2026/07/07
相続放棄、全員したらどうなるの?|管理義務の落とし穴
2026/07/07
相続放棄、全員したらどうなるの?|管理義務の落とし穴
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
「家族全員で相続放棄したら、もう何もしなくていいんですよね?」
このように考えている方、結構いらっしゃいます。
実は、相続放棄をしたとしても、完全に無関係になるわけではありません。
特に相続人全員が放棄した場合でも、注意すべき点がいくつかあります。
相続放棄は「自分が相続人でなくなる」手続き
家庭裁判所で相続放棄をすると、その人は最初から相続人でなかったものとみなされます。
つまり、財産も借金も権利も義務も一切引き継ぎません。
ただし、これは「自分が相続人でなくなる」というだけで、相続そのものが消えるわけではありません。
全員が相続放棄したらどうなる?
相続放棄は“個人ごと”の手続きです。そのため、関係者全員が放棄する場合には次のような流れになります。
① 次順位の相続人へ権利が移る
第一順位(子)が全員放棄すると、第二順位(父母)が相続人になります。第二順位が全員放棄すると、第三順位(兄弟姉妹)が相続人になります。
② 次順位の相続人も放棄すると「相続人不存在」に近づく
すべての順位の相続人が放棄すると、相続人がいない状態(相続人不存在)になります。
この場合、財産を管理する人がいなくなるため、利害関係者などの申立により家庭裁判所で相続財産管理人が選任されます。
③ 相続財産管理人 → 相続財産清算人へ移行する
相続財産管理人は、財産の調査・管理・公告などを行い、相続人や受遺者が名乗り出る機会を確保します。
公告期間(最低6か月)を経ても誰も現れなければ、家庭裁判所が相続財産清算人を選任し、財産の売却・清算・その後の残った財産を国庫に帰属させるという流れになります。
④ 相続財産管理人・清算人の選任には費用がかかる
相続財産管理人の選任申立てには、予納金(数十万円〜)や公告期間などの時間が必要になります。清算人が選任される場合も同様です。
相続人が誰もいない場合でも、財産を処理するための手続きは必ず必要という点が重要です。
相続放棄しても「管理義務」が残ることに注意
ここで最も誤解されやすいポイントをお話しします。
実は、相続放棄をしても、相続放棄をする時点で対象物を占有している場合には、放棄した人には“管理義務”が残るのです。
管理義務とは、財産が荒れたり、損なわれたりしないよう最低限の管理をする義務のことです。
管理を怠り、相続放棄をする時点で占有していた空き家がその後に倒壊したり近隣に損害を与えた場合、損害賠償を請求される可能性があります。
「放棄したから関係ない」が通用しないのです。
全員が放棄する場合は「誰が管理するか」を事前に考える必要がある
相続放棄は便利な制度ですが、全員が放棄する場合は、管理義務を誰が担うかを事前に考えておくことが後々の家族間のトラブルを防ぐのには重要です。
できれば生前に整理がついているのが理想
しかし、もっといえば、生前にあらかじめ財産の処理方法を決めておいたり、後あと処分しにくいものについては生前に整理しておくことで、相続放棄の負担は大きく減らすことができるのです。
行政書士法人エニシアでは、将来相続人が相続放棄に悩まないよう、元気なうちにできる不動産の処分や遺言などの生前対策をサポートしています。
「残される相続人にはできるだけ負担や迷惑を掛けたくない」
そうお考えの方はぜひ一度ご相談ください。
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