2026/05/18
複数の遺言書があるときの注意点
2026/05/18
複数の遺言書があるときの注意点
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談を受けていると、
「父が遺言書を2通残していた」
「古い遺言と新しい遺言、どちらが有効なの?」
という話をお客様からされることがあります。
今回は、複数の遺言書がある場合にどのように扱われるのか、注意すべきポイントをお話しします。
複数の遺言書があるケースは意外と多い
遺言書は、本人が生きている間であれば何度でも書き直すことができます。
そのため、次のような理由で複数の遺言書が残ることがあります。
・古い遺言の内容を見直した
・財産や家族構成が変わった
・公正証書遺言を作り直した
・自筆証書遺言を追加で書いた
複数の遺言書があること自体は珍しくないのです。
しかし問題は「どの遺言書が有効なのか」という点です。
原則:最後に作成された遺言書が有効
複数の遺言書がある場合、最も新しい日付の遺言書が有効になります。
民法では、後から作られた遺言が前の遺言と内容が矛盾する場合、 後の遺言が優先されると定められています。
たとえば、
・2018年の遺言:「長男に自宅を相続させる」
・2024年の遺言:「自宅は次男に相続させる」
この場合、2024年の遺言が有効です。
ただし「すべてが無効になる」ケースもある
複数の遺言書があるとき、単純に「新しいものだけ有効」とは限りません。
次のような場合は注意が必要です。
一部だけが矛盾している
遺言書の内容が部分的に重なっている場合、矛盾する部分だけが後の遺言で上書きされる形になります。
例:
古い遺言 → 「自宅は長男に、預金は妻に」
新しい遺言 → 「自宅は次男に」
この場合、預金については古い遺言が有効です。
無効な遺言が混ざっている
形式不備(署名・押印・日付なしなど)がある遺言は無効です。
その場合、有効な遺言だけが効力を持つことになります。
公正証書遺言と自筆証書遺言が両方ある場合
なかには「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」が両方残っているケースもあります。
公正証書遺言は公証人が関与しているため、形式不備がなく信頼性が高いという特徴があり、他方で、自筆証書遺言は本人の意思が直接書かれているため、内容確認の際に「本当に本人が書いたか」が争われることがあり得ます。
このため、なんとなく「公正証書遺言」の方が優先される気がするかもしれません。
しかし、この場合も、あくまでも日付が新しい方が有効。
遺言の種類・作成方式だけでは判断できないので注意です。
複数の遺言書が見つかったときの対応手順
遺言書が複数見つかった場合は、次の順番で確認しましょう。
① 日付を確認する
最も新しい遺言書を特定します。
② 形式の有効性を確認する
署名・押印・日付・全文自筆など、法律上の要件を満たしているか確認します。
③ 内容の重複や矛盾を整理する
どの部分が上書きされているかを確認します。
④ 検認手続きを行う(自筆証書遺言の場合)
家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
⑤ 専門家に相談する
複数の遺言書がある場合は、判断を誤ると相続手続きが止まってしまうこともあります。 行政書士・司法書士・弁護士などに早めに相談しましょう。
複数の遺言書を残すときの注意点
遺言を見つけた相続人側も大切ですが、作る側はそれ以上に注意してほしいです。
遺言書を複数作ること自体は自由で、もちろん問題ないことですが、新しく作成する際は残された方の安心も考えて次の点に気を付けてください。
・古い遺言書は破棄しておく(誤解防止)
・新しい遺言書には必ず日付を記載する
・内容変更は専門家に相談して行う
複数の遺言書があるときは「日付」と「形式」が鍵
複数の遺言書が見つかった場合は、次のポイントを押さえましょう。
・原則は「最後に作成された遺言書」が有効
・一部だけ矛盾している場合は部分的に有効
・無効な遺言が混ざっている場合は注意
・作成時は古い遺言を破棄しておくのが安心
遺言書は「家族へのメッセージ」です。
複数の遺言が残ると、せっかくの思いが誤解されてしまうこともあります。
作成時も、発見時も、専門家に確認して正しく扱うことが大切です。
行政書士法人エニシアでは、相続手続きの際に複数の遺言書が出てきた時の内容確認、司法書士等と連携した検認手続きのサポートはもちろん、一度作った遺言書の内容を変更する(再作成)のサポートも行っています。
「遺言が複数ある」「どれが有効かわからない」という方、「一度作った遺言の内容を胃変えよう」とお考えの方、どうぞお気軽にご相談ください。
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