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シリーズ「不動産の価格」第1回

2026/03/04

シリーズ「不動産の価格」第1回

こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田です。

自分の家や実家の土地の値段を調べてみたら、「公示地価」「路線価」「固定資産税評価額」「実勢価格」…と、いくつも違う数字が出てきて、「結局どれが本当の値段なの?」とモヤっとしたことはないでしょうか。

 

不動産の世界では、一つの土地に複数の価格が存在することを「一物四価」と呼びます。同じ土地なのに、目的によって“使う価格”が違う——これが土地の価格をややこしく感じさせる正体です。

 

今回のシリーズでは、3回に分けて「一物四価」を整理しながら、

  • どの価格が何に使われているのか
  • 自分はどの数字を見ればいいのか

を、お話ししていきます。

 

第1回の今回は、全体像と、その中でも基準となる「実勢価格」と「公示地価」についてお話しします。

 

 

 

一物四価とは?4つの土地の価格

まずはキーワードの整理からいきましょう。一般的に「一物四価」と言うと、次の4つを指します。

 

  • 実勢価格(じっせいかかく)
    実際の取引で売り手と買い手が合意して決まった価格(=市場価格)
  • 公示地価(こうじちか)/公示価格
    国が毎年公表する、土地取引の“ものさし”となる価格
  • 路線価(ろせんか)
    相続税・贈与税を計算するために使う、道路ごとに決められた価格
  • 固定資産税評価額
    固定資産税などの税金を計算するために、市区町村が決める評価額

 

同じ土地でも、「売買の相場を知りたいとき」と「相続税を計算するとき」では、見るべき数字が違うというのがポイントです。

 

 

 

なぜ土地には価格がいくつもあるのか?

「商品は値札が1つなのに、土地はどうして4つもあるの?」と感じるかもしれません。

 

理由はシンプルで、目的が違うからです。

 

 

  • 売買のための価格:実際の取引の目安がほしい
  • 税金を計算するための価格:公平に税額を決めたい
  • 公共事業などの補償のための価格:国や自治体が妥当な補償額を出したい

 

 

これらをすべて「1つの数字」で済ませようとすると、どこかで不公平が出たり、相場から大きくズレてしまう可能性があります。

 

そこで、「市場の実態を映す価格」と「行政や税金のための価格」を分けて考えましょうという発想から、複数の価格が使い分けられているのです。

 

 

 

実勢価格:いちばん“生っぽい”リアルな価格

まずは、他の3つの基準にもなる「実勢価格」から。

実勢価格とは、実際に売買が成立したときの価格です。売り手と買い手が交渉し、最終的に「この金額で契約しましょう」と合意した金額ですね。

 

 特徴

    • 需要と供給で決まる“生”の価格
    • 景気や金利、エリアの人気などで常に変動する
    • いちばん「リアル」、でも数字としてはつかみにくい

 

実勢価格は、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」などで、近隣の取引事例を調べることで、ある程度の相場感をつかむことができます。

 

ただし、個別の事情(急いで売りたい、相続人同士の調整など)や、土地の形や接道状況、建物の有無などによっても価格は変わるため、同じエリアでもバラつきがあるのが普通です。

 

 

 

公示地価:国が示す「ものさし」のような価格

次に、公示地価(公示価格)です。

公示地価は、国土交通省が毎年3月ごろに公表する、土地取引の目安となる価格です。

全国の「標準地」と呼ばれる地点について、不動産鑑定士が評価し、「その地点の1月1日時点の適正な価格はいくらか」を算出しています。

 

  • 誰が決めている?
    国土交通省の土地鑑定委員会
  • いつの価格?
    毎年1月1日時点の価格を、3月ごろに公表
  • 何のための価格?
    • 一般の土地取引の指標
    • 公共事業の補償額を考えるときの基準

 

イメージとしては、「このあたりの土地は、だいたいこのくらいの値段が妥当ですよ」と国が示している“物差し”のようなものです。

 

 

 

実勢価格と公示地価の関係

では、実際の取引価格(実勢価格)と、公示地価はどのくらい違うのでしょうか。

一般的には、実勢価格 ≒ 公示地価の1.1~1.2倍前後と言われることが多いです。

もちろんエリアや時期によって差はありますが、「公示地価 × 土地面積 × 1.1~1.2」くらいを目安にすると、ざっくりとした相場感をつかみやすくなります。

 

  • 公示地価:国が示す“基準値”
  • 実勢価格:実際の取引で決まる“生の値段”

 

この2つの関係を押さえておくと、「この土地、相場から見て高いのか安いのか?」を考えるときの判断材料になります。

 

 

次回は、相続や贈与の場面で必ず登場する「路線価」を、もう少し踏み込んで解説していきます。

「相続税の計算で、なぜ路線価を見るのか?」「路線価図ってどうやって読むの?」そんな疑問を、具体例を交えながらお話ししていきます。

 

 

 

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