2026/07/30
農地と相続【前編】
2026/07/30
農地と相続【前編】
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談を受けていると、「実家の裏に農地があるけれど、相続のときはどう扱えばいいの?」「農地は売れないと聞いたけれど本当?」「農地を相続したら農業を続けなければならないの?」といった不安の声をよく耳にします。
農地は、相続の場面でもっとも誤解が多い不動産です。
理由は、農地が「農地法」という特別な法律で厳しく管理されているためで、宅地や建物とはまったく違うルールが適用されます。
相続人が農業をしていない場合は、相続後の管理や売却が難しくなることもあります。
今回は、農地の相続で必ず知っておきたい基本、農地法の仕組み、相続人が農業をしない場合の選択肢などにつてお話しいたします。
農地は「農地法」で厳しく守られている財産
農地は、宅地や山林とは違い、「農地法」という特別な法律で管理されています。
農地法の目的は、農地を勝手に宅地や駐車場に転用されないようにし、農業を守ることです。
そのため、農地の売買・賃貸・転用には、農業委員会の許可が必要になり、自由に売れない・貸せない・用途変更できないという点が一番の特徴になります。
相続したからといって、すぐに宅地として売却できるわけではないのです。
農地の相続は「許可不要」だが、その後が重要
農地の相続は、農地法の許可が不要です。
相続は法律上の当然の権利であり、農業委員会の許可を得なくても農地を相続できます。
しかし、相続した後に農地をどう扱うかは、農地法の規制を受けます。
例えば、次のような場合は許可が必要です。
・農地を売却したい
・農地を貸したい
・農地を宅地に転用したい
・農地を駐車場にしたい
・農地を資材置き場にしたい
相続そのものは自由でも、相続後の扱いが厳しく制限されてしまうのです。
相続人が農業をしていない場合の問題点
農地の相続で最も多いのが、「相続人が農業をしていないケース」。
農地を相続したものの、農業を続ける予定がない場合、次のような問題が生じます。
● 農地を売却できない
農地を売却するには、農業委員会の許可が必要で、買い手も農業者でなければなりません。
● 農地を宅地に転用できない
農地を宅地にするには「農地転用許可」が必要で、地域によっては許可が非常に厳しいことがあります。
● 放置すると草木が生い茂り、近隣トラブルになる
農地は管理が必要で、放置すると苦情が出ることがあります。
このように農地は「相続したら終わり」ではなく、相続後の管理がキーになります。
農地の種類によって扱いが変わる
農地にはいくつか種類があり、相続後の扱いが大きく変わります。
代表的なのは次の3つです。
① 田・畑(純粋な農地)
農地法の規制が最も強い土地です。売却・転用は厳しく制限されます。
② 農業振興地域内の農地
「農業を守るための地域」に指定されている農地で、転用許可がほぼ下りません。
③ 市街化区域内の農地
都市計画区域内の農地で、転用許可が比較的得やすい土地です。
同じ「農地」でも、地域や用途地域によって扱いが大きく異なるため、まずは役所で「農地の種類」を確認することが重要です。
農地の相続で最初にやるべきこと
農地を相続したら、まず次の3つを確認しましょう。
① 農地の場所と面積を把握する
登記簿や地図で農地の位置を確認します。
② 農地の種類を確認する
農業振興地域か、市街化区域かで扱いが変わります。
③ 農業委員会に相談する
農地の売却・転用の可能性を確認します。
農地は専門的な知識が必要なため、早めに農業委員会や専門家に相談することが安心につながります。
農地は、宅地や建物とはまったく違うルールで管理されているため、相続の場面で誤解が生じやすい財産です。
相続そのものは自由でも、相続後の扱いは農地法の規制を受けます。
農業をしていない相続人が農地を相続すると、売却や転用が難しくなることもあります。
次回の後編では、農地を相続した後の具体的な選択肢(売却・転用・賃貸・農地の保全)、農地を相続したくない場合の対処法などについてお話しいたします。














