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シリーズ「遺贈」 第1回

2026/02/17

シリーズ「遺贈」 第1回

こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。

 

新シリーズ「遺贈」第1回。

 

今回は、「遺贈とはそもそも何なのか?」という基本のところから、「相続とどう違うの?」「贈与とどう違うの?」という疑問までお話ししていきます。

 

 

「遺贈」という言葉は聞いたことがあっても、

 

 

・相続と何が違うのかよく分からない
・贈与とどう使い分ければいいのか分からない
・自分の家庭で関係があるのかイメージが湧かない

 

 

という方がほとんどです。

 

 

「遺贈って、相続と同じ意味ですよね?」とご質問いただくこともこの仕事をしているとよくあります。

 

しかし、遺贈は相続や贈与とは違う、独自のルールと特徴を持った制度です。

 

この違いを理解しておくと、

 

・相続人以外に財産を渡したいとき
・お世話になった人や団体に財産を残したいとき
・特定の人に特定の財産を渡したいとき

 

などに、とても役立つ選択肢になります。

 

 

 

遺贈とは?

法律的にいうと、「遺贈」とは、

 

「遺言によって、相続人以外の人に財産を与えること」

 

を指します。

 

もう少しかみ砕くと、

 

・相続:法律で決まった相続人に、法律で決まった割合で財産が移る
・遺贈:遺言で指定した人に、指定した内容で財産を渡す

 

というイメージになります。

 

ここでポイントになるのが、

 

「遺贈は、相続人以外にも財産を渡せる」

 

ということ。

 

 

たとえば、

 

 

・長年お世話になった親族ではない人
・内縁の配偶者
・特定の団体(NPO・学校・寺社など)

 

 

こういった人や団体に財産を残したい場合、遺贈という方法をとることになります。

 

 

つまり、遺贈は、

「法律で決まった相続の枠組みを超えて、自分の意思で財産の行き先を決めるための仕組み」

と言うわけです。

 

 

 

遺贈と相続の違い

「相続」と「遺贈」は、どちらも「人が亡くなったときに財産が移る」という点では同じです。

 

しかし、その仕組みとルールは大きく異なります。

 

◆ 相続とは

・法律で決まった「法定相続人」が
・法律で決まった「法定相続分」に従って
・自動的に財産を引き継ぐ仕組み

 

たとえば、配偶者と子どもがいる場合、

・配偶者:1/2
・子ども:残り1/2を人数で割る

というのが基本のルールです。

 

 

◆ 遺贈とは

・遺言を書いた人(被相続人)が
・遺言の中で指定した人(受遺者)に
・指定した内容で財産を渡す仕組み

 

つまり、相続が「法律のルール」で動くのに対して、遺贈は「遺言を書いた人の意思」で動く、という違いがあります。

 

 

ここで注意したいのが、

「遺贈をしても、相続人の権利(遺留分)が完全になくなるわけではない」

という点です。

 

たとえば、「全財産を第三者に遺贈する」という遺言を書いたとしても、相続人には「遺留分」という法律上最低限保障された取り分が認められています。

 

このあたりは、第2回・第3回で詳しく触れていきますが、

 

・遺贈は自由度が高い
・ただし、相続人の権利を完全に無視できるわけではない

 

という双方の点を理解しておくことが大切です。

 

 

 

遺贈と贈与の違い

次によく聞かれるのが、

「遺贈と贈与って、何が違うの?」

 

というご質問です。

 

一番大きな違いは、

・贈与:生きている間に渡す
・遺贈:亡くなった後に渡す

という点です。

 

贈与は、「今」財産を渡す行為です。
遺贈は、「亡くなった後」に財産を渡す行為を遺言で行うこと言います。

 

そして、もうひとつ大きな違いが「税金」です。

 

・贈与 → 贈与税の対象
・遺贈 → 相続税の対象

 

となります。

 

一般的には、同じ金額を渡す場合、

贈与税よりも相続税の方が税率が低いことが多い

ため、「生前に贈与するより、遺贈として渡した方が税金面では有利」というケースもあります。

 

ただし、これはあくまで一例であり、

 

・財産の総額
・相続人の人数
・他の相続財産とのバランス

 

などによって変わってきます。

 

「贈与と遺贈、どちらが得か?」というご相談も多いのですが、実際には「どちらか一方」ではなく、

 

・一部は生前贈与
・一部は遺贈

 

という組み合わせで設計することもよくあります。

このあたりは、税理士と連携しながら設計していく部分です。

 

 

 

遺贈が選ばれる典型例

では、実際にどのような場面で「遺贈」が選ばれているのでしょうか。

 

いくつかケースをご紹介します。

 

◆ 内縁の配偶者に自宅を残したい

法律上の婚姻届は出していないけれど、長年一緒に暮らしているパートナーがいる。

 

内縁の配偶者は「法定相続人」にはなりません。

 

そのため、遺言で「自宅不動産を内縁の妻(夫)に遺贈する」としておかないと、住む場所を失ってしまうリスクがあります。

 

 

◆ お世話になった人にお礼として財産を残したい

・長年介護を手伝ってくれた親族
・血縁関係はないが、親身になって支えてくれた人

 

こうした方に、感謝の気持ちとして財産の一部を渡したい場合、遺贈という形をとります。

 

 

◆ 特定の団体や法人に寄付したい

・母校の学校法人
・医療機関や福祉団体
・NPO法人や宗教法人

 

こうした団体に財産を残したい場合も、遺贈が使われます。

 

最近では、「遺贈寄付」という言葉も広まりつつあり、社会貢献の一つの形として選ばれる方も増えています。

 

 

このように、遺贈は、

「法律で決まった相続の枠組みを超えて、自分の想いを反映させるための手段」

として使われることが多いです。

 

 

 

遺贈を検討した方がよい人

では、どのような方が「遺贈」を意識しておくとよいのでしょうか。

 

「この方は遺贈を検討した方が良さそうだな」と感じるのは、次のようなケースです。

 

◆ 子どもがいないご夫婦
◆ 再婚で、前婚の子どもと今の配偶者がいる
◆ 内縁の配偶者がいる
◆ 特定の人や団体に財産を残したい希望がある
◆ 相続人以外にお世話になった人がいる

 

こうした場合、法律のルールだけに任せてしまうと、

 

・本当に財産を渡したい人に渡らない
・逆に、渡すつもりのなかった人に多く渡ってしまう

 

ということが起こり得ます。

 

遺贈は、そうした「ズレ」を修正するための手段でもあります。

 

ただし、遺贈には遺留分や税金の問題も絡んできますので、

「遺贈を使えばすべて解決!」という単純な話ではない

という点も、頭の片隅に置いておいていただけると良いと思います。

 

 

 

遺贈は“想い”を形にする選択肢のひとつ

今回は、「遺贈とは何か」という基本の部分と、相続・贈与との違いを中心にお話ししました。

 

ポイントを整理すると、

 

◆ 遺贈とは、遺言で指定した人に財産を渡す仕組み
◆ 相続と違い、相続人以外にも財産を渡せる
◆ 贈与と違い、「亡くなった後」に財産が移る
◆ 税金は「相続税」の対象になる
◆ 内縁の配偶者やお世話になった人、団体などに財産を残したいときに有効

 

ということになります。

 

遺贈は、

「自分の想いを、法律の枠組みの中でどう形にするか」

を考えるうえで、とても大切な選択肢のひとつです。

 

次回の第2回では、

 

・包括遺贈
・特定遺贈
・負担付遺贈

 

といった「遺贈の種類」について解説していきたいと思います。

 

 

行政書士法人エニシアでは、遺言書の作成サポートや、遺贈・家族信託などを組み合わせた生前対策のご相談を承っています。

 

「うちの場合は遺贈を考えた方がいいのかな?」「相続と贈与、どちらで考えるべきか迷っている」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

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