2026/02/12
シリーズ「認知症と相続対策」第1回
2026/02/12
シリーズ「認知症と相続対策」第1回
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
シリーズ「認知症と相続対策」第1回。
「認知症」は以前取り上げたテーマでもありますが、全3回のシリーズとしてあらためてお話ししてみたいと思います。
今回は、認知症になると相続手続きや財産管理がどのように変わってしまうのか、その“実際”について、できるだけ分かりやすくお話しします。
近年、「認知症 相続」「認知症 財産管理」といったワードを多く耳にします。
行政書士としては、認知症と相続の問題は、もはや「特別な家庭の話」ではなく、どの家庭にも起こり得る、切っても切れない身近なテーマだと強く感じます。
特に、親が70代後半〜80代に差し掛かると、相続対策よりも先に「認知症になったらどうする?」という問題が現実味を帯びてきます。
そして多くの方が誤解しているのが、認知症になると、相続対策だけでなく、日常の財産管理そのものが難しくなるという点です。
「まだ元気だから大丈夫」
「判断力はしっかりしているから心配ない」
そう思っているうちに、できることはどんどん減っていきます。
認知症になると何ができなくなるのか
認知症が進行すると、法律上の「判断能力」が低下したとみなされます。
すると、次のような行為ができなくなります。
◆ 遺言書の作成
◆ 不動産の売却
◆ 預金の引き出し
◆ 生命保険の契約変更
◆ 家族への贈与
◆ 介護施設への入居契約
◆ 賃貸契約の更新・解約
つまり、相続対策のほぼすべてがストップしてしまうということです。
特に不動産の売却は、認知症になった瞬間に事実上不可能になります。
銀行も法務局も、公証役場も、本人の意思確認ができない限り、家族であっても手続きを進めることはできません。
「家族なんだから代わりにできるでしょ?」という誤解が非常に多いのですが、法律上は家族であっても“他人”です。
本人の判断能力が不十分と判断されれば、すべての手続きが止まります。
これは、親の介護や生活費の支払いを担っているご家族にとって、非常に大きな負担となります。
家族が代わりに手続きできると思っていませんか?
認知症になった後に最も多い相談が、次のようなものです。
「預金が下ろせない」
「家を売りたいのに売れない」
「施設に入れたいのに契約ができない」
「固定資産税の支払いが滞りそう」
家族としては当然のことをしようとしているだけなのに、銀行や役所は「本人の意思確認ができない」という理由で手続きを止めます。
特に銀行は厳格で、窓口で少しでも「判断能力に不安がある」と感じた瞬間、口座を凍結することもあります。
その結果、
・介護費用が支払えない
・施設入居の初期費用が準備できない
・不動産の管理ができない
・相続対策が一切進まない
といった深刻な問題が発生します。
これは決して珍しいケースではなく、むしろ「よくある相談」です。
認知症と相続の問題は、家族の努力や気持ちだけではどうにもならない場面が多いのです。
認知症と相続は“時間との勝負”
認知症は、ある日突然「今日から判断能力がありません」と線引きされるものではありません。
他方で、銀行などは、本人の判断能力が不十分と判断した瞬間に手続きを止める。
つまり、家族が「まだ大丈夫」と思っている時期と、専門機関が「もう難しい」と判断する時期にはズレがあるのです。
このズレが、相続対策を大きく妨げます。
だからこそ、
元気なうちに準備しておくことが最大の相続対策
と言えるのです。
「まだ早いかな?」と思うタイミングこそ、実は最も動きやすい時期です。
次回は、認知症になった後に利用できる制度である「後見制度」について、メリット・デメリットを含めてわかりやすく解説します。
行政書士法人エニシアでは、認知症対策・家族信託・後見制度のご相談を幅広く承っています。
「うちの親の場合はどうなるのか」「今のうちに準備しておきたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
▶生前対策
▶遺産手続














