2026/08/07
おしどり贈与
2026/08/07
おしどり贈与
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続や生前対策を考えると、「夫婦間の贈与は税金がかからない?」「おしどり贈与を使えば家を贈与しても安心?」といった疑問が湧いてくるかもしれません。
夫婦間の贈与は一般の贈与とは異なる特例があり、その代表が「おしどり贈与(配偶者控除)」というものです。
ただし、この制度はとても便利な一方で、誤解されやすい制度でもあります。
特に「何でも非課税になる」「相続税も減る」といった誤解が多く、制度の本質を理解していないと、思わぬ負担につながることがあります。
今回は、おしどり贈与の仕組み、使える条件、メリット・注意点などについてお話しします。
おしどり贈与とは?
おしどり贈与とは、正式には「配偶者控除」と呼ばれる制度で、夫婦間で居住用不動産(自宅)やその購入資金を贈与する場合に、最大2,000万円まで贈与税が非課税になる特例です。
通常の贈与では年間110万円までしか非課税になりませんが、この制度を使えば、2,000万円という大きな非課税枠が使えます。
夫婦間で自宅を贈与したい場合や、配偶者名義の家を取得させたい場合に、とても有効な制度です。
制度の名前のとおり、夫婦の生活を守るための特例として設けられています。
制度を使うための条件
おしどり贈与は誰でも使えるわけではなく、いくつかの条件があります。
特に重要なのは、夫婦の婚姻期間と、贈与する財産の種類です。
まず、婚姻期間が20年以上であることが必要です。
事実婚や内縁関係は対象外で、戸籍上の婚姻が20年以上続いていることが条件になります。
次に、贈与する財産が居住用不動産(自宅)またはその取得資金であることが必要です。
現金を贈与する場合でも、「自宅の購入資金として使う」ことが明確でなければ特例は使えません。
また、贈与を受けた配偶者が、その不動産に実際に住むことも条件になります。投資用不動産や別荘などは対象外です。
おしどり贈与のメリット
おしどり贈与の最大のメリットは、夫婦間で自宅を贈与する際に大きな非課税枠が使えることです。
例えば、夫名義の自宅を妻名義にしたい場合や、妻に自宅を贈与して老後の生活を安定させたい場合に有効です。
また、贈与税の申告を行うことで、贈与の事実を明確にできるというメリットもあります。
夫婦間の財産移転は曖昧になりやすいため、税務署に対して「正しく贈与を行った」という証明になる点は大きな安心につながります。
誤解されやすい注意点
便利な制度である一方で、おしどり贈与には誤解が多く、注意すべき点がいくつかあります。
まず、「夫婦間の贈与は何でも非課税になる」という誤解です。
おしどり贈与が非課税になるのは、あくまで居住用不動産またはその取得資金に限られます。現金を自由に渡す場合や、投資用不動産を贈与する場合は対象外です。
次に、「相続税も減る」という誤解です。
おしどり贈与は贈与税の特例であり、相続税の節税制度ではありません。
むしろ、贈与によって配偶者の財産が増えるため、将来の相続税が増える可能性もあるという点は考えておく必要があります。
さらに、制度を使うためには贈与税の申告が必要だということです。
非課税枠内であっても申告が必要で、申告しないと特例が使えません。
申告漏れは後から修正が難しくなるため、注意が必要です。
おしどり贈与は相続にどう影響するのか
おしどり贈与は贈与税の特例ですが、相続の場面でも影響があります。
特に、自宅の名義を夫から妻へ移す場合、妻の相続財産が増えるため、将来の相続税の負担が変わることがあります。
また、夫婦間で自宅の名義を変更することで、遺産分割の際に「自宅は妻のもの」という状態が確定するため、相続人間のトラブルを防ぐ効果もあります。
夫婦の生活を守るという意味では、相続対策として有効な場合もあります。
ただし、相続税の節税になるわけではないため、贈与と相続のバランスを考えて制度を使うことが大切です。
夫婦の生活を守るための制度だが、使い方には注意が必要
おしどり贈与は、夫婦間で自宅を贈与する際に使える便利な制度で、最大2,000万円まで贈与税が非課税になります。
しかし、制度の対象は居住用不動産に限られ、相続税の節税になるわけではありません。誤解されやすい制度だからこそ、正しい理解が欠かせません。
行政書士法人エニシアでは、税理士と連携し、おしどり贈与の手続き、贈与契約書の作成、贈与税申告まで、状況に合わせて丁寧にサポートしています。
「制度を使うべきか迷っている」という段階からでも、遠慮なくご相談ください。
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