2026/06/02
同時死亡の相続
2026/06/02
同時死亡の相続
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談を受けていると、「夫婦が同じ事故で亡くなった場合、相続はどうなるんですか?」「親子が同時に亡くなったら、どちらの財産が先に動くんでしょうか」という質問をいただくことがあります。
普段はあまり意識しないテーマですが、交通事故・災害・火災など、“同じ出来事で複数人が亡くなる”というケースは実際に起こり得ます。
そして、誰が先に亡くなったかで相続の結果が大きく変わるという点は、意外と知られていません。
この記事では、同時死亡とは何か、どのように相続へ影響するのか、そしてトラブルを防ぐためにどんな対策ができるのかについてお話しします。
同時死亡とは何か
法律では、死亡の前後が判別できない場合は「同時に死亡したものとみなす」と定められています。
これは、事故・災害・火災・病院での同時死亡など、死亡時刻が特定できないケースで適用されます。
同時死亡と判断されると、互いに相続し合うことはできません。
つまり、夫婦が同時に亡くなった場合、夫は妻の財産を相続できず、妻も夫の財産を相続できないという扱いになるのです。
なぜ「同時死亡」が相続に影響するのか
相続は、“誰が先に亡くなったか”によって相続人が変わります。
たとえば、夫→妻の順に亡くなった場合、妻は夫の財産を相続します。
しかし、同時死亡と判断されると、妻は夫の財産を相続できません。
その結果、夫の財産は妻ではなく、夫の子どもや親、兄弟姉妹に承継されます。
このように死亡の順番が変わるだけで、財産の行き先が大きく変わるのです。
同時死亡が問題になる典型的なケース
夫婦が同じ事故で亡くなった場合
夫婦が同時に亡くなったと判断されると、互いに相続し合うことはできません。
夫の財産は夫の相続人へ、妻の財産は妻の相続人へ、それぞれ別々に承継されます。
親と子が同じ事故で亡くなった場合
親→子の順に亡くなったと判断されれば、子が親の財産を相続し、その後に子の相続が発生します。
しかし同時死亡と判断されると、親の財産は子には渡らず、親の別の相続人に承継されます。
同時死亡は「相続順位」を大きく変える
同時死亡が適用されると、相続順位が大きく変わります。
たとえば、夫婦に子どもがいない場合、通常であれば夫の財産は妻が相続します。
しかし同時死亡では妻が相続できないため、夫の親や兄弟姉妹が相続人になります。
「妻に残したかったのに、結果的に夫の兄弟に渡ってしまった」という事態が起きることもあります。
同時死亡は「保険金」にも影響する
生命保険では、受取人が先に亡くなっている場合、保険金の行き先が変わります。
同時死亡と判断されると「受取人が先に死亡した」と扱われるため、保険金の受取人が変更されることがあります。
同時死亡のトラブルを防ぐための対策
遺言書で「財産の行き先」を明確にする
同時死亡の対策として最も有効なのは、遺言書を作成することです。遺言書があれば、死亡の順番に関係なく、財産の行き先を指定できます。
たとえば、「私の財産は、妻が生存している場合は妻に、妻が先に死亡している場合は長女に相続させる」というように、複数のパターンを想定して書くことができます。
生命保険の受取人を工夫する
生命保険は相続とは別のルールで動きます。
そのため、受取人を工夫することで、同時死亡のリスクを減らすことができます。
たとえば、第一受取人を配偶者、第二受取人を子どもに設定しておくと安心です。
民事信託で「財産の管理者」を決めておく
民事信託を使うと、財産の管理者(受託者)を生前に決めることができます。
夫婦が同時に亡くなった場合でも、信託契約に基づいて財産をスムーズに承継させることができます。
夫婦で「同時死亡時の扱い」を話し合っておく
同時死亡の対策で最も大切なのは、家族で話し合うことです。
財産の行き先、保険金の受取人、未成年の子の後見人などを共有しておくことで、相続の混乱を大きく減らすことができます。
未成年の子がいる場合は「後見人」を決めておく
夫婦が同時に亡くなった場合、未成年の子どもには後見人が必要です。
遺言書で後見人を指定しておくことで、子どもの生活が安定し、親族間のトラブルを防ぐことができます。
同時死亡は“準備していれば怖くない”
同時死亡は、相続順位・財産の行き先・保険金の受取人など、相続の根本に大きな影響を与えます。
しかし、遺言書、生命保険の受取人設定、家族信託、後見人の指定などを組み合わせることで、同時死亡によるトラブルは大きく減らすことができます。
行政書士法人エニシアでは、同時死亡を含む複雑な相続対策について、ご家族の状況に合わせて丁寧にサポートしています。
どうぞお気軽にご相談ください。
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