2026/09/01
遺贈は断れる?
2026/09/01
遺贈は断れる?
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
突然ですが、もしかしたら誰かの遺言書で「あなたに財産を遺贈します」と指定されることがあるかもしれません。
しかし、
「疎遠だった人から突然遺贈された。受け取りたくない…」
「借金付きの不動産を遺贈された。どうすればいい?」
「相続人ではないが、遺贈を断る方法はある?」
ということも、もしかしたらあるでしょう。
先にお話しすると、遺贈は断ることができます。
ただし、断り方にはルールがあり、放置すると“受け取ったもの”とみなされることもあります。
今回は、遺贈を断る方法、断った後の扱い、注意点などについておお話しします。
法律上「放棄」が認められている
遺贈とは、遺言によって相続人以外の人に財産を渡すことです。
民法では、受遺者(遺贈を受ける人)が遺贈を放棄できると明確に定められています。
● 遺贈を受け取ることは義務ではない
● 受け取りたくなければ放棄できる
● 放棄すれば財産は受け取らなくてよい
遺言で指定されても「必ず受け取らなければならない」ということはありません。
遺贈の種類によって「放棄方法」が違うので注意
ただし、遺贈には大きく2種類あり、放棄方法がまったく異なります。
■ 包括遺贈(財産の全部または割合)
例:
・「全財産の3分の1をAに遺贈する」
・「全財産を妻に遺贈する」
包括遺贈を受けた人は、法律上相続人と同じ地位(包括受遺者)になります。 そのため、放棄するには家庭裁判所で相続放棄の申述が必要です(相続開始を知った日から3か月以内)。
■ 特定遺贈(特定の財産を指定)
例:
・「札幌市の自宅を長男に遺贈する」
・「◯◯銀行△△支店の預金をBに遺贈する」
このような特定遺贈は、相続人と同じ地位にはなりません。
そのため、放棄は相続人または遺言執行者へ意思表示するだけで成立します。
この違いを知らないと、必要な手続きを誤り、放棄が認められない可能性がありますのでくれぐれもご注意ください。
遺贈を放棄する方法|書面で明確に意思表示する
特定遺贈の場合は、次のような書面を作成して通知することが望ましいでしょう。
● 遺贈を放棄する意思
● 遺言者の氏名
● 遺言の日付
● 放棄する財産の内容
● 受遺者の署名・押印
遺言執行者がいる場合は執行者へ、いない場合は相続人全員へ通知します。
他方、包括遺贈の場合は、家庭裁判所で相続放棄の申述を行うことが必要になります。
遺贈を断るべき典型的な場合
実際の場面では、 例えば、借金付きの不動産や管理が困難な山林・農地など、維持費や固定資産税の負担が大きい財産を遺贈された場合などは遺贈を放棄したほうが良いケースといえます。
また、遺言者と疎遠で受け取りたくない場合や、遺贈を受けることで相続人との関係が悪化する可能性がある場合も、放棄を選ぶことがあるでしょう。
遺贈は「善意の贈り物」とは限らず、負担が大きい財産が指定されることもあるため、内容を冷静に確認することが大切です。
遺贈放棄のポイント
遺贈を放棄する際は、まず遺贈が包括遺贈か特定遺贈かを確認することが重要です。
包括遺贈であれば家庭裁判所で相続放棄の申述が必要となり、特定遺贈であれば相続人や遺言執行者へ書面で通知するだけで放棄ができます。
また、放棄を決めた場合は財産に触れないことが鉄則です。 不動産の場合は固定資産税や管理責任が発生するため、早めに判断する必要もあります。 さらに、相続人との連絡を丁寧に行うことで、後の誤解やトラブルを防ぐことができます。
このように遺贈は義務ではなく、受け取りたくなければ放棄ができます。
特定遺贈と包括遺贈での違いなど注意点を押さえて、不要な財産を抱え込むことなく、スムーズに手続きを進めらることが重要です。














