2026/01/23
スタッフBlog|自筆遺言の「通知制度」
2026/01/23
スタッフBlog|自筆遺言の「通知制度」
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
遺言書があったことが知られず、相続人が手続きを進めてしまった。
後から遺言書が見つかり、相続人が遺産分割協議をやり直すことに。
「まさか」と思う話ですが、遺言をのこした本人が、遺言を作ったことを相続人に知らせていなかったりすると、実は起こりうる話なんです。
自筆証書遺言書保管制度の「通知制度」は、遺言者の死後に“遺言の存在を確実に伝える”ための重要な仕組みです。
制度の誤解が多い部分でもあるため、今回は通知制度の全体像・仕組み・注意点をわかりやすくお話しします。
自筆証書遺言書保管制度の「通知制度」とは
自筆証書遺言書保管制度は、2020年7月にスタートした、法務局が遺言書を預かる制度です。
その中でも「通知制度」は、遺言者の死後に相続人等へ遺言書の存在を知らせるための仕組みで、制度の実効性を支える重要な柱です。
通知制度には次の2種類があります。
・関係遺言書保管通知(相続人等への通知)
・死亡時通知(遺言者が生前に指定した人への通知)
それぞれ目的も仕組みも異なるため、順番に詳しく解説します。
関係遺言書保管通知
遺言者が遺言書を法務局に預けていても、「誰にも伝えていなかった」、「一部の相続人にしか伝えていなかった」というケースは珍しくありません。
そのままでは、遺言者の死後に遺言書が存在することに気づかれず、遺言が実現されない可能性があります。
そこで、法務局は一定の条件を満たしたときに、すべての関係相続人等へ“遺言書が保管されている”ことを通知します。
■ 通知が行われるタイミング
通知は、遺言者の死後、次のいずれかが行われたときに行われます。
・相続人等の誰かが遺言書の閲覧をした
・遺言書情報証明書の交付を受けた
・保管ファイルの閲覧をした
つまり、相続人等の誰かが法務局で手続きを行った瞬間に、他の相続人等へ通知が送られる仕組みです。
■ 通知の内容
通知の表題は「遺言書を保管している旨の通知(関係遺言書保管通知)」と記載されます。
通知に記載されるのは、
・遺言書が法務局に保管されています
という点のみであり、遺言の内容までは通知されません。
■ 通知の対象者
通知が送られるのは、次の「関係相続人等」です。
・法定相続人
・受遺者
・遺言執行者
・その他省令で定める関係者
ただし、すでに閲覧等を行い遺言書の存在を知っている人には通知されません。
■ 手続きは不要
遺言者も相続人等も、通知のための手続きは一切不要です。
閲覧等が行われた時点で自動的に通知が行われます。
■ 注意点
・誰も閲覧等をしなければ通知は行われない
→ 遺言者が死亡しても、相続人が動かなければこの通知は届きません。
・遺言書の内容は通知されない
→ 内容を知るには閲覧や証明書の取得が必要です。
死亡時通知
さきほどの関係遺言書保管通知とは別に、遺言者が生前に「死亡時通知」を申し出ることができます。
■ 仕組み
遺言者が生前に
「自分が死亡したら、この人に遺言書の存在を知らせてほしい」
と指定しておく制度です。
法務局は、戸籍情報などを通じて遺言者の死亡を確認すると、指定された人へ通知を行います。
■ 通知のタイミング
死亡確認後、法務局が通知を発送します。
一般的には死亡確認から1~2週間程度が目安とされています。
■ 通知を受けた人ができること
通知を受けた人は、法務局で
・遺言書情報証明書の取得
・遺言書の閲覧
が可能です。
これにより、相続手続きをスムーズに開始できます。
通知制度が重要な理由
① 遺言の存在を確実に伝える
遺言書が見つからない、隠される、破棄されるといったトラブルを防ぎます。
② 相続手続きの遅延を防ぐ
遺言書があるかどうか分からない状態では、相続手続きが進められません。
通知制度により、相続人が早期に動き出せます。
③ 遺言の実現性が高まる
遺言者の意思を確実に実現するための制度的な後押しになります。
通知が届かない場合のチェックポイント
「遺言書があると聞いていたのに通知が来ない…」という相談されることがあります。
この場合、考えられる理由は次のとおりです。
① 関係相続人等の誰も閲覧等をしていない
→ 関係遺言書保管通知は発動しません。
② 遺言者が死亡時通知を申し出ていなかった
→ 指定がなければ通知は届きません。
③ 通知対象者に指定されていない
→ 死亡時通知は「遺言者が指定した人」にしか届きません。
④ 遺言書がそもそも法務局に保管されていない
→ 自筆証書遺言でも、保管制度を利用していなければ通知はありません。
通知が届かない場合でも、法定相続人であれば法務局で遺言書の有無を照会できます。
通知制度の活用ポイント
札幌で相続相談を受けていても、通知制度を誤解しているケースが多く見られます。
難しい制度ですが次の点を押さえておくと安心です。
■ 遺言者側のポイント
① 死亡時通知の申し出を積極的に活用する
家族に遺言書の存在を伝えにくい場合でも、死亡後に確実に知らせることができます。
② 通知対象者は慎重に選ぶ
– 相続人
– 信頼できる第三者
– 専門家(行政書士・司法書士・弁護士)
など、状況に応じて選択できます。
③ 遺言書の内容は通知されない
内容を知られたくない場合でも安心です。
■ 相続人側のポイント
① 遺言書の有無を早めに確認する
死亡後、相続手続きは時間との勝負です。
通知が来なくても、法務局で照会できます。
② 通知が来たら速やかに手続きを
・遺言書情報証明書の取得
・遺言執行者の確認
・相続手続きの開始
など、次のステップへ進みましょう。
通知制度のメリット・デメリット
メリット
関係遺言書保管通知:相続人等全員に遺言書の存在が伝わる
死亡時通知:遺言者が指定した人に確実に通知される
共通:遺言の実現性が高まる
デメリット
関係遺言書保管通知:誰も閲覧等をしないと通知されない
死亡時通知:指定がなければ通知されない
共通:内容は通知されないため別途閲覧が必要
通知制度は「遺言を確実に届ける」ための仕組み
自筆証書遺言書保管制度の通知制度は、遺言者の意思を確実に相続人へ届けるための安全装置ともいえるものです。
・関係遺言書保管通知
・死亡時通知
2つの通知制度を理解し、適切に活用することで、相続トラブルの予防につなげましょう。
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