2025/12/18
スタッフBlog|配偶者居住権
2025/12/18
スタッフBlog|配偶者居住権
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
今年も残すところ2週間を切りました。
年末や年明けに、親戚同士で久しぶりに実家で集まる方も多いのではないかと思います。
さて今回は、そんな実家にまつわる「配偶者居住権」(2020年4月民法改正により新設)についてお話ししたいと思います。
配偶者居住権とは
配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなるまでの終身(または任意に決めた一定期間)、賃料の負担なく無償で居住することができる権利です。
配偶者居住権が新設された2020年4月1日より前は、「建物に住む権利」は建物の所有権と切り離すことができない一体のものとされてきました。
このため、相続の場面で、遺産分割や相続税の支払い準備がうまくいかないために配偶者が自宅を売却せざるを得なくなるなど、亡くなった方と一緒に住んでいた配偶者が自宅に住み続けられない事態が発生することもあったのです。
しかし、「配偶者居住権」ができたことで、2020年4月1日以降に発生した相続については、「建物に住む権利」と「(配偶者所有権つきの)所有権」は別々の価値のものとして分けて考えることが可能になり、それぞれを別々の人が相続することも選択できるようになりました。
遺言や遺産分割方法のバリエーションが増えることで、残された配偶者が自宅にそのまま住み続けられる可能性が広がったといえます。
どのような場合に成立する?
配偶者居住権は、自動的に得られる権利ではなく、以下の要件をすべて満たすことで設定できるようになる権利です。
①残された配偶者が,法律上の配偶者であること(内縁の配偶者はNG)
②被相続人が亡くなったときに、対象建物に配偶者が居住していたこと(別の場所に住んでいた場合はNG)
③遺産分割、遺贈、死因贈与、家裁の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得したこと
※なお、配偶者居住権は、被相続人が配偶者と共有していた建物の場合も成立の対象になりますが、配偶者以外の方と共有していた場合は成立の対象外になります。
メリット
配偶者居住権は、第三者に譲渡したり、所有者に無断で建物を賃貸したりすることはできません。
しかしその分、建物の所有権をまるごと取得するよりも低い金額に相当するものとして評価されます。
このため、遺産の分配方法として、配偶者以外の相続人に土地と建物の所有権を取得させ、配偶者には建物の配偶者居住権を取得するという形にすることで、住む権利を確保しながら、預貯金などの他の遺産をより多く取得することができるというメリットがあるのです。
特に、相続人となる配偶者と子の仲が良くない場合や、自宅以外に相続財産がない場合など、不動産の評価額も含めて全財産を法定相続分で平等に分配したいと希望する相続人がいるようなケースは配偶者居住権の活用を検討するのに向いています。
物件の売却は困難になる
配偶者居住権は上記のようなメリットがりますが、使用に際してのデメリットもあります。
例えば、高齢の配偶者が老人ホームに入居したくなった場合、住んでいた自宅を空き家にしてしまうよりはと考え売却を検討することも多いですが、配偶者居住権は原則的に配偶者が生存している間は終身存続するので、このような負担付きの建物を購入する人を探すことは事実上難しいという問題があります。
このため、売却は残された配偶者が亡くなって配偶者居住権が消滅してからでもよいという方、もしくは、売却はそもそも想定しておらず代々引き継いでいく予定という方以外の場合にはあまり向いていません。
※なお、残された配偶者が配偶者居住権を途中で放棄して、その後に売却をすることもできますが、その場合、建物所有者に贈与税がかかることがあるため税務上の注意が必要です。
利用は状況に合わせて
どのような制度にも言えることですが、メリットだけというものは多くなく、デメリットもあることが通常です。
ですが、「なんとなくデメリットが多いらしい。だから利用しないでおこう」と決めつけてしまうよりは、自分の状況にあった制度かどうかをよく知ったうえで、利用するかしないかをしっかりと考えることが大切だと思います。
もし、見極めが難しい場合は、積極的に専門家を頼りましょう。














