2026/10/15
クレジットカードと相続
2026/10/15
クレジットカードと相続
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談を受けていると、「亡くなった親の財布からクレジットカードが何枚も出てきたのですが、どうすればよいですか?」「カードの支払いが残っている場合、相続人が払わなければならないのでしょうか?」というご質問をいただくことがあります。
クレジットカードは日常生活で広く利用されているため、亡くなった方が複数のカードを持っていたり、公共料金や携帯電話料金などの支払いに利用していたりすることも少なくありません。
クレジットカードそのものを相続することはできませんが、未払金やリボ払いなどの債務は、原則として相続の対象になります。
また、解約するタイミングによっては、貯まっていたポイントや付帯サービスに影響することもあります。
今回は、クレジットカードの相続手続き、未払金の取り扱い、ポイントや家族カードの注意点などについてお話しいたします。
クレジットカードは相続できない|まずは解約手続きから
クレジットカードは、カード会社と名義人との契約に基づいて利用するものです。
そのため、名義人が亡くなった場合、相続人がそのカードを引き継いで使い続けることはできません。
亡くなった方がクレジットカードを持っていた場合は、カード会社に連絡し、死亡したことを伝えたうえで、解約や利用停止の手続きを進めます。
カードが手元にある場合は、裏面に記載された問い合わせ先などから連絡するとよいでしょう。
ただし、解約の連絡をする前に、未払金や継続的な支払い、ポイント、付帯サービスなどを確認しておくことも大切です。
カードを解約すると利用できなくなるサービスもあるため、必要な確認を行ってから手続きを進めましょう。
未払金やリボ払いはどうなる?|借金も相続の対象
クレジットカードの相続で、特に注意したいのが未払金です。
クレジットカードは、カード会社が利用代金を立て替え、後日、名義人の指定口座などから引き落とす仕組みです。
そのため、亡くなった時点で支払いが済んでいない利用代金は、原則として相続の対象となります。
例えば、次のような支払いが残っている場合です。
・日用品や食料品などのショッピング利用代金
・リボ払いの残高
・分割払いの残額
・キャッシングの借入残高
・年会費や継続サービスの利用料金など
リボ払いやキャッシングを利用していた場合は、想定していたよりも大きな債務が残っていることもあります。
カード会社に連絡し、利用残高や未払金の明細を確認することが大切です。
なお、相続人が複数いる場合、借金などの可分債務は、原則として法定相続分に応じて各相続人が承継する扱いとなります。
ただし、相続人間の合意や債権者との関係などによって取り扱いが異なる場合もあります。
また、相続税の申告が必要な場合、亡くなった時点で存在し、確実と認められる未払金などは、一定の要件のもとで相続財産から債務控除できることがあります。
カードの利用明細や請求書などを保管し、支払いの内容を確認しておきましょう。
相続放棄を検討している場合は要注意
亡くなった方に多額の借金やリボ払いなどが残っている場合、相続放棄を検討することもあるでしょう。
相続放棄をすると、原則として預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継がなくなります。
※相続放棄には、原則として、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内という期限があります。
ここで注意したいのは、相続放棄を検討している段階で、亡くなった方のクレジットカードの未払金を安易に支払わないことです。
相続財産を処分するなどの行為が、状況によっては単純承認と判断される可能性があるためです。
すべての支払いが直ちに単純承認に当たるわけではありませんが、自己判断で精算せず、まずは弁護士や司法書士に相談しましょう。
相続放棄をした場合でも、カード会社への連絡が必要になることがあります。
その際は、相続放棄を検討している、または手続きを済ませたことを伝え、対応方法を確認することが大切です。
公共料金やサブスクなどの継続決済も確認する
クレジットカードを電気・ガス・水道などの公共料金、携帯電話料金、インターネット料金、動画配信サービスなどの支払いに利用している方も多いのではないでしょうか。
カードを解約すると、これらの継続決済ができなくなり、支払いが滞ったり、サービスが停止されたりする可能性があります。
カード会社への連絡と並行して、利用明細や銀行口座の引き落とし履歴を確認し、継続的な支払いがないかを調べておきましょう。
主な確認項目は次のとおりです。
・電気・ガス・水道などの公共料金
・携帯電話やインターネットの利用料金
・動画配信や音楽配信などのサブスクリプション
・新聞や雑誌の定期購読料
・保険料や会費などの継続的な支払い
亡くなった方が一人暮らしをしていた場合は、住居の解約や公共料金の精算など、ほかの手続きとの調整も必要になります。
必要な契約を確認し、それぞれの事業者に連絡して解約や名義変更などを進めましょう。
なお、カードを解約したからといって、継続契約そのものが自動的に終了するわけではありません。カード会社とサービス提供会社は別々に手続きする必要があるため、要注意です。
ポイントやマイルは相続できる?
クレジットカードを長年利用していた方の場合、ポイントやマイルが多く貯まっていることがあります。
こうしたポイントなどを相続人が引き継げるかどうかは、カード会社やポイントサービスの規約によって異なります。
死亡によって会員資格が終了すると、ポイントも失効する取り扱いとなっている場合があります。
一方で、一定の条件を満たせば相続人への引き継ぎが認められるサービスもあります。
そのため、解約の連絡をする際には、次の点も確認しておきましょう。
・ポイント残高を確認できるか
・相続人がポイントを引き継げるか
・解約前にポイントを利用できるか
・マイルについて別途相続手続きが必要か
ポイントやマイルは、サービスごとに取り扱いが異なります。
特に航空会社のマイルなどは、クレジットカードの解約とは別に、航空会社の会員規約に基づく手続きが必要になる場合があります。
解約後はポイントを利用できなくなることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
家族カードはどうなる?|本会員のカードとは別に確認
クレジットカードには、本会員の契約に基づいて家族が利用する「家族カード」があります。
本会員が亡くなった場合、家族カードも利用できなくなるのが一般的です。
家族カードを利用していた方は、今後の支払い方法を早めに検討する必要があります。
例えば、家族カードを日常の買い物や公共料金の支払いに利用していた場合は、別のクレジットカードを作成する、口座振替に変更するなどの対応が考えられます。
ただし、家族カードの利用代金が誰の債務となるかなどは、カード契約の内容によって確認が必要です。
本会員の未払金と併せて、カード会社に問い合わせておきましょう。
クレジットカードの相続手続き|カード会社が分からない場合は?
相続手続きを進める際、手元にカードがあれば会社名や問い合わせ先を確認できますが、カードが見つからない場合もあります。
そのようなときは、亡くなった方の通帳や銀行口座の取引履歴を確認してみましょう。
カード会社名で毎月引き落としが行われていれば、契約先を特定する手掛かりになります。
また、郵便物や利用明細、スマートフォンのアプリ、メールなども確認してみましょう。
複数のカードを契約している可能性もあるため、一社だけでなく、利用していたカードを一通り調べることが大切です。
カード会社が分かったら、一般的には次の流れで手続きを進めます。
① クレジットカードと契約先を確認する
② カード会社に連絡し、名義人が亡くなったことを伝える
③ 未払金、リボ払い、継続決済などの状況を確認する
④ ポイントや付帯サービスの取り扱いを確認する
⑤ 必要書類を提出し、解約手続きを行う
⑥ 残っている利用代金などについて、相続の状況に応じて対応する
必要書類はカード会社によって異なりますが、死亡の事実を確認できる書類や、手続きを行う相続人の本人確認書類などを求められることがあります。まずはカード会社に問い合わせ、必要な書類や手続き方法を確認しましょう。
このようにクレジットカードの手続きは、単にカードを処分するだけでは終わりません。未払金の精算や継続契約の見直しなど、ほかの相続手続きと並行して進める必要があります。
行政書士法人エニシアでは、相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、預貯金などの相続手続きに関するご相談まで、状況に合わせて丁寧にサポートしています。
「亡くなった家族のクレジットカードをどうすればよいか分からない」「相続手続きを何から始めればよいか分からない」など、お困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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