2026/08/04
相続時精算課税制度
2026/08/04
相続時精算課税制度
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談を受けていると、「子どもの住宅購入を支援したい」「生前のうちに財産を移しておきたい」という生前贈与のご希望をよく耳にします。
こうした場面で検討される制度のひとつが、相続時精算課税制度です。
制度の名前だけ聞くと難しそうですが、仕組みを理解すると、どのような場面で役立つ制度なのかが見えてきます。
相続時精算課税制度とは?
相続時精算課税制度は、親から子どもや孫へ財産を贈与する際に使える制度で、贈与時には最大2,500万円まで税金がかからないという特徴があります。
通常の暦年贈与では年間110万円までしか非課税になりませんが、この制度を使えば、住宅購入や事業資金など、まとまった資金を一度に渡すことができます。
ただし、贈与時に非課税になるからといって、税金が完全に免除されるわけではありません。
親が亡くなったときに、贈与した財産を相続財産に加算して相続税を計算する仕組みになっています。つまり、贈与時に税金を払うか、相続時にまとめて精算するかの違いであり、「税金がゼロになる制度」ではないのです。
暦年贈与との違い
暦年贈与は、年間110万円まで非課税で贈与できる制度です。
毎年少しずつ贈与したい場合にはとても使いやすい制度ですが、110万円を超えると贈与税がかかります。
一方、相続時精算課税制度は非課税枠が2,500万円と大きく、まとまった資金を渡したい場合に向いています。
ただし、この制度を選択すると暦年贈与には戻れません。
翌年以降も贈与する場合は、すべて相続時精算課税制度で申告する必要があります。毎年110万円の非課税枠が使えなくなるため、長期的な贈与計画を立てたうえで選択することが大切です。
制度を選ぶメリット
相続時精算課税制度の最大のメリットは、贈与時に大きな非課税枠が使えることです。
住宅購入のために親から資金援助を受けたい場合や、事業を始めるためにまとまった資金が必要な場合には、とても有効な制度です。
また、将来値上がりする可能性が高い不動産や株式を贈与する場合、贈与時の評価額で相続税を計算するため、節税効果が期待できることもあります。
さらに、親が高齢になってきた場合、生前のうちに財産を移しておくことで、相続の負担を減らすことができます。
相続時精算課税制度は、親が元気なうちに財産を渡したいというニーズに応える制度でもあります。
制度の注意点
一方で、この制度には注意すべき点が多くあります。
まず、贈与時に非課税であっても、相続のときに贈与した財産をすべて加算して相続税を計算するため、結果的に相続税が増えることがあります。
特に、親の総資産が多い場合は、制度を使うことで相続税の負担が大きくなる可能性があります。
また、贈与した財産が将来値下がりした場合は不利になります。
贈与時の評価額で相続税を計算するため、相続時に価値が下がっていても、贈与時の高い評価額がそのまま使われてしまうからです。
値上がりする可能性が高い財産なら有利ですが、値下がりする可能性がある財産を贈与する場合は慎重な判断が必要です。
さらに、相続時精算課税制度を選択すると、毎年110万円の非課税枠が使えなくなります。
贈与税の申告も毎年必要になるため、手続きが煩雑になることもあります。制度を選ぶ前に、長期的な贈与計画を立てておくことが欠かせません。
どんな人に向いている制度なのか
相続時精算課税制度が向いているのは、住宅購入や事業資金など、まとまった資金を一度に渡したい場合です。
また、将来値上がりする可能性が高い不動産や株式を贈与したい場合にも有効です。
親の総資産が多く、相続税がかかる見込みがある場合は、制度を使うことで節税効果が期待できることもあります。
逆に、毎年少しずつ贈与したい場合や、親の総資産が少なく相続税がかからない見込みの場合は、暦年贈与のほうが使いやすく、税務上も有利です。
制度を選ぶかどうかは、親の資産状況、贈与する財産の種類、将来の相続税の見込みなどによって大きく変わります。
制度を使う前に確認したいこと
相続時精算課税制度は、一度選択すると取り消しができないため、制度を使う前にいくつか確認しておくことが大切です。
まず、親の総資産を把握しておくことが重要です。
相続税がかかるかどうかで、制度の有利・不利が大きく変わります。
また、贈与する財産が将来値上がりするのか、値下がりするのかを考えておくことも必要です。
さらに、長期的な贈与計画を立てておくことが欠かせません。制度を選択すると暦年贈与に戻れないため、毎年の贈与をどのように進めるのか、家族で話し合っておくことが安心につながります。
「使えば必ず得」ではなく、状況によって大きく変わる制度
相続時精算課税制度は、2,500万円まで非課税という大きなメリットがある一方で、相続時にまとめて課税されるという特徴があります。
制度を選ぶかどうかは、親の資産状況、贈与する財産の種類、将来の相続税の見込みなどによって大きく変わります。
行政書士法人エニシアでは、税理士と連携した相続時精算課税制度の選択、贈与契約書の作成、状況に合わせて丁寧にサポートしています。
「どうすべきか迷っている」という段階からでも、遠慮なくご相談ください。
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