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古い年代の相続①|昔の相続は今と違う?「家督相続」とは

2026/10/16

古い年代の相続①|昔の相続は今と違う?「家督相続」とは

こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。

 

「実家の土地を調べたら、名義が亡くなった祖父のままになっていました」

「祖父よりも前の世代の名義が残っているのですが、今から相続手続きはできるのでしょうか?」

 

相続のご相談では、このように何十年も前、場合によっては何代も前の方の名義が残っているケースがあります。

こうした古い相続を解決しようとすると、戸籍を集めて現在の相続人を調べるだけでは足りないことがあります。相続が開始した時期によっては、現在とは異なる法律に基づいて、誰が財産を引き継いだのかを確認する必要があるからです。

今回は、古い年代の相続を考えるうえで知っておきたい「家督相続」についてお話しいたします。

 

 

 

1.昔の相続には「家督相続」という制度があった

現在の相続では、亡くなった方に配偶者や子どもがいれば、原則として、それぞれが相続人となり、法律で定められた相続分などをもとに遺産の分け方を考えます。

しかし、昔の法律では、現在とは異なる仕組みが採用されていました。

明治31年(1898年)7月16日から昭和22年(1947年)5月2日までに開始した相続については、原則として当時の旧民法に基づいて考えることになります。

この時代には「家督相続」という制度がありました。家督相続とは、戸主の地位や財産などを、法律で定められた家督相続人が引き継ぐ仕組みです。

現在のように、配偶者や子どもが当然に一定の割合で財産を分け合うという考え方とは、大きく異なっていました。

そのため、戦前に開始した相続を現在の法律の感覚だけで考えてしまうと、誰が相続人だったのかを誤って判断してしまうおそれがあります。

 

 

 

2.家督相続では、誰が財産を引き継いだの?

家督相続では、現在の相続のように、複数の相続人が法定相続分に応じて財産を引き継ぐのではなく、原則として一人の家督相続人が承継する仕組みでした。

「昔は長男がすべて相続した」と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、家督相続では長男が相続人となるケースが多く見られました。しかし、必ず長男と決まっていたわけではありません。

当時の法律では、親等や性別、嫡出子かどうか、年齢など、法律上の順位に従って家督相続人が決められていました。戸籍上の身分関係や養子縁組なども、判断に影響することがあります。

つまり、古い相続については「長男だから相続したはず」と決めつけることはできません。当時の戸籍や相続が開始した事情を確認し、法律上の承継者を判断することが大切です。

 

 

 

3.戸主以外の家族が亡くなった場合はどうなる?

旧民法の時代には、戸主が亡くなった場合の「家督相続」と、戸主以外の家族が亡くなった場合の「遺産相続」が区別されていました。

戸主以外の家族が亡くなった場合は、家督相続とは異なる順位で相続人が決められていました。現在の民法と同じように、配偶者と子どもが常に共同で相続する仕組みだったわけではありません。

そのため、古い相続を調べるときには、亡くなった方が当時の戸籍で戸主だったのか、それとも戸主以外の家族だったのかを確認する必要があります。

同じ時代に亡くなった方でも、戸籍上の立場などによって適用される相続の仕組みが異なる可能性があるのです。

 

 

 

4.相続は「亡くなった日」だけで決まるとは限らない

古い相続では、相続がいつ、どのような原因で開始したのかを確認することも重要です。

家督相続は、戸主の死亡だけでなく、「隠居」などによって開始することもありました。そのため、戸主が亡くなった日だけを見ていては、実際に誰がいつ家督を引き継いだのかを正確に把握できない場合があります。

また、昭和22年(1947年)5月3日以降は、憲法施行に伴う民法の応急措置法や、その後の民法の規定が関係してきます。さらに、戦後の民法でも法定相続分などが改正されているため、相続が開始した時期に応じた確認が必要です。

例えば、曾祖父の相続が終わらないまま祖父が亡くなり、その後、父も亡くなっているような場合には、それぞれの相続について、開始時期や適用される法律を確認しなければなりません。

このように、古い相続は一つの法律だけで一律に判断できるとは限らないのです。

 

 

 

5.古い相続を調べるには、戸籍の確認が重要

昔の相続を整理するためには、戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍などを収集し、家族関係や相続の経緯を確認していきます。

特に古い戸籍には、現在の戸籍では見慣れない記載や、手書きで書かれた文字が含まれていることがあります。戸籍を一通取得すれば終わりというわけではなく、前の戸籍をたどりながら、相続関係を一つずつ整理する必要があります。

確認したい主なポイントは、次のとおりです。」

 

 

・不動産などの名義人がいつ亡くなったのか

・当時の戸籍で戸主だったのか、家族だったのか

・家督相続や隠居などの記載があるか

・誰が財産を引き継いだのか

・その後の相続が何代にわたって発生しているのか

 

 

これらを確認することで、現在の相続人を特定するための土台ができます。

 

 

 

6.古い相続を放置している方は、早めの確認を

「先祖の名義のままだけれど、今すぐ困っていないから」と、そのままにしている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、相続が未解決のまま時間が経過すると、その間に相続人となる方も亡くなり、さらに次の世代へと相続関係が広がっていくことがあります。現在の相続人が多数になり、戸籍の収集や関係者との連絡に時間がかかるケースもあります。

また、不動産の相続登記は、令和6年(2024年)4月1日から申請が義務化されています。過去に発生した相続も対象となる場合があるため、古い名義が残っている不動産については、放置せずに状況を確認することが大切です。

古い相続は、当時の法律や戸籍を丁寧に読み解く必要があり、ご自身だけで判断するのが難しいことも少なくありません。

 

 

 

行政書士法人エニシアでは、戸籍の収集や相続関係の整理など、相続手続きの第一歩から丁寧にサポートしています。不動産の相続登記については司法書士などの専門家と連携しながら、状況に応じた手続きをご案内します。

「先祖名義の不動産がある」「何代も前の相続が終わっていない」など、お困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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