2026/09/10
お墓や仏壇、祭祀財産と相続
2026/09/10
お墓や仏壇、祭祀財産と相続
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談でよくいただくのが、
「お墓や仏壇は遺産分割の対象になるの?」 「誰が引き継ぐのが正しいの?」 「相続放棄したら、お墓も放棄できるの?」
というご質問です。
実は、お墓・仏壇・位牌などは祭祀財産(さいしざいさん)と呼ばれ、預貯金や不動産とはまったく違う扱いになります。
法律上は遺産分割の対象外であり、相続人全員で分けるものではありません。
今回は、祭祀財産の種類、承継者の決め方、相続放棄との関係、税金、トラブル防止の方法などについてお話します。
祭祀財産とは?|祖先を祀るための特別な財産
祭祀財産とは、祖先を供養するために必要な財産のことです。 民法897条で次の3種類が定められています。
① 系譜(家系図・過去帳など) ② 祭具(仏壇・位牌・神棚・仏像など) ③ 墳墓(墓石・墓地の使用権・埋葬施設など)
これらは、金銭的価値よりも精神的・宗教的な意味が重視される財産です。
そのため、預貯金や不動産とは異なり、相続人で分ける「遺産分割」の対象にはなりません。
祭祀財産は遺産分割の対象外|一人が単独で承継する
祭祀財産は、相続人全員で分けるものではなく、祭祀主宰者(祭祀承継者)が単独で承継します。
遺産分割協議で「お墓は長男、仏壇は次男」と分けることは原則できません。 分割になじまない性質のため、法律上は一人がまとめて引き継ぐことになります。
また、祭祀財産は相続財産ではないため、相続税も課税されません。
誰が祭祀財産を引き継ぐの?|優先順位は法律で決まっている
祭祀財産の承継者は、次の順序で決まります。
① 被相続人の指定(最優先)
遺言書や生前の意思表示で「お墓は〇〇に任せる」と指定されていれば、その人が承継します。
口頭での指定も有効ですが、トラブル防止のため遺言書で明記するのが確実です。
② 慣習(家の習わし)
指定がない場合は、地域や家の慣習に従います。 「代々長男が引き継ぐ」という慣習がある家では、その慣習が優先されます。
③ 家庭裁判所の審判
指定も慣習もなく、家族で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所が承継者を決めます。
裁判所は、故人との関係性、管理能力、生活状況などを総合的に判断します。
相続放棄との関係|放棄しても祭祀財産は承継できる
祭祀財産は相続財産ではないため、相続放棄とは別の扱いになります。
● 相続放棄しても、祭祀財産は承継できる
借金が多くて相続放棄した人でも、祭祀主宰者に指定されればお墓や仏壇を引き継ぐことができます。
● 逆に、祭祀財産だけを放棄することはできない
祭祀財産は相続財産ではないため、「お墓だけ放棄したい」という放棄は法律上できません。
ただし、承継後に「墓じまい」や永代供養へ切り替えることは可能です。
祭祀承継者の役割と負担|管理費・法要の負担はどうなる?
祭祀承継者は、祭祀財産を引き継ぐだけでなく、次のような役割を担います。
・お墓や仏壇の管理 ・法要の実施 ・寺院や霊園との連絡 ・年間管理費の支払い
管理費は原則として承継者が負担しますが、家族で話し合って任意で分担することは可能です。
祭祀財産と税金|相続税は非課税。節税対策にも使える
祭祀財産は相続税法で非課税財産とされています。
そのため、
・墓地 ・墓石 ・仏壇 ・仏具
などには相続税がかかりません。
■ 生前購入は節税対策になる
生前に墓石や仏壇を購入しておくと、その分現金が減り、相続税の節税につながります。 ただし、投資目的の高額品は課税対象となる可能性があるため注意が必要です。
祭祀財産で起こりやすいトラブルと防止策
祭祀財産は精神的な価値が大きいため、相続人同士の感情的なトラブルが起こりやすい分野です。
・誰が承継するかで揉める ・管理費の負担で不満が出る ・墓じまいを巡って対立する
こうしたトラブルを防ぐには、次の対策が有効です。
● 遺言書で祭祀承継者を指定しておく ● 生前に家族で話し合っておく ● 管理費や供養の方法を文書で取り決めておく
祭祀財産は“心”を引き継ぐ財産。遺産とは別枠で考える
このように祭祀財産は、預貯金や不動産とはまったく異なる扱いを受ける特別な財産です。
遺産とは別に、先々まで想いを引き継ぐにはどういう形が良いか、折を見てコミュニケーションをとっておくことが非常に重要になってきます。
行政書士法人エニシアでは、 祭祀承継者の指定方法、遺言書作成、墓じまいの相談など、お客様の状況に合わせて丁寧にサポートしています。
お悩みの方はどうぞご相談ください。
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