代も前の相続が未解決になっている方は、まずは現在の状況を整理するところから始めてみませんか。
どうぞお気軽にご相談ください。
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