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トラブルを招く遺言書

2026/06/15

トラブルを招く遺言書

こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。

 

遺言書は「家族が揉めないように」と思って作るものですが、実務ではむしろ遺言書が原因でトラブルになるケースも少なくありません。

 

「善意で書いたのに、結果的に家族が争ってしまった」――そんな遺言書には、いくつかの共通点があります。

 

この記事では、どんな遺言書がトラブルを招きやすいのか、そして避けるためのポイントをお話しします。

 

 

 

① 書き方が曖昧で、解釈が分かれる遺言書

最も多いトラブルの原因が「表現の曖昧さ」です。

 

 

たとえば、

・「長男に家を相続させる」
・「妻に財産をすべて任せる」
・「子どもたちで仲良く分けること」

 

 

一見わかりやすいように見えても、実際の手続きでは次のような問題が起こります。

・「家」とは土地も含むのか?
・「すべて任せる」とは所有権を渡すのか、管理権だけなのか?
・「仲良く分ける」とは具体的にどう分けるのか?

 

 

このように、法律的な意味が不明確な表現は、相続人の解釈が分かれ、争いの火種になります。

 

遺言書は「気持ち」だけでなく、「法的にどう扱われるか」を意識して書くことが大切です。

 

 

 

② 財産の範囲が不明確な遺言書

「どの財産を誰に渡すか」がはっきりしていない遺言書も、トラブルの原因になります。

 

 

・「預金を長女に相続させる」→どの銀行のどの口座か不明
・「土地を次男に遺す」→地番や面積が特定されていない
・「株式を孫に渡す」→銘柄や数量が書かれていない

 

 

このような遺言書は、実際の手続きで「どの財産を指すのか」でもめることになるのです。

 

 

財産を特定するときは、

・銀行名・支店名・口座番号
・不動産の地番・面積・登記簿上の名称
・株式の銘柄・数量

などを具体的に記載しましょう。

 

 

 

③ 相続人の気持ちを考えずに「偏った内容」にしてしまう遺言書

「自分の思いを形にしたい」という気持ちは大切ですが、一方的に偏った内容にすると、残された家族の間で不満が生まれます。

 

 

・「長男にすべてを相続させる」
・「次女には何も渡さない」
・「妻には財産を渡さない」

 

 

こうした遺言書は、他の相続人から「不公平だ」「納得できない」という声が上がり、遺留分侵害請求(法定の取り分を請求する手続き)につながることがあります。

 

遺言書を書くときは、「法定相続分」と「家族の気持ち」の両方を考慮することが大切です。

※かならず法定相続分のとおりにしなければいけないということではありません。

 

 

 

④ 特定の相続人への悪口や恨みを書いてしまう遺言書

遺言書の中に特定の相続人への批判や恨みの言葉が書かれているケースもあります。

 

 

・「長男は親不孝者だから何も渡さない」
・「次女には昔から裏切られたので一切相続させない」
・「妻には恩知らずな行動が多かった」

 

 

こうした記述は、法的には遺言の効力に直接影響しない場合もありますが、感情的な火種となり、残された家族の関係を深く傷つけます。

 

遺言書は「最後のメッセージ」です。恨みや怒りを書き残すと、遺言の目的である“家族の平和”が失われてしまうことになります。

 

どうしても伝えたい思いがある場合は、付言事項(メッセージ欄)に「なぜこの分け方にしたのか」「感謝の気持ち」などを穏やかに書くことで、誤解を防ぐことができます。

 

 

 

⑤ 遺言書の形式が法律に反している

遺言書は、形式を間違えると無効になります。

 

・自筆証書遺言なのに日付がない
・署名がない、押印がない
・複数人で一緒に書いた(共同遺言)
・訂正の仕方が法律に沿っていない

 

これらはすべて「形式不備による無効」の原因になります。

 

せっかくの遺言書が無効になると、相続人は「遺言があるのに使えない」という混乱に陥り、結果的に争いが起こります。

 

内容がシンプルなものであっても、形式面について専門家に確認しておくことと安心です。

 

 

 

⑥ 遺言書が古く、現状に合っていない

遺言書は一度作ったら終わりではありません。

 

・家族構成が変わった
・財産の内容が変わった
・気持ちが変わった

 

こうした変化に合わせて見直さないと、「今の状況に合わない遺言書」がトラブルの原因になります。

 

遺言書は「5年に一度」くらいのペースで見直すのがおすすめです。

 

 

 

⑦ 「気持ちだけ書いて、法的な効力がない」遺言書

「家族仲良く」「感謝の気持ちを伝えたい」という思いを込めた遺言書は素敵ですが、気持ちだけで終わってしまう遺言書は、実際には役に立ちません。

 

 

・「妻に感謝を込めてすべてを託します」
・「子どもたちで話し合って決めてください」

 

 

これらは気持ちは伝わりますが、「誰に」「何を」「どのように」渡すのかが書かれていないため、法的効力はありません。

 

気持ちの部分は付言事項として書きつつ、法的な内容を明確に記載することが大切です。

 

 

 

⑧ 遺言執行者を指定していない遺言書

遺言書に遺言執行者が指定されていないと、相続人同士で手続きを進める必要があり、意見が食い違うと手続きが止まってしまいます。

 

 

特に、

・相続人同士の関係が複雑
・相続財産が多い
・不動産が複数ある

といった場合は、遺言執行者がいないことで大きなトラブルにつながります。

 

 

遺言執行者を指定しておくと、手続きがスムーズに進み、相続人同士の負担も非常に軽くなります。

 

 

 

⑨ 遺言書の保管場所がわからない・見つからない

遺言書そのものの話ではありませんが、保管場所も大事な事項のひとつです。

遺言書がどこにあるかわからず、相続人が探し回るケースが少なくありません。

 

 

特に自筆証書遺言は、

・タンスの奥にしまって忘れる
・家族が見つけられない
・紛失してしまう

といったリスクがあります。

 

 

法務局の「自筆証書遺言保管制度」を利用すれば、紛失・改ざんの心配がなく、相続人が確実に見つけられるため安心です。

 

 

遺言書は「書けば安心」ではなく「トラブルポイントを避けて、正しく書いてこそ安心」

遺言書は、家族のために残す大切なメッセージです。

 

しかし、

・曖昧な表現
・財産の特定不足
・偏った内容
・悪口や恨みの記述
・形式不備
・古い内容のまま放置
・気持ちだけで法的効力がない
・遺言執行者の不在
・保管場所の問題

といったポイントがあると、遺言書そのものがトラブルの原因になってしまいます。

 

遺言書は「書けば終わり」ではなく、家族が安心して受け取れる形に整えることが大切です。

 

行政書士法人エニシアでは、遺言書の作成から見直し、保管方法まで、ご家族の状況に合わせて丁寧にサポートしています。

 

どうぞお気軽にご相談ください。

 

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