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【シリーズ|後見制度③】

2026/01/15

【シリーズ|後見制度③】

こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。

 

後見制度シリーズの最終回となる今回は、意外と知られていない「未成年後見」や「後見監督人」、そしてケースとしてもよくある「家族が後見人になる場合の注意点」について詳しく解説します。

 

後見制度は、本人の生活と財産を守るための大切な仕組みですが、制度の選び方や運用を誤ると、かえってトラブルの原因になることもあります。

 

 

 

未成年後見とは?

未成年後見は、親権者がいない未成年者のために、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。

 

● 未成年後見が必要になるケース

 

・父母がともに亡くなった
・父母が行方不明
・父母が親権を喪失した
・親権者が病気や障がいで親権を行使できない

 

未成年後見人は、子どもの生活と財産を守る役割を担います。

 

● 未成年後見人が行うこと

 

・子どもの生活の監護
・教育・医療などの手続き
・財産管理
・相続手続き
・不動産の管理・売却(家庭裁判所の許可が必要)

 

特に相続が絡む場合、未成年者が多額の財産を受け取ることもあり、その管理を適切に行うために未成年後見人が重要な役割を果たします。

 

●よくある事例

 

・片親が亡くなり、残された親が病気で親権を行使できない
・祖父母が孫の財産管理をしたいが、法的な権限がない
・子どもが相続する不動産を売却したいが、手続きが進まない

 

あくまでも未成年後見は「子どもの権利を守るための制度」であり、親族が勝手に財産を動かすことができる制度ではありません。

 

 

 

後見監督人とは?

後見監督人は、後見人の業務を監督し、本人の権利を守る役割を持つ専門職です。

 

● 後見監督人が必要になるケース

 

・後見人が家族で、財産額が多い
・親族間に対立がある
・後見人の業務が複雑
・本人の財産を守るために第三者のチェックが必要

 

後見監督人は、司法書士・弁護士・社会福祉士などの専門職が選ばれることが多く、家庭裁判所への報告や後見人の業務チェックを行います。

 

● 後見監督人の主な役割

 

・後見人の財産管理のチェック
・不正防止
・家庭裁判所への報告
・後見人への助言
・必要に応じて後見人の変更を求める

 

後見監督人がつくことで、後見制度の透明性が高まり、本人の財産が適切に守られる仕組みが整います。

 

 

 

家族が後見人になる場合のメリット・デメリット

後見制度の話しで皆さん気にするのは「家族が後見人になれますか」という点です。

 

もちろん家族が後見人になることは可能なのですが、メリットとデメリットを理解したうえで選ぶことが大切です。

 

● 家族が後見人になるメリット

 

・本人の生活状況をよく理解している
・日常的な支援がしやすい
・本人が安心しやすい
・専門職の報酬がかからない場合がある

 

家族が後見人になることで、本人の気持ちに寄り添った支援ができる点は大きな利点です。

 

● 家族が後見人になるデメリット

 

・財産管理の負担が大きい
・家庭裁判所への報告が必要
・親族間の対立が起きやすい
・本人の財産と家族の財産が混ざりやすい
・不正を疑われるリスクがある
・不動産売却など複雑な手続きが難しい

 

特に「家族の口座で本人の支払いをしてしまう」「レシートを保管していない」など、悪意がなくても“使い込み”と誤解されるケースが非常に多いです。

 

 

 

家族が後見人になる場合の注意点

家族が後見人になる場合、次の点を必ず押さえておく必要があります。

 

 

①本人の財産と家族の財産を絶対に混ぜない

 

・本人名義の口座を使う
・家族の口座で立て替えない
・立て替えた場合は必ず記録を残す

 

財産の混同は、後見制度で最も多いトラブルです。

 

②レシート・領収書を必ず保管する
家庭裁判所への報告で必要になります。

 

・生活費
・医療費
・介護費
・施設費
・大きな支出

 

「記録を残す」ことが後見人の最も重要な仕事のひとつです。

 

 

③家庭裁判所への報告義務を理解する
後見人は、家庭裁判所に定期的に財産状況を報告します。

 

・年1回の報告
・財産目録の作成
・預金通帳のコピー提出
・支出の説明

 

必ずしも専門職でなくても、丁寧に記録を残していれば対応できます。

 

 

④不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要
家族が勝手に売却することはできません。

 

・施設入所費用のための売却
・相続対策のための売却
・空き家の管理が難しい場合

 

売却の必要性を丁寧に説明する必要があります。

 

 

 

 

 

 

後見制度の“落とし穴”

後見制度は便利な制度ですが、誤解されやすいポイントも多くあります。

 

落とし穴①:後見制度を使えば何でもできると思っている
後見人でもできないことがあります。

 

・本人の遺言書作成
・本人の結婚・離婚
・本人の手術の同意(医療行為の同意はグレーゾーンが多い)
・相続対策としての贈与や保険契約

 

後見制度は「本人の利益のため」に限定されます。

 

 

落とし穴②:後見制度はすぐに始められると思っている
申立てから開始まで1~3か月程度かかります。
急ぎの手続きには間に合わないこともあります。

 

 

落とし穴③:家族が勝手に財産を動かしても大丈夫だと思っている
後見制度が始まると、家族でも勝手に財産を動かすことはできません。
銀行も厳格に対応します。

 

 

落とし穴④:後見制度は一度始めたら自由にやめられると思っている
後見制度は原則として本人が亡くなるまで続きます。
「一時的に使う」という使い方は現時点ではできない制度になっています。

 

 

 

後見制度を安全に使うために

後見制度は、本人の生活と財産を守るための大切な制度ですが、制度の選択や運用には専門的な判断が必要な場面が多くあります。

 

専門家に相談するメリット

 

・本人に合った制度を選べる
・家族の負担を軽減できる
・トラブルを未然に防げる
・書類作成や申立てをスムーズに進められる
・家庭裁判所とのやり取りをサポートしてもらえる

 

特に、任意後見・財産管理契約を組み合わせる場合は、契約内容の設計が非常に重要です。

 

 

 

後見制度を正しく使えば、本人も家族も守られる

シリーズ3回にわたって後見制度を解説してきました。

 

・第1回:法定後見(成年後見・保佐・補助)
・第2回:任意後見・財産管理契約
・第3回:未成年後見・後見監督人・家族が後見人になる場合の注意点

 

後見制度は複雑ですが、正しく使えば本人の生活と財産を守り、家族の負担を大きく減らすことができます。

制度を理解し、本人と家族どちらにとっても良い形で利用してもらうことに、少しでも役立てたらと思います。

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