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あとから出てきた遺言書

2026/01/09

あとから出てきた遺言書

こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。

 

相続のご相談のなかで、「遺産分割協議が終わった後に、被相続人の遺言書が見つかった」ということが稀にあります。

 

相続人全員で話し合い、協議書も作成し、銀行や不動産の手続きも進めていたのに、後から遺言書が出てきた…。

 

「協議は無効になるのか」「手続きはやり直しなのか」「遺言書を優先しなければならないのか」と、不安を抱える方が多くいらっしゃいます。

 

今回は、遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合の考え方・手続き・注意点についてお話します。

 

 

 

 

遺言書が見つかったら、まず何をすべき?

遺言書が見つかったときに、焦って協議をやり直す必要はありません。
順番を間違えると、かえってトラブルが大きくなることもあります。

 

① 遺言書の種類を確認する
遺言書には主に2種類あります。

 

自筆証書遺言:自筆で作成。家庭裁判所の検認が必要(法務局保管制度を利用している場合は不要)

 

公正証書遺言:公証役場で作成。家庭裁判所の検認は不要

 

特に自筆証書遺言は、勝手に開封してはいけません。また、家庭裁判所で「検認」という手続き(遺言が本人が書いたものか、方式不備がないかの確認)が必要です。

 

② 遺言書の内容の有効性を確認する
法的に無効な内容が書かれていないかを確認しましょう。必要に応じて専門家に確認してもらうと安心です。

 

③ 遺言書の内容を相続人全員で共有する
遺言書の存在を隠して手続きを進めると、後で大きなトラブルになります。

 

 

 

遺産分割協議と遺言書、どちらが優先?

遺言書がある場合、遺言の内容が優先されるとされています。

そのため、遺産分割協議が終わっていたとしても、遺言書が有効であれば、協議内容より遺言書が優先されるのが原則です。

 

ただし、ここで重要なのは次のポイントです。

 

● 遺言書が「有効」であること
自筆証書遺言で方式不備がある、日付がない、署名がない、改ざんの疑いがあるなどの場合は無効となることがあります。

 

● 遺言書が「遺産分割方法」を指定しているか
「長男に感謝する」など、財産の分け方が書かれていない遺言書の場合は、遺産分割協議内容がそのまま有効となることもあります。

 

● 相続人全員が「遺言と異なる分割内容」で合意することも可能
遺言書があっても、相続人全員が合意すれば、遺言と異なる内容で遺産分割協議をやり直すことができます。

 

つまり、
遺言書が出てきた=必ず協議が無効になる
というわけではありません。

 

 

 

協議後に遺言書が出てきた場合の流れ

遺産分割協議後に遺言書が出てきた場合の、具体的な対応手順は概ね次のとおりです。

 

① 遺言書の検認(必要な場合)
自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認を受けます。
※法務局で自筆証書遺言保管制度を利用している場合は不要

 

② 遺言書の内容を精査
・遺産分割方法の指定
・遺言執行者の有無
・遺留分侵害の有無
などを確認します。

 

③ 協議内容との矛盾点を整理
どこが食い違っているかを明確にします。

 

④ 相続人全員で協議

 

 

そして、その後の選択肢は大きく分けて2つです。

 

 

A 遺言書どおりに手続きをやり直す
遺言書が有効で、相続人が遺言内容に従う場合は、遺言に沿って手続きを進めます。

 

B 遺言書と異なる内容で再度協議する
相続人全員が合意すれば、遺言と異なる内容で新たに協議書を作成できます。

 

 

 

相続人でない人への遺贈が書かれていた場合の注意点

遺言書の中には、「相続人ではない第三者への遺贈」が含まれているケースもあります。

この場合、以下の点に注意しなければなりません。

 

● 遺贈は「相続人の合意」だけでは変更できない
遺贈は第三者に対する被相続人の最終意思であり、受遺者本人の同意がなければ変更できません。

 

● 協議後に遺贈が判明した場合は、受遺者を含めて調整が必要
すでに財産を分けてしまっている場合は、返還や金銭清算が必要になることがあります。

 

● 遺留分侵害額請求の可能性
遺贈が大きい場合、相続人が遺留分侵害額請求を行うこともあります。

 

 

 

すでに名義変更や預金解約をしてしまった場合

協議後に遺言書が出てきたケースでは、「もう名義変更してしまった」「預金も分けてしまった」ということも非常に多いです。

 

 

● 不動産の名義変更は「やり直し」が必要
遺言書の内容に従って再度名義変更を行います。

 

● 預金も再分配が必要
協議内容に基づいて分けた預金を、遺言書の内容に合わせて調整します。

 

● 相続人間での清算が必要になることも
すでに使ってしまった場合は、金銭で調整します。

 

 

 

遺言書が後から見つかる原因と、そうならないための対策

遺言書が後から見つかると、相続人間の信頼関係が揺らぎ、手続きも複雑になります。

 

● 主な原因

– 自筆証書遺言が自宅のどこかに保管されていた
– 家族に遺言書の存在を伝えていなかった
– 古い遺言書が後から見つかった
– 法務局の保管制度を利用していなかった

 

● そうならないための対策

– 法務局の自筆証書遺言保管制度を利用する
– 公正証書遺言を作成する
– 家族に「遺言書を作ったこと」だけは伝えておく
– 専門家に保管方法を相談する

 

遺言書の適切な管理は、相続トラブルを防ぐための大切なポイントです。

 

 

 

あとで遺言書が出てきても、慌てずに正しい手順を

遺産分割協議が終わった後に遺言書が見つかると、不安になるのは当然です。

 

しかし、正しい手順を踏めば必ず解決できます。

 

遺言書が後から見つかったケースは特に複雑になりやすいため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

 

 

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