2026/08/25
遺言の注意点|株式・投資信託
2026/08/25
遺言の注意点|株式・投資信託
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
最近では相続財産に株式や投資信託などの金融商品が占める割合が大きい方が増えています。
NISAの普及やネット証券の利用増加により、証券口座を複数持つ方も珍しくありません。
その一方で、遺言書に株式や投資信託を記載する際には、預貯金や不動産とは異なる注意点が多く、書き方を誤ると遺言が機能しない・手続きが進まない・相続人が混乱するといったトラブルにもつながってしまいます。
今回は、株式・投資信託を遺言書に書くときの基本、押さえておきたいポイント、そして相続人の負担を減らすための工夫などについてお話しいたします。
株式・投資信託は「特定できる書き方」が絶対条件
株式や投資信託を遺言書に記載する際の最大のポイントは、対象の財産を正確に特定できることです。
曖昧な書き方では、証券会社が手続きを進められず、遺言が事実上使えなくなることがあります。
■ 証券会社名・支店名(ネット証券は部店コード)
■ 口座番号
■ 銘柄名・銘柄コード(株式)
■ 株数または口数
■ ファンド名(投資信託)
■ 委託会社・受託会社(投資信託は正式名称が複数あるため)
これらは、証券会社から届く「取引残高報告書」や「保有証券明細」を見ながら書き写すのが最も確実です。
銘柄を細かく書きすぎると、逆にトラブルに
株式や投資信託は、預貯金と違って内容が変動する財産です。
・株式分割や株式併合で株数が変わる
・投資信託は分配金の再投資で口数が変わる
・生前に売却・買い替えを行うことがある
そのため、銘柄や数量を細かく指定しすぎると、遺言作成時と相続時の内容が一致せず、遺言が機能しない可能性がでてきてしまいます。
こうしたリスクを避けるために、実際の場面では次のような書き方がよく使われます。
「○○証券△△支店(口座番号123456)の証券口座内の有価証券一切を長男に相続させる」
このように口座単位で包括的に指定することで、銘柄の変動に左右されず、遺言が確実に機能させることができるのです。
複数の証券会社を使っている場合は「会社ごと」に整理する
証券会社ごとに相続手続きが異なるため、遺言書では証券会社ごとに記載を分けるのが望ましいとされています。
例:
第○条 遺言者は、次の証券口座の有価証券一切を妻○○に相続させる。
① ○○証券株式会社 △△支店 口座番号123456
② □□証券株式会社 ○○支店 口座番号987654
このように整理しておくと、相続人が証券会社へ連絡する際に迷わず手続きを進められます。
NISA口座・特定口座の記載は特に注意が必要
NISA口座や特定口座は、税制や管理方法が異なるため、遺言書に記載する際にはどの口座の有価証券なのかを明確にする必要があります。
例:
「○○証券株式会社△△支店のNISA口座(口座番号123456)内の有価証券一切を長女に相続させる」
ネット証券では支店名がない場合もあるため、部店コードや口座番号を必ず記載します。
遺言書の内容と実際の保有資産がズレるリスク
株式・投資信託は価格が変動するため、遺言作成時と相続時で価値が大きく変わることがあります。
例えば、
・A株100株を長男へ
・B株50株を次男へ
と指定した場合、相続時点で株価が大きく変動していると、結果的に長男と次男の受け取る価値が大きく不均衡になることがあります。
そのため、遺言書では次のような工夫も必要です。
● 株式・投資信託は口座単位で包括的に指定する
● 他の財産(預貯金など)でバランスを調整する
● 定期的に遺言書を見直す
相続人の負担を減らすために、遺言者ができること
株式・投資信託の相続は、銀行よりも手続きが複雑です。
証券会社ごとに必要書類や流れが異なるため、相続人の負担を減らすために次のような準備が非常に有効です。
● 証券会社名・口座番号をエンディングノートに記録する
● 取引残高報告書を保管しておく
● 遺言執行者を指定しておく
特にネット証券は書類が郵送されないため、家族が口座の存在に気づかないケースが増えています。
相続人となる方に負担をかけないよう情報を整理しておくことが何よりも肝心と言えます。
行政書士法人エニシアでは、株式・投資信託を含む遺言書の作成支援、財産目録の整理、証券会社の相続手続きのサポートまで、状況に合わせて丁寧にお手伝いしています。
お悩みの方はどうぞお気軽にご相談ください。
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