2026/09/02
連絡のつかない異母兄弟
2026/09/02
連絡のつかない異母兄弟
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談で非常に多いのが、「異母兄弟と連絡が取れない」というケースです。
「父が再婚していたらしく、異母兄弟がいると役所で言われた」 「一度も会ったことがないし、連絡先も分からない」 「手紙を送っても返事がない。どう進めればいい?」
こうした状況は珍しくなく、しかし、相続では相続人全員の合意が必要という大原則があるため、連絡がつかない異母兄弟がいると遺産分割の手続きが進まなくなってしまいます。
今回は、連絡のつかない異母兄弟がいる場合の相続手続きの進め方についてお話しいたします。
相続は「相続人全員の合意」が大前提
まず押さえておきたいのは、遺産分割協議は相続人全員が参加して合意しなければ成立しないという点です。
異母兄弟が疎遠であっても、会ったことがなくても、法律上の相続人である以上、その人を除外して協議を進めることはできません。
相続人の一部を除いた協議書は無効となり、
・預貯金の解約
・不動産の相続登記
・売却手続き
など、様々な相続手続きが止まってしまいます。
そのため、連絡がつかない異母兄弟がいる場合は、まず「連絡が取れない理由」を整理することが重要です。
まずは状況を切り分ける
連絡がつかない相続人の状況は大きく次の3つが考えられます。
① 音信不通(住所は分かるが返事がない)
② 所在不明(住所が分からない・郵便が返戻される)
③ 生死不明(長期間行方不明)
このうちどれに当てはまるかによって、取るべき手続きが大きく変わってきます。
① 音信不通の場合
異母兄弟がいることがわかっているが、住所も連絡先もわからない。こうしたケースは非常に多く、実際の場面では次のように進めることになります。
まずは戸籍と附票で住所を確認する
異母兄弟の住所は、戸籍の附票で追跡できます。 附票には過去の住所履歴が記録されているため、疎遠な兄弟でも現在の住民票上の住所が判明することが多いです。
最初の手紙は「丁寧な案内」から始める
いきなり遺産分割協議書を送りつけると、相手は警戒します。 最初の手紙では、
・誰が亡くなったのか
・なぜあなたが相続人になるのか
・どのような財産があるのか
・一度連絡をいただきたいこと
を丁寧に伝えることが大切です。
返事がない場合は内容証明郵便で意思確認
通常の手紙で反応がない場合は、内容証明郵便を送付します。
内容証明は「いつ・誰に・どんな内容を送ったか」が記録に残るため、後で家庭裁判所で調停をすることになる際に重要な証拠にもなるからです。
それでも連絡が取れない場合は「遺産分割調停」へ
書面での連絡を尽くしても返事がない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます(自分で行うことが難しければ、弁護士に依頼することも必要になります)。
調停の呼出状は裁判所から届くため、心理的なハードルが上がり、これをきっかけに連絡が取れるケースもあります。
もし調停に出席しなくても、調停不成立となり、審判へ移行します。
審判では裁判所が法的基準に基づいて遺産分割を決定するため、相続は前に進むことになります。
② 所在不明の場合|住所が分からない・郵便が戻る
戸籍の附票を追っても住所が判明しない、郵便が宛先不明で戻ってくる――。
この場合は、所在調査を尽くしたうえで、次のような手続きが必要になります。
不在者財産管理人の選任を申立てる
所在不明の相続人がいる場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てることができます(これも自分で行うことが難しければ司法書士や弁護士に依頼することを検討しましょう)。
不在者財産管理人が選任されると、その人が所在不明の相続人の代わりに遺産分割協議に参加できます。
これにより、相続手続きが前に進むようになります。
③ 生死不明の場合|長期間行方不明
異母兄弟が長期間行方不明で、生死が分からない場合は、失踪宣告を検討します。
・普通失踪:生死不明7年
・危難失踪:災害・事故などの危難後1年
失踪宣告が確定すると、その人は法律上「死亡した」とみなされ、相続が開始し、もともとの相続についても話が進むことになります。
このように異母兄弟と連絡が取れない場合でも、相続人全員の合意が必要という大原則は変わりませんが、相続は必ず前に進みます。
行政書士法人エニシアでは、 相続関係の確定のための戸籍収集・相続人調査から遺産分割協議書の作成や、 状況に合わせて連携している弁護士・司法書士とともに丁寧にサポートを行っています。
お困りの方はどうぞご相談ください。
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