2025/12/17
スタッフBlog|遺言書の種類 -違いと使い分け-
2025/12/17
スタッフBlog|遺言書の種類 -違いと使い分け-
こんにちは、行政書士・宅地建物取引士の長田(おさだ)です。
先日、生前の相続準備をお考えの方からの相談で、「遺言の色々な種類(方式)がよくわからない」という話をいただきました。
今回は、各種の遺言について、それぞれの特徴や違い、使い分けの目安についてお伝えしたいと思います。
“遺言”ってなんだっけ?
以前このコラムでも遺言をテーマに取り上げたことがありますが、ここであらためておさらいをしましょう。
遺言とは、
・法律が定める方式に従って
・自分の死後のことに関して(主に自身の財産など)
・生前に行う法的な意思表示
のことをいいます。
この”法的に有効な意思表示”を生前に行って筋道をつけておくことで、遺族の遺産分割紛争を予防したり、相続手続きをスムーズに行うことができるようになります。
“エンディングノート”とは何が違う?
よく聞かれるのですが、エンディングノートは、
・方式や形に決まりがなく
・書く内容も自由
・ただし、法的な効力がない
という点が遺言とは異なっています。
一般的には、持病の終末期治療の方針や自身の死後の希望などをつづっておくのがエンディングノートです。
遺族への想いやメッセージを記してもよし、もちろん財産の相続のことをしたためるのも書く人のまったく自由。
ネット口座やスマホのパスワードを記入できる市販品もあったりします。
しかし、遺言との一番の違いは、最後に挙げた”法律上の効果がない”という点です。
このため、エンディングノートを書いただけでは、遺言の代わりとすることはできません。
自分の財産を相続人に記載通りに分配する力もありませんし、預金解約や登記手続きにもちろん使えません。
自筆証書遺言と公正証書遺言
さて、法律が定める遺言書の種類は、代表的なものが2つあります。
・自筆証書遺言(自分で書いて作る遺言)
・公正証書遺言(公証人に作成してもらう遺言)
以下では、比較のため、それぞれの遺言のポイントとメリットをお伝えしていきます。
自筆証書遺言
〇気軽に作成しやすい
紙とペン、印鑑があればいつでも作れます
〇費用がかからない
上記の道具類にこだわらなければ、お金はほとんど必要になりません
〇保管場所を自分で考える必要がある ※
”紛失した”、”見つけてもらえない”、”誰かに書き換えられた”などのリスクがあります
〇家裁の検認が必要(遺言者が亡くなった後、形式に問題がないかを確認) ※
必要な箇所の自筆、署名・押印の有無、日付の記載方法など、問題があると遺言としては”無効”なものとされてしまいます
※ 後半の2点については、2020年から法務局で”自筆証書遺言の保管制度”が利用できるようになりました。
3900円の保管費用を出してこの制度を利用すれば、2つのリスクを軽減でき、家裁の検認も不要になります。
また希望すれば、遺言者の死後、あらかじめ指定した方へ遺言があることの通知が行くようにすることもできます。
ただし法務局では、遺言書の形式・体裁が整っているかどうかしか見てもらえないため(押印・署名の不備確認など)、自分で書いた内容が法的に無効だったとしても一切責任を負ってもらえないことが留意点です。
公正証書遺言
〇作成を頼む必要がある
証明を専門にしている公務員である”公証人”に依頼しなければ作ることができません
〇費用がかかる(金額は法定)
対象となる資産の額や受け取る方の人数によって幅があり、数万円~10万円以上となることもあります
〇保管場所は公証役場
紛失の心配や、書き換えられてしまうリスクがありません
遺言者本人にも同内容・効力の写しをもらうことができ、希望すれば別途写しを複数部受領して自身の望む場所へ予備を保管しておくこともできます
〇家裁の検認は不要
公証人の証明があるため、家裁で検認手続きをする必要はありません
〇記載した内容に法的に効力があるか、内容面をチェックしてもらえる
どう使い分けるのがいい?
両者の良いところとそうでないところを見ながら、自分にとってどちらが都合がよいかもあわせて考えることが大切です。
以下のような場合に使い分けるのも一つですので参考までご紹介します。
自筆証書遺言
・とりあえず一度早く作って形にしてみたい
・まだ何回も書き替える予定がある
公正証書遺言
・安全に保管したいが、体に不自由があり法務局に行けず保管制度が使えない
・意思表示は問題ないが、文字を書くのに難がある
“付言(ふげん)”という添え書き
遺言は、亡くなった後の財産の行き先などについて書き残すものですが、遺された方たちに築き上げた遺産だけでなく、想いをメッセージとして渡す大切な役割を果たすものでもあります。
遺言の中には、法的な事柄以外にも遺言を見る方へ自分がどういう”理由”や”想い”、”願い”をもって遺言を遺したのか添え書きをすることができます。
ただし、この付言については、法務局の保管制度はもちろん、公正証書遺言で作成した場合であっても、中身について良し悪しを見て判断してもらうことはできません。
遺言に大切な気持ちを精一杯込めるためにも、自筆か公正証書かを問わず、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
今回のコラムが、少しでも皆さんと皆さんの大切な方の将来に役立てたら幸いです。














