2025/12/10
スタッフBlog|相続登記のギム
2025/12/10
スタッフBlog|相続登記のギム
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
今回は、昨年4月にスタートした「相続登記の義務化」について、施行から1年半が経過した今の状況をふまえてお話しします。
すでに制度が始まっているので、「相続登記をすることが義務になった」というルールを改めて確認し、注意点も整理しておきましょう。
所有者不明土地問題が背景
以前は不動産の登記名義(所有権・抵当権などを記録する箇所)について、登記を行うかどうかは義務ではありませんでした。
そのため、所有者が亡くなっても相続登記がされず、登記簿を見ても持ち主が分からない(わかっても連絡がつかない)ケースが多発。
結果として、不動産取引や公共事業、復旧・復興事業などが滞るなど、社会的な不都合が生じていました。
相続登記の義務化と過料の運用
こうした不都合を解消するため、相続で不動産の所有権を取得した相続人は、3年以内に所有権移転登記を申請する義務が課されました。
また、この義務に違反した場合には、正当な理由※がない限り10万円以下の過料の対象となります。
※「正当な理由」の例
① 亡くなった方の相続人がさらに亡くなる(”数次相続”といいます)など、相続人が極めて多数であるため,戸籍謄本等の必要な資料収集や他の相続人の把握に時間がかかる
② 遺言の有効性を争う訴訟の真っ最中である
③ 相続登記の申請義務者に重病等の事情があった
④ 登記簿はあるものの現況と公図が異なっていて、とてもじゃないが現地確認などできない
なお、この過料は突然課されるものではなく、まず登記官から催告があり、それでも応じない場合に課されます。とはいえ「催告されてからでいいや」と先延ばしにするのは危険です。
遺贈も対象?
ところで、相続に似ているもので、ある人が亡くなった方から財産を引き継ぐ形として「遺贈」があります。
遺贈は、財産を遺す方が”遺言”を用いることで誰かに財産を引き継がせることをといいます。
そして、財産を受け取る人は「受遺者」といいますが、この受遺者は、今回の登記義務化の対象になるのでしょうか。
実は”なる”場合と”ならない”場合の2通りがあります。
① 受遺者が相続人である ⇒ 義務化の対象に”なる”
② 受遺者が相続人ではない ⇒ 義務化の対象に”ならない”
もし遺言がなかったとしても、もとから相続人になる人だった方の場合は義務化の対象で、遺言がなかったら財産を引き継ぐことができない立場の人は、今回の義務化の対象にはなりません(これまでどおり、登記するかしないかは任意)。
ポイントは「相続人が」「不動産を引継いだら」「登記をする義務がある」です。
漏れはないように
さて、義務がある人かどうかも大切ですが、もう一つ肝心なことがあります。
抜けている不動産はありませんか?
「そういえば、引き継いだ物件があったのを忘れてた!」なんてことがないよう、持っている不動産はきちんと網羅しておかないと、引き継いだ人が相続登記の義務を果たすことができません。
権利証や不動産に関する証明書、固定資産税の納税通知書などを手掛かりに不動産の情報は整理しておきましょう。
“名寄帳”の活用
いかに万全を期したつもりでも、課税対象になっていない小さな土地や道路地などは抜け落ちやすく忘れてしまいがち。課税対象になっていないと先ほどの納税通知書(課税明細)には情報が載ってこないからです。
さあ、そうすると見落としの心配がどうしてもぬぐえなくなってしましますよね。そんな場合は、「名寄帳」を取得するという手段があります。
名寄帳は、ある人が所有している不動産を、区域ごとに自治体(市区町村)が一覧表にしたもので、課税のありなしに関わらず所有している不動産を知ることができます。
所有者本人から不動産のある自治体に申請して取得することができますし、亡くなっている方の所有不動産についても相続人から必要書類を提出すれば同じように取得が可能です。
※ただし、名寄帳も万能ではなく、自治体(市区町村)ごとに設定している区域外のものは記載されません。取得はその調べたい区域ごとに行う必要があります。例えば、札幌市であれば「中央区」「北区」などの区ごとに申請することになります。
※「名寄帳」は、「課税台帳」という名前で管理されている場合もあります。
名寄帳以外の新制度も
実は、漏れを防ぐために活用できる便利な制度が2026年2月からスタートします。
「所有不動産記録証明制度」という所有不動産を調査できる制度なのですが、これはまた次回ご紹介するとしますね。
一番大切なこと
相続登記の義務について、どういう人に義務があるか、不動産を忘れないようにしておくにはどうしておくかを中心にあらためてお話ししました。
理屈ももちろん大事なのですが、基本中のキホンは財産をのこす側と引き継ぐ側の双方がコミュニケーションをとっておくこと。これが実は何より大切です。
ぜひこれからやってくる年末年始をきっかけに、世代間でみなさんも不動産のお話をしてみてください。














