2026/01/20
シリーズ|相続人が遠方にいる場合の手続き(第1回)
2026/01/20
シリーズ|相続人が遠方にいる場合の手続き(第1回)
遠方相続のよくある困りごと
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
相続のご相談を受けていると、「相続人が全国に散らばっていて、なかなか手続きが進まない」という声を本当によく耳にします。
例えば札幌にお住まいの親御さんが亡くなり、子どもは東京・大阪・名古屋・海外に住んでいる。
あるいは、兄弟姉妹がそれぞれ家庭を持ち、仕事の都合で簡単には帰省できない。
現代では珍しくない状況ですが、相続手続きは“誰かが動かないと進まない”という性質があるため、遠方に住む相続人がいると、どうしても負担が大きくなりがちです。
戸籍
まず、遠方相続で最初にぶつかる壁が「戸籍の収集」です。
相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて揃える必要があります。
札幌に本籍がある場合は札幌市役所(各区役所)に請求しますが、転籍を繰り返していると、北海道内だけでなく本州の役所にも請求しなければならないことがあります。
※直系の方の戸籍については、どの本籍地のものでも直系のご家族本人が最寄りの役所の窓口に請求できる便利な制度(広域交付制度)ができたため取得がかなり楽になりました。しかしながら、兄弟姉妹などが相続人になるケースでは本籍地のある役所に請求が必要になることがあります。
郵送で取り寄せることは可能ですが、役所ごとに請求書の書き方などが異なるため、慣れていない方には大きな負担になります。
銀行や役所
次に問題となるのが「銀行や役所への出向」です。
相続手続きでは、銀行の窓口での手続きや、役所での証明書取得が必要になる場面が多くあります。
しかし、遠方に住んでいる相続人がその都度(例えば)札幌に帰省するのは現実的ではありません。
銀行によっては郵送での相続手続きに対応していますが、本人確認書類や印鑑証明書の提出が必要で、書類の不備があると何度もやり取りが発生します。
相続人同士の連絡
さらに、遠方相続では「書類の郵送・押印の手間」も大きな負担になります。
遺産分割協議書は原本が必要なため、相続人全員に郵送し、実印で押印してもらい、印鑑証明書を添付して返送してもらう必要があります。
書類が行ったり来たりするため、1回のやり取りに1~2週間かかることも珍しくありません。
不動産の現地確認
そして、見落とされがちなのが「不動産の現地確認ができない」という点です。
札幌にある実家や土地の状態を確認したいと思っても、遠方に住んでいると簡単には見に行けません。
空き家の状態や固定資産税の負担、売却の可否など、判断に必要な情報が不足しがちです。
全体像を知ることが大切
このように、遠方相続にはさまざまなハードルがありますが、実は“郵送やオンラインでできること”も多く、工夫次第で負担を大きく減らすことができます。
大切なのは、相続発生から遺産分割、名義変更までの全体像を把握し、「どこを誰が担当するか」を最初に決めることです。
相続手続きの大まかな流れは次の通りです。
・相続発生(死亡届・葬儀・保険・年金の手続き)
・相続人調査(戸籍収集)
・財産調査(預金・不動産・保険など)
・遺産分割協議
・名義変更(不動産・預金・車など)
このうち、遠方でも問題なく進められる部分と、現地での対応が必要な部分があります。
例えば、戸籍収集や銀行手続きは広域交付制度を利用したり郵送での手続き可能ですが、不動産の現地確認や遺品整理は札幌にいる人が担当する必要があります。
遠方相続をスムーズに進めるためには、最初に「役割分担」を決めることが非常に重要です。
札幌に住んでいる相続人が役所や銀行の窓口対応を担当し、遠方の相続人は書類の確認や押印を担当するなど、無理のない形で協力し合うことが理想です。
次回は、実際に郵送やオンラインでできる手続きと、つまずきやすいポイントについてお話ししたいと思います。














