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シリーズ|「不動産の相続トラブル」第2回

2026/02/04

シリーズ|「不動産の相続トラブル」第2回

こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。

 

シリーズ「不動産の相続トラブル」第2回。

 

今回は、不動産相続トラブルの事例をもとに、「なぜ揉めたのか」「どうすれば防げたのか」のお話しです。

 

 

不動産の相続トラブルは、突然起こるものではありません。

 

実際には、相続が発生するずっと前から“芽”が育っており、家族の中に小さな違和感や不満が積み重なっていきます。

 

そして、親が亡くなった瞬間、その積み重ねが一気に表面化し、兄弟間の関係を揺るがすほどの大きな問題へと発展してしまうのです。

 

「もっと早く準備していれば、こんなに揉めなかったのに」──行政書士としては、トラブルになった過去のお話しをお客様から後日談としてお聞きすることがありますが、そう感じることが本当に多くあります。

 

ここでは、よくある3つのケースを取り上げ、どこに問題があったのか、どうすれば防げたのかを丁寧に解説していきます。

 

 

 

①共有名義にしたことで売却できなくなった兄弟

最も多いトラブルのひとつが、兄弟で不動産を共有名義にしたケースです。

 

親の家を相続する際、「公平に分けたい」という気持ちから、兄弟全員の名義にすることは珍しくありません。

 

しかし、共有名義は一見公平に見えて、実務上は非常に扱いが難しい形態です。

 

ある兄弟3人のケースでは、相続した実家を共有名義にしたものの、数年後に売却しようとした際、1人が「売りたくない」と言い出し、話が完全に止まってしまいました。

 

不動産の共有名義では、売却や賃貸などの重要な決定には全員の同意が必要です。

 

つまり、1人でも反対すれば、どれだけ他の兄弟が売却を望んでいても、手続きは進みません。

 

このケースでは、反対した兄弟は「実家を残したい」という気持ちが強く、他の兄弟は「維持費が負担だ」と考えていました。

 

どちらの気持ちも理解できますが、共有名義にしたことで、双方の価値観の違いが調整できない状態になってしまったのです。

 

もし生前に、親が遺言書で「誰が不動産を相続するのか」を明確にしていれば、また、親子の間でコミュニケーションをとって事前の理解・共通認識が得られていたら、こうしたトラブルは避けられた可能性が高いでしょう。

 

加えて、代償分割という方法を知っていれば、「不動産は一人が相続し、他の兄弟には現金で調整する」という選択肢も取れたはずです。

 

 

 

②長男が住み続けている実家をめぐる不満

次に多いのが、兄弟のうち誰かが実家に住み続けているケースです。

 

特に長男が親と同居していた場合、「そのまま住み続けるのが自然だ」と考えることが多いのですが、他の兄弟が納得しているとは限りません。

 

ある家庭では、長男が親の介護をしていたこともあり、親亡き後もそのまま実家に住み続けていました。

 

しかし、他の兄弟は「家賃も払わずに住んでいるのは不公平だ」と感じ、遺産分割協議が進まなくなってしまいました。

 

長男としては「介護をしてきたのだから当然だ」という思いがあり、他の兄弟は「介護と相続は別問題だ」と考えている。

 

双方の主張にはそれぞれの正当性があり、どちらかが間違っているわけではありません。

 

しかし、こうした“価値観のズレ”が、相続の場面で大きな対立を生むのです。

 

もし生前に、親が「長男に家を残したい」という意思を、なぜそうしたいのかという想いもふくめてきちんと遺言書で示していれば、兄弟間の不満は大きく減ったでしょう。

 

また、住む人が決まっている場合は、維持費や固定資産税の負担について事前に話し合っておくことも重要です。

 

 

 

③空き家を相続したが、誰も管理せず放置

近年特に増えているのが、空き家を相続することになったものの、誰も管理せず放置されてしまうケースです。

 

親が亡くなった後、兄弟全員が札幌市外に住んでいる場合など、実家を使う予定がないまま相続が発生することがあります。

 

最初のうちは「とりあえずそのままにしておこう」と考えるのですが、時間が経つにつれて問題が積み重なっていきます。

 

草が伸び、冬には除雪が必要になり、屋根や外壁の修繕も必要になる。固定資産税も毎年かかります。

 

しかし、誰が管理するのか、費用をどう分担するのかが決まっていないため、結局誰も動かないまま放置されてしまう。

 

なかには、近隣住民から苦情が入り、行政から指導が入る寸前ということすらあります。

 

相続人同士の話し合いがまとまらず、空き家が“負の遺産”になってしまった典型例です(最近ではこのような不動産を「負動産」と呼ぶこともあります)。

 

もし生前に、親が不動産の処分について考えていれば、売却や生前贈与、家族信託など、さまざまな選択肢が取れたはずです。

 

また、相続発生後でも、早い段階で相続人全員が集まり、管理方法や費用負担について話し合っていれば、ここまで問題が大きくなることはなかったでしょう。

 

 

 

ということで、今日はトラブル例をいくつかお話しいたしました。

 

「まだ早いかな」と思っていても、親が高齢になってきたタイミングや、兄弟間で意見が割れ始めた段階で専門家に相談することは、非常に効果的です。

 

 

次回は、不動産相続トラブルを防ぐために、今日からできる具体的な準備について詳しく解説します。

 

 

 

行政書士法人エニシアでは、不動産を含む相続の生前対策から、相続発生後の手続きまで一貫してサポートしています。

 

「うちの場合はどうなるのか」「今のうちに準備しておきたい」と感じた方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

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