2025/12/05
スタッフBlog|相続の誤解あるある -part2
2025/12/05
スタッフBlog|相続の誤解あるある -part2
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
前回、相続に関して、「誰が相続人になるのか」という基本的な点で、意外と誤解があるという話をしました。
こうした誤解や勘ちがいは数えればきりがなく、この仕事をしている以上は常についてまわるものだと思っています。
ということで、ふとまた思い出したものが一つあるので、今日はそれをご紹介したいと思います。
内容は、相続の「放棄」についてです。
お客様がよく口にする、相続の「放棄」
「おれ、親父の財産は相続放棄したんだ。」
「放棄したから、親父に借金があっても大丈夫なんだ」
とてもよく耳にするフレーズ。
たいていは、話を深堀りして聞いてみると、実は単に「遺産を相続しないことにした(そういう話し合いをした)」ということがほとんど。
つまり自分が財産を受け取らないという遺産分割協議をしたという意味です。
相続人同士でそのような話し合いをすることは自由ですので、亡くなった方の遺産を受け取るか受け取らないか、どのように決めても相続人の間ではもちろん有効。
しかしながら、プラスの財産もマイナスの財産(負債)も全部関係ない、と言えるかというと、そこには十分な注意が必要です。
なぜなら、亡くなった方へお金の貸していた貸し手(債権者)が同意していない場合には、その債権者に対して、自分が借金を相続してないと言い張ることができないからです。
「何も財産をもらわないんだから相続放棄だ。借金や負債なんて自分はしらん」という理屈は通りません。
でも、相続の放棄をしたら、借金も何も負わなくてよくなるという話は、なんとなくでも聞き覚えのある話ですよね。
だからこそ、先ほどのような誤解が起こってしまうのですが、ここでいう相続の放棄とは何なのか、次に説明しましょう。
家庭裁判所で行う「相続放棄」の手続き
法律上、相続人が「亡くなった方の権利や義務を一切受け継がない」ようにする手続があります。
これは、相続放棄の手続(相続放棄の申述手続)といって、家庭裁判所に必要な書類を提出することで認められるものです。
相続放棄が家庭裁判所に認められると、その人は”初めから相続人とならなかった”とみなされるため、「亡くなった方の権利や義務を一切受け継がない」。すなわち、プラスの財産もマイナスの財産もひっくるめて全く承継しないことが可能になります。
この「相続放棄の手続き」と「遺産分割協議で”財産はいらない”という」ことを混同してしまうのが、今回の誤解あるあるの正体です。
なお、特に次のような場合は、この相続放棄の手続を利用すべきと言えます。
・亡くなった方の遺産が、プラスよりマイナスの方が明らかに多い(負債超過)
・相続問題に巻き込まれたくない
注意点
さて、相続の放棄がどのような手続きかを説明しましたが、手続を利用する上での注意点がいくつかあるのでご案内します。
・相続放棄には期間制限がある
相続放棄は通常、亡くなった方の死亡を知って、かつ、自分が相続人となったこと を知った時から、3か月以内にしなければなりません。
・相続が開始する前はできない
被相続人となる人が生きている間はすることができず、そのような意思表示を他の 相続人(となる方)にしていたとしても効力はありません。
家庭裁判所の「相続放棄」の落とし穴
また、相続放棄の手続きに関しては、上記の注意点だけではなく、思わぬ落とし穴にも気をつけなければなりません。
ある夫婦に子供が2人いるケースで、夫が亡くなったとします。
子供2人は、自分たちの母に全財産を相続させたいと考えていますが、遺産分割協議を
せずに、相続放棄を家庭裁判所で手続きすることで済ませてしまってよいでしょうか。
実は、これは慎重に判断したほうが良いケースなのです。
相続放棄をすると、法定相続の後順位の者が相続人になる
先ほどのケースでは、子供2人が相続放棄をしても、亡くなった夫に親や祖父母、兄弟姉妹、おいめいなどがいない場合には、夫の妻が単独で相続人になることになります。
ですが、亡くなった夫に親や兄弟姉妹などがいた場合はどうなるでしょうか。
子供2人は、母に全財産を相続させたい思いで、相続放棄をしたはずが、法定相続の第2順位である夫の親や、第3順位である夫の兄弟姉妹が子供2人の次順位者として相続人になるのです。
これでは、亡くなった夫の妻は、夫の親や兄弟姉妹と遺産分割協議をしないと全財産を相続することができません。
夫の親兄弟たちも相続放棄をするのであれば、妻が全財産を相続することになりますが、かえって手間が増えてしまうばかりか、いらぬ争族リスクを抱えることにもなります。
”そもそも最初から遺産分割協議を妻と子供2人でしておけばよかった。”
こうしたことは、ぜひとも避けたいものです。
転ばぬ先の杖
相続は人生に何度も関わるものではありませんが、大切な人が亡くなったタイミングで慎重・冷静な判断というのは難しいこともあります。
遺産分割協議をすればよかった、家庭裁判所に相続放棄の手続きをすればよかった、とならないためにも、すこしでも迷ったら専門家に頼りましょう。














