2026/10/07
死亡退職金と相続
2026/10/07
死亡退職金と相続
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談で、「会社から死亡退職金が支払われると言われたのですが、これは遺産になるのですか?」という質問をよくいただきます。
死亡退職金は、給与や預貯金とはまったく違う扱いになるため、初めて手続きする方は戸惑いやすい財産です。
死亡退職金は相続税の課税対象になる財産です。ただし、遺産分割の対象である遺産になる場合とならない場合があり、受け取る人も「会社の規程」によって決まるという独特のルールがあります。
今回は、死亡退職金の相続税の扱い、誰が受け取るのか、遺産分割の対象になるかどうかなどについてお話しします。
死亡退職金とは
死亡退職金は、従業員が在職中に亡くなった場合に、会社が遺族へ支払う給付です。
退職金の前払いというより、弔慰金的な性質を持つことが多く、支給額や受取人は会社の就業規則や退職金規程で定められています。
そのため、死亡退職金は「会社が遺族に支払う給付」であり、預貯金のように本人が生前に保有していた財産とは性質が異なります。
死亡退職金は“みなし相続財産”として相続税の対象になる
死亡退職金は、本人が亡くなった時点で発生する給付であり、生前に存在していた財産ではありません。
しかし、相続税法では「みなし相続財産」として扱われ、相続税の課税対象になります。
これは、生命保険金と同じ扱いで、本人の死亡を原因として遺族が受け取る財産は、相続税の課税対象になるというルールに基づいています。
ただし、死亡退職金には相続税の非課税枠があり、非課税枠は次の式で計算します。
500万円 × 法定相続人の数
たとえば、法定相続人が配偶者と子2人なら、非課税枠は1,500万円です。
死亡退職金と死亡保険金の合計額がこの枠内であれば、相続税はかかりません。
誰が死亡退職金を受け取るのか
死亡退職金の受取人は、遺言や民法ではなく、会社の就業規則や退職金規程によって決まります。
多くの会社では、次のような順序で受取人が定められています。
・配偶者
・子
・父母
・その他の親族
会社によっては、従業員が生前に「退職金受取人届」を提出している場合もあります。
重要なのは、死亡退職金は会社が指定した受取人が単独で受け取るという点です。
遺産分割協議で「誰が受け取るか」を決めることはできません。
死亡退職金は遺産分割の対象になるのか?
死亡退職金は、会社が指定した受取人が受け取るため、原則として遺産分割の対象にはなりません。生命保険金と同じく、受取人固有の財産として扱われます。
ただし、以下の例外があります。
例外:受取人が「相続人全員」とされている場合
会社の規程で「死亡退職金は相続人に支払う」と定められている場合、死亡退職金は相続人全員の共有財産となり、遺産分割の対象になります。
この場合は、遺産分割協議で分け方を決める必要があります。
会社の規程によって扱いが大きく変わるため、まずは会社に確認することが重要です。
死亡退職金で起こりやすいトラブル
死亡退職金は、次のような場面でトラブルになりやすい財産のため注意が必要です。
まず、受取人が誰かをめぐる誤解です。遺産分割で話し合えると思っていた相続人が「自分も受け取れるはずだ」と主張し、対立が生じることがあります。
また、非課税枠の計算を誤り、相続税の申告漏れが起きることがあります。
死亡保険金と合算して非課税枠を使うため、保険会社と会社の両方から資料を集める必要があります。
さらに、会社の規程が曖昧な場合、誰が受取人なのか判断が難しくなることがあります。会社側が「相続人」とだけ記載しているケースでは、遺産分割の対象になる可能性がありことにも注意しましょう。














