2026/10/13
単元未満株・端株と相続
2026/10/13
単元未満株・端株と相続
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談を受けていると、「親が株式を持っていたようだけれど、証券会社の残高証明書に載っていない株がある」「少しだけ残っている株式も相続手続きが必要なのですか?」というご質問をいただくことがあります。
株式の相続では、証券会社の口座にある株式だけでなく、単元未満株や端株と呼ばれる株式にも注意が必要です。こうした株式は、保有数が少ないため見落とされやすく、通常の証券口座とは別の場所で管理されていることもあります。
単元未満株や端株も、立派な財産。少額だからといって、相続財産から除外してよいわけではありません。
今回は、単元未満株・端株の違い、相続財産の調べ方、名義変更や換金の手続きなどについてお話しいたします。
単元未満株・端株とは|少しだけ残っている株式
株式には、通常の取引単位に満たない株式や、1株に満たない端数に関係する権利があります。これらは一般に「単元未満株」「端株」などと呼ばれていますが、厳密には意味が異なります。
① 単元未満株とは
単元未満株とは、証券取引所で売買する際の単位である「1単元」に満たない株式のことです。
現在、国内の上場会社の株式は、原則として100株を1単元として取引されています。そのため、例えば50株や80株を保有している場合は、単元未満株に該当します。
単元未満株が生じる理由には、株式分割や株式の一部売却、相続による株式の分割などがあります。また、以前から保有していた株式が、制度変更などによって単元未満株となっているケースもあります。
② 端株とは
端株という言葉は、一般に1株に満たない株式や、株式の分割・併合などによって生じた端数に関係する権利を指すことがあります。
ただし、実務上は単元未満株を端株と呼ぶこともあり、両者が混同されているケースも少なくありません。特に、株式の電子化以前から保有していた株式や、会社の組織再編などに伴って生じた端数については、通常の証券口座とは異なる管理方法になっていることがあります。
そのため、相続手続きでは呼び方だけで判断せず、どの会社の株式なのか、何株を保有しているのか、どこで管理されているのかを確認することが大切です。
単元未満株・端株も相続財産になる
そして単元未満株や端株に関する権利も、原則として相続財産に含まれます。
通常の株式と同様に、相続人が取得する財産として扱われるため、相続財産の調査や遺産分割、必要に応じた相続税の申告において確認しなければなりません。
例えば、亡くなった方が証券会社の口座でA社の株式を200株保有していたほか、株式分割などによって生じた単元未満株を別途保有していたとします。この場合、証券会社の残高証明書に記載された200株だけを確認して終わりにすると、別に管理されている株式を見落としてしまう可能性があります。
また、単元未満株や端株は保有数が少ないため、金額も少額だと思われがちです。しかし、株価や保有数によっては相応の価値がある場合もあります。少額であっても、相続財産の調査では丁寧に確認しておきましょう。
なぜ見落とされる?|証券会社の残高証明書だけでは不十分なことも
単元未満株や端株が見落とされやすい理由の一つは、株式の管理先が一か所とは限らないことです。
通常、証券会社で購入した上場株式は、証券会社の口座などを通じて管理されています。一方、株券の電子化以前から保有していた株式などについては、証券会社の口座とは別に、発行会社が指定する信託銀行などの株主名簿管理人が管理する「特別口座」に記録されている場合があります。
このような場合、証券会社から取得した残高証明書だけでは、すべての株式を確認できない可能性があります。
特に注意したいのが、次のようなケースです。
・証券会社の残高証明書と配当金計算書の株数が一致しない
・以前から保有している株式がある
・株式分割や株式併合などの履歴がある
・証券会社の口座にない株式について、配当金の通知が届いている
・故人が株式を保有していたことは分かるものの、管理先が分からない
このような場合には、証券会社への確認だけで終わらせず、株主名簿管理人や証券保管振替機構(ほふり)への照会も検討しましょう。
単元未満株・端株の調べ方|まずは手元の資料を確認
亡くなった方が単元未満株や端株を保有していたかどうかは、手元に残された資料から確認できることがあります。次の順番で調べていくとよいでしょう。
① 配当金計算書や株式関係の郵便物を確認する
まずは、故人宛てに届いていた配当金計算書、配当金の支払通知書、株主総会の招集通知などを確認します。
配当金計算書には、銘柄名や保有株数、配当金額などが記載されていることがあります。証券会社の残高証明書と株数を比較すれば、別に管理されている株式がないかを調べる手掛かりになります。
ただし、配当金の通知がないからといって、株式を保有していないとは限りません。配当の有無や通知方法によっても異なるため、ほかの資料も併せて確認しましょう。
② 証券会社に残高証明書を請求する
取引していた証券会社が分かっている場合は、相続発生時点の残高証明書を取得し、保有していた株式の銘柄や株数を確認します。
複数の証券会社と取引していた可能性もあるため、郵便物や通帳の入出金履歴などを手掛かりに、取引先を一つずつ確認していくことが大切です。
③ 株主名簿管理人(信託銀行など)に問い合わせる
保有していた銘柄が分かっている場合は、その会社のホームページなどで株主名簿管理人を確認し、単元未満株や端株に関する権利が残っていないか問い合わせます。
株式の管理状況によっては、株式残高証明書や株式の移動履歴に関する資料を取得できることもあります。必要な書類や照会方法は管理先によって異なるため、窓口に確認しましょう。
④ 証券保管振替機構(ほふり)に照会する
取引先の証券会社が分からない場合には、証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報の開示請求」を利用して、故人の株式等に係る口座の開設先を調べる方法があります。
所定の申請書や戸籍関係書類などを提出し、開示結果を受け取る手続きです。ただし、開示結果で分かるのは口座の開設先などであり、具体的な保有銘柄や株数まで確認できるわけではありません。その後、判明した証券会社や信託銀行などに問い合わせて、保有状況を確認する必要があります。
また、申請には費用や日数がかかるため、余裕をもって進めましょう。
相続手続きの方法|名義変更や買取請求を行う
単元未満株や端株が見つかったら、管理先に連絡し、相続に必要な手続きを確認します。手続きは株式の種類や管理状況によって異なりますが、主に次のような方法があります。
① 相続人名義に変更する
単元未満株については、通常の株式と同様に相続人へ名義を変更し、保有を引き継ぐ方法があります。証券会社で管理されている株式の場合は、相続人が証券口座を開設したうえで、株式を移管することが一般的です。
特別口座などで管理されている場合には、管理先の案内に従って相続手続きを進めます。相続人への移管が可能か、どのような口座が必要かについては、管理先に確認しましょう。
② 単元未満株の買取請求をする
単元未満株は、通常の取引単位に満たないため、取引所で一般の株式と同じように売買することができません。
ただし、発行会社に対して単元未満株の買取請求を行う制度があり、所定の手続きを経て換金できる場合があります。また、証券会社によっては単元未満株の売却サービスを取り扱っていることもあります。
利用できる方法や手数料、売却価格の決まり方などは、管理先や証券会社によって異なります。相続手続きが完了する前に売却できるとは限らないため、まずは相続手続きと換金方法を確認しましょう。
③ 端株に関する権利の払戻しなどを受ける
1株に満たない端数に関係する権利については、通常の単元未満株と同じ手続きができるとは限りません。株式の分割や併合などによって生じた経緯、発行会社の制度、管理先の記録などによって対応が異なります。
株主名簿管理人などに連絡し、故人の権利の内容や相続手続き、金銭の交付を受けられるかどうかを確認しましょう。
単元未満株・端株の相続で注意したいポイント
最後に、単元未満株や端株の相続で注意しておきたいポイントを整理します。
・証券会社の残高証明書だけで、すべての株式を確認できるとは限らない
・配当金計算書や株主関係の郵便物も確認する
・単元未満株と端株は厳密には異なるため、権利の内容を確認する
・管理先によって、名義変更や換金の方法が異なる
特に、複数の証券会社や信託銀行などに株式が分散している場合は、財産調査に時間がかかることがあります。相続税の申告が必要なケースでは、申告期限を意識して早めに確認を進めることが重要です。
行政書士法人エニシアでは、相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、株式を含む相続手続きに関するご相談など、状況に合わせて丁寧にサポートしています。単元未満株や端株の有無が分からない場合や、どこに問い合わせればよいかお困りの場合も、どうぞお気軽にご相談ください。
▶ 遺産手続
▶ 生前対策














