2026/08/03
山林と相続
2026/08/03
山林と相続
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談を受けていると、「山の土地を持っているけれど、ほとんど行ったことがない」「親が山林を持っていたらしいが、場所もよく分からない」「山林なんて価値がないから、相続してもしなくても同じですよね?」という声をよく耳にします。
山林は、相続の場面で「よく分からないから後回し」にされがちな財産です。
ところが、固定資産税の負担や境界トラブル、倒木や土砂崩れなどのリスクを考えると、決して軽く扱ってよい財産ではありません。
使っていない山林でも、相続した瞬間から「所有者としての責任」が生じます。
場所も分からないまま放置してしまうと、後から大きな問題になることもあり実は注意が必要なのです。
山林は「価値が分かりにくい」
山林の相続で最初に戸惑うのは、「そもそもこの山林に価値があるのか分からない」という点です。
市街地の土地や建物であれば、売却価格のイメージがつきやすいですが、山林は場所や地形、樹木の状態によって価値が大きく変わります。
木材としての価値がほとんどない山林もあれば、将来の開発可能性がある土地もあります。
相続税の評価では、山林は「山林としての評価額」で計算されます。
宅地より低い評価になることが多いものの、まったく価値がないわけではありません。
毎年固定資産税がかかることありますし、所有している以上は管理責任も伴います。
「どうせ価値がないから」と決めつけてしまう前に、場所や評価額を確認しておくことが大切です。
まずは「どこにある山林なのか」を確認する
山林を相続したとき、最初にやるべきことは「場所の確認」です。
登記簿謄本や固定資産税の納税通知書には、地番や地目が記載されていますが、それだけでは実際の場所が分かりにくいこともあります。
その場合は、市役所や町村役場で地図を確認し、可能であれば現地を一度見ておくと安心です。
場所を確認することで、傾斜のきつさ、道路からの距離、周囲の状況などが分かります。
これらは、将来売却できるかどうか、管理がどの程度必要かを判断するうえで重要な情報です。
特に、住宅地や道路に近い山林は、倒木や土砂崩れのリスクがあり、所有者としての責任が問われることもあります。
山林を相続したときに生じる「負担」と「責任」
山林を相続すると、毎年の固定資産税の負担が続きます。
評価額が低い場合でも、税金がゼロになるわけではありません。
また、所有者として、山林の管理責任も生じます。倒木が道路をふさいだり、土砂が隣地に流れ込んだりした場合、状況によっては損害賠償の問題に発展することもあります。
さらに、山林は境界が分かりにくいことが多く、隣地との境界トラブルが起こりやすい財産でもあります。
親の代から「なんとなくこの辺りがうちの山」という感覚で使っていた場合、図面と現地が一致していないこともあります。
相続をきっかけに、境界を確認しておくことは、後のトラブルを防ぐうえでとても重要です。
山林を「持ち続ける」のか「手放す」のか
山林を相続した後の選択肢は、大きく分けると「持ち続ける」か「手放す」かの二つです。
持ち続ける場合は、固定資産税の負担と管理責任を受け入れることになります。
手放す場合は、売却や寄付などの方法を検討することになりますが、山林は宅地のように簡単には売れません。
売却を検討する場合、まずは不動産会社や山林の売買に詳しい専門家に相談し、買い手が見込めるかどうかを確認します。
場所や地形によっては、木材としての価値がほとんどなく、買い手が見つからないこともあります。
その場合、自治体や森林組合に相談し、管理の方法や将来の活用可能性を探ることも一つの方法です。
「相続したくない」と思ったときの考え方
山林を相続したくないと感じる方も少なくありません。
固定資産税の負担や管理の手間を考えると、「むしろいらない」と感じるのは自然なことです。
ただし、相続放棄をすると、山林だけでなく、預貯金や自宅など、すべての財産を放棄することになります。
「山林だけいらない」という選択は、原則としてできません。
そのため、まずは山林の評価額やリスクを把握したうえで、他の財産とのバランスを考えることが大切です。
遺産分割協議で、山林を特定の相続人が引き継ぎ、他の相続人は預貯金などを多めに受け取るという調整も可能です。
家族の中で「山林を引き継いでもよい人」がいる場合は、その人に集中して相続してもらう方法もあります。
生前のうちにできること
山林の相続で困らないためには、生前の準備がとても重要です。
まず、山林の場所や面積、評価額を家族と共有しておくことが大切です。「どこにあるのか分からない山林」を残してしまうと、相続人が手続きに苦労します。
また、将来誰が山林を引き継ぐのか、家族で話し合っておくことも有効です。
場合によっては、生前のうちに山林を売却したり、森林組合などと協力して管理の体制を整えたりすることも検討できます。
山林は時間をかけて向き合うべき財産であり、「相続が始まってから慌てて考える」よりも、「元気なうちに方向性を決めておく」ほうが、家族にとっても安心です。
「よく分からないから放置」が一番危険
山林は、普段の生活から距離がある財産だからこそ、「よく分からないから後回し」にされがちです。
しかし、固定資産税の負担や管理責任、境界トラブルなどを考えると、放置することが一番の危険になります。
まずは場所と評価額を確認し、持ち続けるのか、手放す方向を探るのかを家族で話し合うことが重要です。
行政書士法人エニシアでは、山林の相続手続き、遺産分割協議書の作成、他の専門家との連携まで、状況に合わせて丁寧にサポートしています。
「山林があるけれど、どうしたらいいか分からない」という段階からでも、遠慮なくご相談ください。
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