2026/09/04
相続放棄と生命保険
2026/09/04
相続放棄と生命保険
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
「借金が多いので相続放棄をしようと思ってます。でも生命保険は受け取れるの?」
相続の相談で非常に多いテーマが相続放棄と生命保険の関係です。
実は、相続放棄をしても生命保険金を受け取れるケースは多いです。
ただし、契約内容によっては受け取れない場合もあり、さらに税金の扱いも複雑になっています。
今回は、生命保険が「受け取れる場合」「受け取れない場合」「注意点」などについてお話しします。
なぜ相続放棄しても生命保険を受け取れるの?
生命保険金は、保険会社から受取人に直接支払われるお金です。
そのため、法律上は受取人固有の財産とされ、亡くなった方の遺産には含まれません。
つまり、相続放棄をして相続人としての地位を失っても、受取人としての権利はそのまま残るため、保険金を受け取ることができるというわけです。
相続放棄しても受け取れる生命保険金
具体的には、次のような生命保険金は、相続放棄しても受け取ることができます。
① 契約者=被保険者、受取人が指定されている場合
最も一般的なケースです。 被相続人が契約者・被保険者で、受取人が妻や子に指定されている場合、死亡保険金は受取人固有の財産となります。
② 約款で「法定相続人」が受取人とされている場合
受取人が特定されていない契約で、約款に「法定相続人」と書かれているケースです。
この場合も、保険金は受取人固有の財産となり、相続放棄しても受け取れます。
相続放棄すると受け取れない生命保険金
一方で、相続放棄すると受け取れなくなる生命保険金もあります。
① 受取人が「亡くなった本人」になっている場合
医療保険の入院給付金など、受取人が被相続人本人になっている契約です。
この場合、保険金は一度「相続財産」として扱われるため、相続放棄すると受け取れません。
② 契約者が亡くなり、解約返戻金が相続財産になる場合
契約者が亡くなり、被保険者が別人の場合(例:契約者=母、被保険者=子)。
この場合、死亡保険金は発生せず、契約者の「解約返戻金を受け取る権利」が相続財産になります。
相続放棄すると、この権利も引き継ぐことができません。
相続放棄の前後で注意すべきこと(単純承認のリスク)
生命保険金は受取人固有の財産ですが、相続放棄の前後には注意が必要です。
■ 相続放棄前に「相続財産の保険金」を受け取ると放棄できなくなる
相続財産に含まれる保険金を受け取ると、民法921条の「単純承認」に該当する可能性があります。
いったん単純承認になると、それから相続放棄をすることはできなくなります。
■ 相続放棄後に相続財産の保険金を使うと放棄が無効になる
相続放棄後でも、相続財産に含まれる保険金を使うと単純承認とみなされる可能性があります。
保険金の性質を必ず確認することが重要です。
生命保険金と税金|相続放棄しても課税されることがある
生命保険金は民法上は相続財産ではありませんが、税法上は「みなし相続財産」として扱われます。
そのため、相続放棄しても次のような税金がかかる可能性があります。
■ 相続税がかかる(みなし相続財産)
保険料を亡くなった方が負担していた場合、受け取った保険金は相続税の課税対象になります。
■ 非課税枠(500万円×法定相続人の数)は使えない
生命保険金の非課税枠は「相続人」にしか適用されません。 相続放棄した人は相続人ではないため、非課税枠を使えなくなるため注意が必要です。
■ 基礎控除は使える
相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)は、相続放棄した人も人数に含めて計算します。 そのため、結果的に相続税がかからないケースもあります。
■ 所得税・贈与税がかかるケースもある
契約者・被保険者・受取人の組み合わせによっては、相続税ではなく所得税や贈与税がかかることがあります。
このように相続放棄と生命保険の関係は、ポイントを押さえておくことが肝心です。
生命保険は契約内容によって扱いが大きく変わるため、内容に自信がない場合はあらためて保険証券の確認するようにしましょう。














