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夫婦で遺言をつくるときの注意点

2026/05/14

夫婦で遺言をつくるときの注意点

こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。

 

ご相談を受けていると、

「夫婦で同じ内容の遺言を作りたい」
「お互いに財産を残す形で遺言を作るべき?」

というお話をよく伺います。

今回は、夫婦で遺言を作るときに知っておきたいポイントや注意点についてお話しします。

 

 

夫婦共同の遺言書は“法律で禁止”されている

最初に押さえておくべき大切なポイントがあります。

夫婦が一つの遺言書に一緒に遺言を書くことはできません。

 

 

たとえば、

・一つの紙に夫婦が連名で署名する
・「私たち夫婦は財産をこう分けます」と共同で書く
・夫婦の財産をまとめて一つの遺言書に記載する

これらはすべて無効になります。

 

 

民法では「共同遺言」を禁止しており、遺言は必ず一人につき一通が原則です。

この前提を理解したうえで、夫婦で遺言を作る際の基本と注意点を見ていきます。

 

 

 

夫婦で遺言を作るときの基本ポイント

① 夫婦の財産は“共有”ではないことの方が多い

遺言を財産を記載する際、名義が夫なら夫の財産、名義が妻なら妻の財産です。
遺言書を書く前に、財産の名義を正確に把握する必要があります。

 

② 内容を合わせる必要はないが、方向性は話し合う

夫婦で内容を揃える義務はありません。 ただし、矛盾すると相続人が混乱するため、方向性は共有しておくと安心です。

 

 

 

よくある夫婦の遺言パターン

夫婦で遺言を作る場合、次のようなパターンが多いです。

 

・互いに財産を残すパターン
・まず配偶者へ、その後は子どもへという二段階の承継を意識したパターン
・それぞれが自分の財産の行き先を指定するパターン

 

家庭の状況に合わせて柔軟に設計することが重要になってきます。

 

 

 

夫婦で遺言を作るときの注意点

① 子どもがいない夫婦は遺言が必須

このケースでは遺言がないと、両親や両祖父母がすでに他界している場合、配偶者だけでなく兄弟姉妹にも相続権が発生します。 「配偶者にすべて残したい」という場合は遺言が欠かせません。

 

 

② 再婚家庭(ステップファミリー)は特に注意

連れ子の相続権、前妻・前夫との子の相続権など、関係が複雑になりやすいです。
普段交流がない関係なのに、あるとき突然遺産分割協議をしなければいけなくなる。
遺言がないと非常にトラブルになりやすいケースと言えます。

 

 

③ 二次相続(夫婦どちらかが亡くなった後)を考えておく

夫婦で遺言を作るときに最も大切なのが、二次相続を見据えた設計です。

・夫 → 妻へ
・妻 → 子どもへ

という流れを想定しておくと、相続税や遺産分割のトラブルを防ぎやすくなります。
夫婦の一方が先に亡くなる最初の相続(一次相続)では相続税の心配がないケースでも、その後財産を引継いだ夫婦のもう一方が亡くなったとき(二次相続)には相続税がかかってしまうかもしれません。
こうした将来にどう備えておくとよいか、あらかじめ税理士に相談しておくことも二人が元気なうちから検討しましょう。

 

 

 

夫婦で遺言を作るときの進め方

① 夫婦で方向性を話し合う

夫婦で遺言を作るときに最初に取り組むべきなのは、お互いの考えを丁寧に共有することです。 「どの財産を誰に残したいのか」「配偶者にどこまで託したいのか」「子どもたちにはどのように承継してほしいのか」など、価値観や希望は夫婦でも異なることがあります。 特に、二次相続(夫婦のどちらかが亡くなった後の次の相続)をどう考えるかは、後々のトラブルを防ぐうえで非常に重要です。 まずは落ち着いて話し合い、大まかな方向性を揃えることがスムーズな遺言作成の第一歩になります。

 

② 財産の名義を整理する

遺言書は「誰の名義の財産か」に基づいて作成するため、名義の確認は必須の作業です。 夫婦で暮らしていると、家や預金などを「夫婦の共有財産」と感じがちですが、法律上は名義がそのまま所有者になります。 不動産の登記簿、預金通帳、保険証券、有価証券などを確認し、夫名義・妻名義の財産を明確に分けておくことで、遺言書の内容がブレず、後の相続手続きもスムーズになります。 財産目録を作っておくと、夫婦双方の遺言書の整合性も取りやすくなります。

 

③ 公正証書遺言で作成する

夫婦で遺言を作る場合、公正証書遺言が最も安心で確実な方法です。 公証人が内容を確認しながら作成するため、形式不備はもちろん内容についても無効になるリスクがほぼありません。
また、原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配もなく、相続発生後の「検認」も不要です。
夫婦で同じ公証役場に行き、同じタイミングで作成することもできるため、内容の整合性を取りやすい点も大きなメリットです。

特に、子どもがいない夫婦や再婚家庭など、相続関係が複雑な家庭では、公正証書遺言が強くおすすめします。

もし、どうしても公正証書ではなく自筆で遺言を作りたいという方は、自筆証書遺言の保管制度(法務局)を利用して形式の不備がないようにすることと、内容についても法律に詳しい専門家のサポートを受けるなどの工夫を必ずするようにしましょう。

 

④ 必要に応じて家族信託や任意後見と組み合わせる

遺言書は「亡くなった後」の財産の行き先を決めるものですが、生前の財産管理や判断能力低下への備えは別の制度が必要です。 そこで有効なのが、家族信託や任意後見制度との組み合わせです。

 

・家族信託
認知症対策として、生前から財産管理を家族に託すことができます。 不動産の管理や売却が必要な家庭では特に有効です。

 

・任意後見契約
将来判断能力が低下したときに備え、信頼できる人に財産管理を任せる契約です。 遺言書とセットで準備することで、生前から死後まで切れ目なくサポート体制を整えられます。

 

夫婦で遺言を作る際には、「生前」「死後」「将来の判断能力低下」の3つを総合的に考えることが大切です。 遺言書だけでなく、必要に応じて他の制度も組み合わせることで、より安心できる備えになります。

 

 

 

遺言書は、夫婦がお互いを思いやり、家族の未来を整えるための大切な準備です。

行政書士法人エニシアでは、夫婦の状況に合わせた遺言書の作成サポートを行っています。

「夫婦で遺言を作りたい」「どんな内容にすべきか迷っている」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

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